相変わらず思いつきで色んなことやってます麻乃です。今回はFIFA18のプロクラブでポジショナルプレーは実践できるのかを実験してみました。
結論から言うと、ポジショナルプレーをプロクラブで実践するのは可能です。では、どんな実験を行ったのかを見ていただきたいと思います。
動機
リーグに参戦しているクラブ、動画サイトでプレー配信をしているパブリッククラブ、身内だけで集まるクラブなど、FIFAのプロクラブでは沢山のチームが存在します。
しかし、戦術がしっかり整備されたクラブを殆ど見ません。多くのチームが気持ちプレスに放り込みカウンター、たまになんちゃってパスサッカーを見るくらいで、規律を感じられるチームとはそうそう出会えないのでした。
せっかく11人の人間でプレーできるモードなのだから、少々複雑でシステマチックなサッカーもしてみたい。じゃあ、自分たちで作ろうか。ってことで、FIFA17の頃から色々試してきて、今回はポジショナルプレーを実践するチームを作れないか考えたのでした。
これは単に自分がそういうサッカーをFIFAでプレーしたいというのもありますが、「こんなサッカーがFIFAでできるんだぞ!」とアピールして、一緒にプレーしたいと思ってくれる仲間が増えればいいなとか、「じゃあ俺たちも!」とオーガナイズされたチームを作るところが増えたりすればいいなとも思っています。
なので、自分のチームでうまくいった戦術、それを仕込む方法が見つかればそれらのノウハウはどんどんオープンにしていきたいということで、この記事を書いています。
ポジショナルプレーとは
まず、ポジショナルプレーってなんぞや?から説明します。これは簡単に言えば「位置的な優位を意識してプレーしよう」という概念です。ポジショナルプレーそのものが戦術なわけではなく、戦術を支える「基準」といったところでしょうか。
例えば、ボールを持っている側のチームで、左右のタッチライン際にそれぞれサイドプレーヤーがいるとします。彼らはボールを持っていない限りゴールすることはないので、そこにいるだけでは脅威ではないように思えます。しかし、「そこにいる」ということは、彼らにパスが来る可能性が常にあるということでもあります。
なので、ボールを持っていない方は彼らがパスを受けないように見張り、パスを受けたらすぐに潰しにいかないといけません。ボールを持った相手にはプレッシャーをかけなければ、簡単に突破されてしまいますからね。
ですが、プレッシャーをかければ、サッカーの広いフィールドではどこかのスペースが開くことになります。プレッシャーをかけた選手の裏や隣、それとも逆サイドの選手のところか。では、その場所にも「そこにいる」プレーヤーがいたら?ボールを持っているチームはその選手にパスを出すだけで、フリーでボールを持った選手を生み出せます。
これがポジショナルプレーの一例です。このように、選手の配置によって生まれる有利な状況を、再現性を持って作り出そうというコンセプトです。チーム全体で、それぞれの選手が有利になれるポジショニングを、その陣形を作り続けながらプレーしよう、ってことですね。
どうやって仕込むか考える
では、どうやってポジショナルプレーを実装するか。というか、そもそも実装できるのか?を実験してみました。なお、僕は「こんな風にやってみたらどうかな?」というアイディアは出しましたが、実際のルール作りは仲間のダビーさんにやってもらいました。戦術面に関しては彼のほうが僕よりも遥かに詳しいので。適材適所ってやつよ。
実は以前にもポジショナルプレーをやってみようとしたことはあるんですが、その時はうまくいきませんでした。その反省を活かして考えたのは、「何をするか」ではなく、「何をしたらダメか」でルールを決め、やっちゃダメなプレーを制限しつつ、やってほしいプレーに誘導していく、という手法でした。以下、長いですが具体的なルールを書いていきます。
プレーを作るためのルール
全体のルールとして設定したのは、
「仕掛けのパスは前を向いたとき限定、体勢が悪ければ味方に戻す」
「後ろ向きで楔を受けたらすぐ味方に落とす」
「シュートまでにサイドチェンジを行う」
「サイドチェンジ直後以外ドリブル突破禁止」
です。シュートまでにサイドチェンジのルールは意識してプレーするのは中々難しいですが、要はボールを回すことでできたスペースを有効活用できるように、ピッチをワイドに使っていきましょうってことです。ボールを回していけば自然とスペースはできるので、それまでは広く素早くボールを動かす意識を全体で持ちましょう。
次に、各ポジションのルールです。フォーメーションは433になります。
STとWGは、
「ハーフスペースより外側に出ない」
「相手MFラインより自陣側に下がらない」
「1人が裏抜け、2人はスペースで待機してポストプレーの準備」
「ボールが触れなくても、レートが下がりまくっても泣かない」
CHとDHは、
「味方SBより前に出ない」
「2CBとユニットを組んでボールを運ぶ」
「ハーフスペースに待機する3トップに楔のパスor大外でフリーのSBに速いパスを当てる」
SBは、
「大外のレーンから出ない」
「味方MFより後ろに下がらない」
「ボール保持時に相手が寄ってきたらバックパス、サイドチェンジ」
CBは、
「低位置でビルドアップするときはペナ幅よりも外側に開く」
「フリーならドリブルで運び、プレスに来た相手を釣ってからパス」
GKは、考えてません。GKの方はごめんなさい。今までGK本職の人が僕のクラブでプレーしたことないからさ……
これらの決まりごとを守りながらポジショニングすると、こんな布陣になるかと思います。
文の中で「レーン」「ハーフスペース」と呼ばれているのは、この画像の縦で分けられた5つのエリアをそれぞれ指していて、大外のレーンはサイドの2つのレーンを、ハーフスペースは中間の2つのレーンを示しています。
(ビルドアップの例)
また、これらのルールはビルドアップ時だけに適用されます。アタッキングサードまでボールを運んだらあとは自由。フィニッシュはアイディア出していこう!と言っても、ビルドアップの形が決まっていれば、フィニッシュの形も自然と決まっていくんですけどね。
カウンターもいけそうならいっちゃっていいんですが、ポジショナルプレーはボールを保持して押し込んでいくのが理想なので、リードしている局面などではカウンターを自重して、ボールを繋げることを優先しましょう。急いで攻撃しないのが肝心です。
で、ポジショナルプレーは攻守一体で考えなければいけないので、守備の約束事は……そんなにしっかりは決めていません。多分、守備もしっかりオーガナイズするとなると、プレーヤーの頭がパンクしかねないので、単純なルールだけ決めています(下のルールだけでもある程度守れるからってのもある)。
守備時のルールは、
「ボールを奪われたら一番近くのプレーヤーがすぐにプレスして、ボールを後ろに下げさせたらプレス続行、キープされたり前を向かれたら急いでリトリート」
「ボールを奪われたとき、アンカーはSBとCHの裏をカバーリング」
「撤退時は4141で、ウイングは中盤と同じ高さまで引いて守備」
です。上でも書いたように、ちゃんと組織立ったプレーをする相手は少ないので、無理せず撤退守備をしておけば、ボールを保持した相手の攻撃は大体防げます。ボールを奪われないようにポゼッションの質を高めることと、カウンターの対応をしっかりして、カウンターを食らう回数そのものを減らせば、これだけのルールで失点はかなり抑えられるはずです。
これらのルールを、プレーヤー全員できっちり守ってプレーをしてもらえれば、ポジショナルプレーの実践は可能か、という実験をしたんですが、結論は最初に書いちゃってますね(笑)。参加してくれたプレーヤーたちの質が高いのもありましたが、なんと2日プレーしてもらっただけでポジショナルプレーの形ができあがりました。もっと時間が掛かるもんだと思っていたので、嬉しい誤算でした。
では、うまくいった試合を見ていただきましょう。それぞれのプレイヤーのポジショニングと、それによって見事に循環していくボールの流れに注目してください。
うまくいった試合
雑感
プレーしたのがDiv5だったので、これより上の相手だとどうなるかはまだ未知数な部分があります。それでも、これだけ再現性をもってプレーができ、結果がついてきたことは明るい材料だと思います。
他にもうまくいった要因を考えてみます。身も蓋もないことをいうと、一つは選手の質。戦術理解度が高くてすぐにルールに順応してくれたこと、プレッシャーが軽減された状態でボールを持てば決定的な仕事ができることなど、レベルの高いプレーヤーたちによって作戦の実行が容易になったのは間違いなくあります。
一つはコンセプトを守る意識。自画自賛のようでアレですが、縦に急ぎすぎてるときは「ゆっくり行こう!」、プレッシャーがきつそうなら「下げていいよ!」など、味方の様子を見ながらコーチングしたり、自分がボールを持ったらキープしたり下げたりして、ゲームのスピードをコントロールしました。
試合後半やリードした展開で相手の陣形がルーズになってくると、どうしてもこちらも縦に急ぎたくなってしまいますが、この戦い方は早く攻めるほどペースが乱れてしまうので、チームの誰かもしくは全員でゲームのスピードを抑える意識が必要です。
一つは、単純に人数。ポジショナルプレーはそれぞれの選手がポジションを守ることによって機能するので、CPUの数が多いほど機能性が薄れます。最低でも、サイドに立って相手を広げる両SB、SBが広げた中のスペースで待機する3トップ、3トップに楔を打ち込むCH1人、カウンターのケアに尽力するアンカーの計7人は欲しいところです。
更に、CBに1人プレーヤーがいるかいないかではビルドアップの質が驚くほど変わるので、ポジショナルプレーの破壊力を最大限発揮するならCH1人とCB1人を除いたフィールドプレーヤーは全てプレーヤーであることが好ましいです。ちょっと敷居が高いんですが、ポジショナルプレーの特性を考えるとこうなってしまいますね……
他のチームでもポジショナルプレーができるようにと考えてはいたんですが、ここで挙げた要因は属人的な要素が大きく、チームのクオリティはプレーする人間によってブレが大きいかもしれません。まぁ、戦術やシステムってのは選手ありきなところがあるので、ここら辺はしょうがないか。
ただ、各ルールそのものは選手に特別なスキルを要求するものではないので、プレーヤーによってクオリティの違いはあれど、ルールを守って人数を揃えればどのチームでもポジショナルプレーを実践できるんじゃないかな?とは思います。というか、余所でも実際に使えるノウハウなのか気になるところなので、どこかやってくれないかな。
余談
サッカーの戦術と聞くと、「難しいこと」「不自由なこと」というイメージがあると思います。それは半分合っています。プレーの裏にある色々な決まり事を守らないとチームの一員にはなれないし、そこを切り取るとガチガチに管理されているようにも見えます。
ですが、試合の動画を見て、プレーヤーたちは窮屈そうにプレーしていたでしょうか。むしろ、自由に長所を爆発させるようなプレーをしていたと思います。戦術によってスペースと時間を与えられたプレーヤーは、豊富な選択肢を持つすることができ、有効なプレーを選びやすくなるのです。
逆に、決まり事がないと、味方がどこにいるのかもどんなプレーをするのかも分からず、お互いに良さを消し合ってしまいます。ルールが無いことは自由なように見えて不自由なのです。
戦術はたしかに難しいものではありますが、その先にあるのは息苦しい世界ではなく、自由な世界だったりするのです。
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