チェブレックの見た目にだまされてはいけません。きれいに仕上げてあるものの、実際は慌てて自由市場向けに固めなおしただけの、鉄のカーテンの塊です。噂ではクレヨンを持った二日酔いの子供に外装デザインを任せたそうですが、我々に言えることは「我々は自由化された企業家精神を100%支持している」ということだけです。
(Southern Sanandreas Super Autosでの解説)
「南SAスーパースポーツシリーズ」アップデートで追加されたチェブレック。世界で最も広い国からやってきた古いセダンです。厳しい環境を生き抜いてきた車を見ていきましょう。
車両データ
メーカー:ルーン(Rune)
名称:チェブレック(Cheburek)
分類:クラシックスポーツカー
駆動方式:FR
乗車定員:4人
購入価格:$145,000
モデル車の考察
モデルはロシアの自動車メーカーであるラーダのVAZ-2101でしょうか。フロントマスクは同型のVAZ-2106から来ていると思われます。新規のメーカー「ルーン」と共にGTAで初めてのロシア車として登場したことから大きな話題になりました。その上、下記の段ボールエアロもあって独特の存在感があります。
1人称視点だとダッシュボードにドライブレコーダーが置いてあるのが見えます。これは、ロシアでは賄賂目的で難癖をつけてくる悪徳警官や保険詐欺が多いため、自衛のため車にドライブレコーダーを設置するのが一般的というお国の事情をネタにしたものらしいです。細かいなぁ。
名前はクリミアの民族料理「チェブレキ」から取られていると思われます。味付けした挽肉を薄く伸ばした生地に詰め込み、油で揚げたものです。お手軽でリーズナブルな食べ物なので、ロシアではファーストフード的な存在らしいです。美味しそう。
ボディーペイントの元ネタ
クリムゾン・スターは共産主義や社会主義のシンボルである赤い星がモデルとなっています。このゲームでは他にもこの赤い星が付けられる乗り物がありますが、やはりラーダがモデルのチェブレックにこの赤い星が付けられるのは特別感がありますね。
「Prolaps」、錆びた「Prolaps」はゴプニクのスタイルをモデルにしていると思われます。ゴプニクとは所謂ロシアの若いチンピラ・ヤンキースタイルのことで、アディダスのジャージを着てヤンキー座りをしながらひまわりの種を食べるというのが彼らのスタイルです。そして愛車は古いラーダやBMW、VWのゴルフなどで、愛車にこのような黒字に白でアディダスのストライプを入れることもあります。
これだけだと意味不明なのでゴプニクについてもう少し詳しく。ゴプニク(Gopnik)はロシアの労働者階級から始まったカルチャーで、名前の由来は「ひったくり」を意味するスラングの「gop-stóp」、あるいは市慈善協会(Gorodskóje Óbščestvo Prizrénija)の頭文字「GOP」からとられたのではないかと言われています。
1980年のモスクワオリンピックで、ソビエト連邦選手団がアディダスのユニフォーム提供を受けたのをきっかけにソ連ではアディダスが人気に。ブレジネフら政府の人間は選手に欧米製のユニフォームを着せるのを嫌がったものの、東側の繊維製品は品質が低かったので使わざるを得ず、苦肉の策としてユニフォームからアディダスのロゴだけを消したのですが、市民にはアディダスの製品を使っていたのがバレていた模様。
ソ連崩壊後、ロシアの刑務所の殆どは制服がなかったため囚人はジャージを着ていたのですが、そこで着られるようになったのがアディダスのジャージ。そして、ゴプニクと呼ばれていたごろつきたちもアウトローの象徴としてアディダスのジャージを着るように。いつしかアディダスのジャージはゴプニクの制服となっていきました。
ゴプニクは集合住宅や学校の周りでヤンキー座り(スラヴ・スクワットと言うらしい)をしながら屯しているのですが、これは冷たい地面に座ることを避けるというロシアの刑務所の文化から来ているそうで。ひまわりの種はロシアの国民的なスナックで、ゴプニクでなくともロシアではメジャーな食べ物のようです。なんか「ひまわりの種を食べるヤンキー」って言葉だけだとすごい可愛いね。
他にも、安い酒に安いタバコを愛用し、銃やドラッグなど彼らなりのイケてるものに身を包み生活していたゴプニクのスタイルはいつしか文化となり、その生活様式そのものが「ゴプニクスタイル」として確立され受け継がれているようです。
近年のゴプニクは自分たちの文化を自虐的に発信して、ネットではミーム化もしているそうです。とはいえゴプニクから本物のアウトローに堕ちる人も少なくないので、ネタ混じりでゴプニクスタイルをやっている人はまだしも、素でゴプニクスタイルをやっている人には近づかない方が良さそうですね。ここら辺日本の田舎のヤンキー文化と通づるものがありそう。
(ゴプニクってどんな奴らなの?という疑問に答える動画。このチャンネルでは他にもゴプニクに関する動画を多数出しています)
走行性能
速くはないですが意外にも軽快な走りで、楽しんで乗る分には十分な性能です。値段も追加車両にしてはかなりリーズナブルですし、モデルを考えても納得感のある性能と言えそうです。
加速性能はフルカスタムによって中々に鋭くなり、低速域から中速域まで元気よく加速していきます。トラクションは低めなので発進時はちょっとホイールスピンも有り。最高速は残念ながら低いので、長いストレートではあまり力が発揮できません。
ハンドリング面はレスポンスの良さが光り、ハンドルを曲げた方へクイッと向きが変わっていきます。ブレーキの性能も良好。ただ、やはりトラクションが低めなのが災いしてオーバーステア傾向は強く、サスペンションがノーマルだと重心が高めでイン側のギャップに足を取られると横転の危険性も。サスペンションを変えて車高を下げると重心が下がる代わりにオーバーステアがきつくなるので、ここはもう重心かオーバーステアかどっちかは諦める必要があります。
ボディはとても頑丈で、ガンガンぶつけても全く凹みません。ライトはすぐ壊れるので夜間は気をつけて走らなければいけませんが、日中は雑な運転をしても問題なし。流石ロシアで鍛えられてるだけあるぜ。
カスタマイズ
改造パーツが豊富で、中にはこの車だけのパーツも用意されていて非常にカスタムが楽しい車です。カスタム次第で様々な方向性に化けさせることができますね。
まずエアロでインパクト大なのが段ボールエアロ。まるでオモチャのような安っぽい改造で笑ってしまいますが、世界は広いので実際に段ボールエアロで武装するチューニングは存在します(画像)。ロシアではとにかくポピュラーなラーダはこういった魔改造のベースになることも多く、段ボールエアロすら常識的に思える改造もあったりします(こんなのとかね)。海外のこういうクレイジーな改造ってぶっ飛び過ぎで凄いですよね。日本でも探せばあるんでしょうけど、国内と国外ではぶっ飛んだ人間の絶対数が違うのでどうしても海外のトンチキマシンが目立ちますね笑。
当然、段ボールエアロなんてもんを付けられるのはチェブレックだけ。しかも段ボールエアロは各種100ドルと他のパーツに比べてやたら安いのがまた笑えますね(逆に100ドルも掛かるのかとも思ったり)。段ボールのフルエアロでネタに走るのもいいですし、ボロ車風にして段ボールエアロを付けて哀愁を漂わせるのも味があっていいですね。
それ以外でもバンパーを外したり、インタークーラーを外付けしてみたり、大小様々なスポイラーを付けてみたり、他の旧車系であるようなエアロパーツは大体用意されています。段ボールエアロなどおかしなパーツが目立ちますが、硬派な仕様もしっかり作れるのが魅力です。
他に特徴的なパーツはヘッドライトのカバー、フェンダーミラー、ルーフに載せられるラック(荷物付きも有り)など。ヘッドライトカバーはレース仕様に合っていますし、フェンダーミラーとルーフラックは古さというか時代感を演出できるので良い雰囲気アイテムですね。
サスペンションは結構な下げ幅で、一番下のレース・サスペンションにすれば車高をグッと落としてキャンバー角を付けることができます。シャコタン鬼キャンというほどは下げられませんが、スタンス系にするわけでも無い限りこのくらいで十分でしょう。
ボディーペイントは前述の赤い星やストライプ系にレース系の企業ペイント、錆ペイントが用意されています。共産主義バンザイなペイントも良し、ゴプニクスタイルをロスに持ち込むのも良し、レース仕様やボロ車にするのも良しといった感じですね。
ボディーペイントの「Prolaps」、錆びた「Prolaps」、「ハードベース」を選択すると、トランクの中にウーハーが設置されます。ロシアの音楽ジャンルの一つにHardbassというものがあり、ゴプニクはそのジャンルをよく聞いているのでそういった部分を意識したペイントだと思われます。このウーハーはベニーズ車両の音響装置のようにちゃんと音を外に流してくれるので、ミーティングなどで主役になれますよ。
感想
近年の追加車両はどれも数十万ドルが当たり前な中で、10万ドル台で購入できるというのはそれだけで評価できる点。走りも癖はありますがそれほど悪くないですし、カスタマイズの幅はかなり広く様々なスタイルに対応しているということで、価格に対する満足度はかなり高い車だと思います。クラシックカー好き、ロシア文化好きのプレイヤーは是非とも購入して自分なりのチェブレックを作ってみて欲しいですね。
モデル車について
ラーダ VAZ-2101
イタリアで生まれ、欧州で人気を博した名車フィアット 124。そのライセンスを得たラーダが、自国のソ連(現ロシア連邦)で名前を変えて販売したのがVAZ-2101だった。ソ連の厳しい環境と運転条件に合わせるため、エンジンはフィアット製のものからナミ製のものに変えられ、荒れた道を快適に走るための柔らかいサスペンション、厚く重たい強固なボディなど、元の124から様々な点が変更された。こうして環境に適応したVAZ-2101は瞬く間に国内のヒット作となった。なお、ラーダにとってVAZ-2101は初めての自社製品となっている。
フォトギャラリー
関連コンテンツ
他のチェレンコフ・ウォッカがスポンサーの乗り物→【GTAオンライン】アルコール飲料メーカーのペイントがある乗り物まとめ
他のフカル、アトミックがスポンサーの乗り物→【GTAオンライン】タイヤメーカーのペイントまとめ
これまでのGTA5/GTAオンライン車図鑑まとめはこちら