スマブラSPのPV、「灯火の星」が公開されましたが、ゲーマーの皆さんはもう見ましたか?
やばくないですかこれ?やばいですよね?やばいものを見たオタクってやっぱり語彙力もやばくなっちゃいますね。だってやばいものはやばいもん。
冷静になります。このPVは2018年12月7日(金)発売予定のNintendo Switch『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のストーリーモード的存在、「灯火の星」を紹介する動画なのですが、あまりのネタの詰め込めっぷりと完成度に、僕は一度見ただけで心臓をブチ抜かれました。興奮したオタクはとにかくその凄さを他人と共有したい、ということで、このPVの凄さとネタを解き明かしていきたいと思います。
スマブラ世界について
まず、このPVのシチュエーションとスマブラの世界観を触れたいと思います。「知っとるわ!」という方は飛ばしてください。
スマブラ世界(作中では「この世界」)は、「イメージによる命」を吹き込まれたフィギュア(作中では「ファイター」)たちが集められ、自分たちの腕を競い合ったりして過ごしている世界ですが、初代と2作目のDXでは詳しい世界観の説明はされず、ゲーム中でなんとなく「フィギュアたちは、マスターハンドとその一派(謎のザコ敵)と戦っているのかな?」くらいのことしか分かりませんでした。
そして3作目のXで、アドベンチャモードの「亜空の使者」が登場。ファイターたちと「亜空軍」と呼ばれる敵との戦いが描かれ、「この世界」を滅亡させようとする敵がいることが分かりました。
(詳しくはスマブラXのwiki、亜空の使者ムービーまとめをご覧下さい)
亜空の使者ではファイターたちが戦いに勝利し、亜空軍を退けることに成功しました。
そして、今回の「灯火の星」。フォックス率いるファイターたちが集結し、大量のマスターハンド(複製っぽい)とその中心にいる敵と対峙しています。
中心の敵は公式サイトで紹介されていて、名前は「キーラ」。紹介文では
ファイターを全滅させ、すべての生物の身体を奪った、光の化身”キーラ”。新たなる創世を狙うキーラに立ち向かうため、ファイターとスピリッツを解放してすすめ!
と書かれています。
「この世界」の主であるはずのマスターハンドを大量に従えているキーラ。とんでもない敵ですが、フォックスの「今日こそ決着をつけてやる!」というセリフと、冷静に戦況を見つめ覚悟を決めるマルスたちを見ると、キーラとファイター達の戦いは長きに渡って続けられてきたようです。
そして、ついに彼らの最後の戦いが始まるか、と思いきや……
キーラの放つビーム攻撃に、ファイター勢はカービィ以外が一瞬で全滅。あくまで原作世界とは違うフィギュアたちとは言え、それぞれが自分の世界を救ってきた英雄たちが、為す術なくやられていくという衝撃的な映像でした。
キーラ戦の内容を見ていこう
ここからが本題です。カービィを取り逃した以外、キーラの圧勝と言える約2分間の決戦でしたが、その2分でキーラの恐ろしさとファイター達の生き様がこれでもかというくらい濃厚に詰まっています。
まず、先頭に立つシュルクが、異変に気づきます。シュルクは未来視の能力を持っており、これから起こりうる未来を見通すことができます。その未来は場合によっては変えられるものもあるし、どうにもできないものもあります。
シュルクはキーラの攻撃で仲間たちがやられる未来を見たことで、咄嗟にそれを仲間たちに伝えようとします。しかし、内容を伝える間もなくキーラの攻撃が始まり、シュルクは皆の方へ振り向き「何かが来る」と伝えることしかできませんでした。
そしてキーラの攻撃が始まり、ファイター達は自分のスキルを使って必死に抗います。
リンク:盾でジャストガードをして2度ビームを反射するも、3回目のビームで体勢を崩され4回目のビームで脱落
サムス:ショットを打つがビームには効果なし
ゼルダとミュウツー:それぞれバリアで身を守ろうとするも効果なし
ソニックとピカチュウ:ソニックがピカチュウを助けるために速度を落としていたところ、ピカチュウがビームで脱落。急いで加速体勢に入ったものの間に合わず脱落
ベヨネッタ:バットウィズインで回避するも、空中で追撃を食らい脱落
ポケモントレーナーとクッパ:ビームを迎え撃とうとするも効果なし
キャプテン・ファルコン:ブルーファルコンに乗り込もうとしたところを狙われ脱落
ルカリオとゲッコウガ:ルカリオは1度回避するが、ゲッコウガの裏で死角になったところを狙われ脱落。ゲッコウガもジャンプして回避するが、空中での硬直を狙われ脱落
インクリング:インクの中に潜るが、地面ごとビームで攻撃され脱落
ファルコ:アーウィンで逃げるが、下から突然現れたビームに右翼を破壊され、追撃のビームで脱落
パルテナとピット・ブラピ:パルテナが2人を逃がすため反射板で対抗するも効果なし。パルテナが脱落したことで飛翔の奇跡を失ったピットとブラピが墜落、そこにビームが襲いかかり脱落
スネーク:段ボールに身を隠したものの見透かされビームが直撃し脱落
ディディーとロゼッタ:空中へ逃げたがビームの方が速く脱落
WiiFitトレーナー・ダックハント・むらびと:WiiFitトレーナーは上スマッシュの無敵時間で回避しようとするも長時間のビームに耐えられず脱落。ダックハントは空に逃げようとするも離陸する前にビームが当たり脱落。むらびとは慌てて行動する前に脱落
こうして見ても、ほぼ為す術なくファイター達がやられたのが分かりますが、決してファイター達が弱かったわけではなく、「最善手を打ったファイターの行動を完全に読んでいたキーラの勝利」なのです。
ここがズルいぞキーラの攻撃
キーラのビーム攻撃は、ほぼガード不能で当たれば一発KO。その上、超スピード、超連射、超高精度で追尾性能有りと、もはやインチキと言いたくなるレベルの威力です。
更に、キーラは自らの攻撃に対してファイター達がどんな行動を取り、それを崩すにはどう攻撃をすればいいかを全て知っているかのように攻めてくる狡猾さも持っています。
そのあまりにもあまりにもな攻撃性能から「クソマンチビーム(由来についてはこちらで)」とか呼ばれていますが、その内容を見ていきましょう。
リンクは盾でビームを2度防ぎましたが、2回までは正面からの攻撃でした。これで「真正面から来るからジャストガードで跳ね返せるし反撃のチャンスもある」と思わせたところで、3回目に直前で上向きの変化をするビームを打ち込み、体勢を崩して4回目のビームを打ち込んでいます。
回避能力を持つベヨネッタ、ルカリオ、ゲッコウガはしっかりと初撃を回避しますが、回避後の硬直を的確に狙われています。彼らが初動でどんな対応をし、どうすれば生まれた隙を突けるかを理解している攻撃です。
回避能力持ちで、回避することも選択できたゼルダとミュウツーですが、彼女らはビームをガードしようとしてやられています(パルテナも同様)。キーラの嫌らしいまでに心を読んだような攻撃からすると、リンクが盾でビームをガードできていたところを最初に見せたこともここに繋がっているかもしれません(もしかしたらあのビームは反射できるかも、と)。
そして、速度的に万全の状態ならビームから逃げ切れたかもしれないソニックとキャプテン・ファルコン。ソニックは性格的に仲間を見捨てられないことから、ピカチュウを囮として利用し、ピカチュウのために速度を落としていたところを狙っています。キャプテン・ファルコンはそもそもブルーファルコンに乗せないという対応で封じています。
これだけでも「ズルい」のオンパレードなキーラの攻撃ですが、更に酷いのはスネークの撃破。一見するとただのネタでしかないダンボールおじさんの撃破シーンですが、「ダンボールに隠れたスネークは見つけられない」というゲームのお約束を踏みにじった攻撃で、いかにキーラの攻撃がファイター達にとってどうしようもないものかが伝わってきます。
キーラがファイター達を的確に潰していく中、唯一生き残ったのはカービィでした。ワープスターで離脱をするカービィですが、このときワープスターは数々のカービィ作品でも見せていなかった「本気の速度」を出し、カービィを逃がすことに成功します。ここでも、ワープ直前までは速度自体はビームの方が勝っていて、小さなビームで取り囲んで逃げ場を失わせてから最後に極太ビームで仕留めるキーラの攻撃は的確でした。
キーラの攻撃は最終的に「この世界」を含めた銀河を丸ごと飲み込むような攻撃で、それすらも回避したということは、ワープスターは時空を超越したのかもしれません。計算づくでファイター達を一網打尽にしたキーラでしたが、計算外の行動を取ったカービィだけは撃破することができませんでした。
これはカービィの力だけで成し遂げたものではありません。シュルクが未来視をしてたった数秒でも早く危険を知らせたこと、カービィ以外のファイター達がビーム攻撃の対象になってカービィから攻撃を逸らさせたこと。描かれていないファイターも含め、ファイター全員の奮闘がカービィという希望を残したのです。
ということを、あのPVはたったの2分間で描写していました。いや詰め込みすぎだろ!
みんなが生きている
まず、これだけの内容をあの短時間で表現したのがすごいですが、何よりもキャラクターの生きっぷりがすごくないですか?
スマブラに限らず、こういった多数のキャラクターを同時に描く群像劇は、いかにして各々のキャラクターを立たせるかが大事です。それぞれのキャラクターに見せ場を作らないといけないけれど、見せ場を作りすぎると冗長になったり、何を強調したいのかが分からなくなったりします。また、それぞれの見せ場でしっかりと「そのキャラらしさ」を表現するのも大変です。
しかし、このPVのキャラの立ち方は異常です。出てくるキャラクターの誰もが「あー、このキャラならこう動くよね〜!分かる~!」ということを誰一人欠かさずやってくれているのです。だからこそ、あの短時間でファイター達が見せてくれる輝きと没入感が堪らないのです。それだけに、彼らが倒されていく絶望感も強烈です。
そんな絶望を背負いつつ、希望の星となるのがカービィなのがまた良いですね。「仲間を見捨てて自分だけ生き延びてしまった」というシチュエーションは非常に重たいですが、カービィだと「まぁなんとかなるな」と思えてしまいますからね。他のキャラクターだと、背負うものが重たくなりすぎて希望の部分が見えづらくなってしまうでしょうから。
いやいや、もう本当にすごい映像でした。後半の闇堕ちした仲間(というか複製された仲間?)との戦いも、流れる挿入歌もアツすぎですね。スマブラはDX以来やってないのですが、SwitchごとSP買っちゃおうか迷うくらい心が揺さぶられています。完全に任天堂、桜井氏の掌の上で踊らされてますね。皆さんも星の火灯、じゃなかった、灯火の星、どうですか?
歌詞に込められたメッセージに想いを馳せるのもいいですねぇ……
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