対魔忍RPGにて「勢力戦」というイベントが開催されました。手持ちのユニットたちを総動員して敵に挑む新たなイベント……しかし、蓋を開けてみれば不評の嵐。まだまだ仕様が煮詰まっていない中でプレオープンとして開催された勢力戦ですが、「まだ試作段階だから」では済まされないほどの阿鼻叫喚っぷりです。一体このイベントのどこがいけなかったんでしょうか?
基本的なシステム
勢力戦では難易度毎に複数のクエスト(戦闘)が用意されていて、手持ちのユニットを使ってそれを踏破することが求められます。これまでのクエストと違うのは、複数のクエストを通しでクリアしないといけないこと。例えば、初級では5個のエリアクエストが用意されていて、5個のエリアクエストを全て終わらせないとクリアにならず、途中で諦めると半端な報酬しか貰えません。
その代わり、クリアできなかったエリアでも進行状況を残したまま再挑戦が出来るので、さながら1人レイドバトルのような感じでどんどん新しいユニットと部隊を投入して戦うことができます。そうやって手持ちのユニットが尽きるまでに全てのクエストをクリアできたらこちらの勝ち!となるわけです。
ユニットには新しい概念として「コスト」と「出撃回数」が加えられました。コストはレアリティが高いユニットほど高くなり、部隊の総コストが増えるほどクエスト挑戦時の消費APが増えてしまいます。出撃回数は全クエストで何回そのユニットが出撃できるかを表していて、0になると再出撃させられなくなります。出撃回数が0になっても再出撃させたい場合はゴールドを使うことでそれが出来るようになりますが、ゴールドの消費が激しく、超上級ではゴールドを払って再出撃させるとこ自体が出来ないので注意です。
このように、定番の強力ユニットだけでなく様々なユニットを使って攻略していくことが求められます。全クエストを通しでクリアすると、「大隊派遣」といって派遣クエストのように時間経過で勝手に報酬を取ってこさせることも出来るようになります。
その大隊派遣で掛かるAP・ゴールド・時間はクエストのクリア結果によって変化し、クエストで掛かったAPとゴールドが少なければ派遣のAPとゴールドも安く済み、クリアまでのターン数が少なければ派遣の時間も短くなります。なので如何にして効率的な派遣をさせられるようにクエストを攻略するかも楽しみとなっています。
コンセプトは良い
勢力戦のコンセプトである「様々なユニットを使わせる」という点は間違いなく素晴らしいです。こういったソシャゲで戦力が整ってくると決まったメンバーしか使わなくなってきてしまうのが常ですが、そうやって埃を被ってしまうキャラにスポットライトを当てようとするのは良いことです。
そのための努力として、勢力戦では「フォーカスユニット」と言ってテーマに沿ったユニット(今回であれば「水着」と「ノマド」)のコストが削減され、出撃回数も多めになっています。これにより普段は使わないユニットも有利な条件で編成に組み込むことができますね。
が、そんな素晴らしいコンセプトがこの勢力戦では完全に破綻しています。だからこそ各地のお館様とオークが悲鳴を上げているのです。なぜこうなってしまったのでしょうか?
消費APの問題
まず、消費APの調整が全体的に杜撰です。各ユニットのコストがクエストの消費APに関係してくるわけですが、その消費APが重すぎ。SRユニットをフルで投入したら1回のクエストで数十APが持っていかれますし、そんな部隊で通しでクリアしたら派遣1回で数百APが持っていかれます。今回のイベントの報酬内容もAP回復役をバンバン使ってまで取るほどの物も無いので、そんな報酬のためにAPをバンバカ使っていくのは割に合いません。
そうなってくると、プレイヤーは自然と低コストでAP消費を抑えた部隊を編成します。そして結果は、Rユニットたちに鬼謀4を付けた部隊で我慢大会をするのが最適、となってしまっています。勿論そうなるとターン数が増えて派遣の時間も増えますが、APと時間を天秤に掛けるなら時間の方がお得です。勢力戦ではAPを消費しても経験値に還元されないわけですし、色んな面で考えて勢力戦でAPをゴリゴリ削られるのはきついです。
この時点で、「様々なユニットを使わせる」というコンセプトは破綻しています。中途半端な性能のSR・HRはこれまで以上に影に隠れてしまい、一部の強力なSR・敵と相性の良いRに需要は限られてしまいました。
結局、今回のイベントで最高効率でコインを集めるには、「魔性のHP回復持ちRユニットに鬼謀4天賦2を持たせて、上級1をクリアして帰還、クリアして帰還を繰り返す」が一番、となってしまいました。どう考えても運営が本来遊んで欲しいやり方ではないと思いますが、その方法が最適解になってしまうようなレベルデザインということですね。
試行錯誤がしづらい
色々なユニットを試してもらいたいはずのイベントなのに、試行錯誤をしづらいシステムになっているのも問題です。1回1回の出撃でAPが持っていかれるのは勿論のこと、1度クエストに挑戦をすると通しでクリアしないといけないので、「このエリアだけ重点的に研究しよう」ということが難しいです。
特に攻略が求められる超上級ではゴールドを使った再出撃も叶わないため、決戦並みの高難易度クエストをやり直し不可の状態で連続クリアしないといけません。失敗したら最初からの戦いを手動で周回していくのは相当に厳しいプレイ体験になります。
また、これは勢力戦に限らない話ですが、そもそも対魔忍RPGのシステム・UIって気軽にアレコレ試行錯誤しづらいんですよね。その最たるものが「装備」で、整理・整頓が面倒、付け外しが面倒で色々なユニットを使う際の大きな障害になっています。他のゲームで部隊編成をするならキャラだけを入れ替えればOKですが、対魔忍RPGの場合はキャラも装備も入れ替えないといけないので気軽に編成を弄ることが出来ません。ただただそれが面倒だという話なんですが、毎日ちょこちょこ触って遊ぶソシャゲでは、日常のちょっとした面倒がやがて重たい負担になってしまいます。
そんなわけで、色々なユニットを使ってみようかなという気になってきても「でも装備を入れ替えないといけないよな……」とやる気が削がれてしまうことが多々あります。勢力戦のようなコンテンツを盛り上げたいなら、対魔忍RPGの面白さでもあり面倒臭さの元凶でもある「装備」、そしてそれを中心とした編成の煩雑さも見直さないといけないかもしれませんね。
全部やろうとしすぎ
勢力戦の問題をまとめると、「全部やろうとしすぎ」に集約されると思います。色々なユニットを使って、高難易度クエストで試行錯誤をして、周回と派遣で報酬を集めて……という各要素が別々に主張をしています。消費APを抑えて報酬を豪華にするだけでも大分マシになるとは思いますが、「プレイヤーに何をさせたいのか」の取捨選択をしないと根本的な問題は解決しなさそうです。時間と手間の掛かるコンテンツと周回前提のソシャゲシステムは噛み合わせが悪いんじゃ。
あとは、フォーカスユニットに極端な有利条件を付けるとか。フォーカスユニットはコストも出撃回数も全ユニットの中で最高効率にする、ぐらいしないと編成意義が出ないと思うんですよね。ちょっとコストが安い、出撃回数が1回多い程度ではフォーカスユニット使おう!とはならないので、性能の壁を超えるレベルでそのユニットを使いたくなる理由が欲しいですね。
本当に問題が山積みで、持っていたはずの魅力がほぼかき消されている勢力戦ですが、対魔忍RPGはユーザーライクで改善が見込める運営なので次の本番に期待したいと思います。「一発目やらかすけど最終的に何とかする」が対魔忍だ!
関連コンテンツ
その他の攻略情報→対魔忍RPG攻略記事まとめ