信じられないかもしれませんが、21世紀に入る頃、アメリカは2つのことで世界に知られていました。軍産複合体の影響力の低さと、スポーツカーの性能の低さです。しかしアメリカ産業を完全に理解したと思った頃、世界は思いがけない形で反撃を食らうことになりました。コケットD5という規格外の車が登場し、民間軍事請負業者は今後数十年食っていけるほど潤ったのです。クールなシャーシや時代を超えるV8エンジン。そして忘れられないほどの衝撃と畏怖が加わり、アメリカは偉大なる復活を果たしたのでした。
– ミサイルのロックオン・ジャマー可能(Legendary Motorsportでの解説)
「エージェント・オブ・サボタージュ」アップデートで追加されたコケットD5。成功したアメリカ人は若かりし頃に憧れたコケットを手に入れて老後を満喫するのが常でした。金持ちの老人のおもちゃである1台を見ていきましょう。
車両データ
メーカー:インヴェテーロ(Invetero)
名称:コケットD5(Coquette D5)
分類:スポーツカー
駆動方式:FR
乗車定員:2人
購入価格:$1,730,000
モデル車の考察
モデルはシボレー コルベット(C6型)ですかね。ヘッドライトはホンダ NSX(NA2型)、テールライトは日産 GT-Rの要素があって、コルベットに日本車の要素が足されています。
GTA4のCoquetteはC5型のコルベットをモデルにしたような車で、この頃もNSXとGT-Rの要素が入ったようなデザインでした。D5はそのCoquetteのマイナーチェンジ、あるいは同一車種くらい似てますね。
今作でコケットの歴代シリーズが登場すると共に、コケットD10、コケットD1と名前に数字が付くようになってきました。この数字はモデルのコルベットの型式に合わせてる、と見せかけて別にそうでもないのがモヤモヤしますね笑。D5もC5と見せかけてC6だし。なんならGTA4のCoquetteもC6だったり?深く考えない方がよさそうです。
ボディーペイントの元ネタ
走行性能
かなり高性能なスポーツカーで、HSWを抜きにすればスポーツカーカテゴリーでもトップクラスの速さです。ただし、かなり厄介目な特性がありそのポテンシャルをフルで発揮するにはこの車への理解が必要です。
加速性能は高いですね。アクセルを踏み込めばグイグイと車体が前に押し出されます。発進時にホイールスピンをするのでトラクション性能はそこそこかなと思いきや、FRと思えないほど急坂でも問題なく駆け上がっていきます。最高速もかなり高め。
ハンドリング面は結構な曲者。まずアンダーステア傾向が強いですね。速度域が上がるほどアンダーが強く出るので、高速コーナーはかなり曲がりにくいです。また、ステアリング操作に対する反応が割とルーズで、ハンドルを切ってからググゥ〜っと時間を掛けて車体が追随してくるので、咄嗟の反応で操作をしても間に合わないことが多いです。ブレーキも効き自体は良いんですけど効き始めがちょっと遅い。
車高を下げると動きがソリッドになるものの特性自体は対して変わらず。スポイラーを付けるとダウンフォースで安定しますが、アンダーステアが直るわけではないので調子に乗ると曲がりきれないことが多々あり。路面のギャップにも弱く、特に怖いのが中高速コーナーで、ダウンフォースが抜けるといきなり滑り出して対応に追われます。
ざっくりとしたまとめ方をすると「固さ」が強い走りです。良く言えば安定してるし、悪く言うと融通がきかない。加えて、ポテンシャルの高さが仇になっている感があります。一見安定しているように思えて、尚且つスピードレンジが高い。そのため、どこまでなら攻められるかをドライバーに誤認させやすい車です。大丈夫そう、まだまだ行けると、気づいた時には限界を超えててクラッシュ。レスポンスが悪いので、軽快な車ならヒヤリで済んだ場面でもこの車だと事故で終わるのもたちが悪いところ。
変な例えをすると「真面目風」というか、真面目っぽいし仕事は出来るので良いよ良いよと放っておくと、「やっちゃいました」と大事故になった後で連絡してくるタイプです笑。実は全然大丈夫じゃなかったけどそれを言わず、限界を超えて手遅れになった後で色々な話が出てくる、ある意味一番信用できない相手です。言ってて自分も心当たりがあって胸が痛くなってきたのでこの辺にしておきます笑。
ともかく、信用しすぎないのが大事な車です。悪癖さえ知っておけば性能の高い車なので、余裕を持った操作をしてここまでなら大丈夫という領域で動かすだけで十分に速さを発揮してくれます。「いやいや俺なら乗りこなせっからw」と思って乗ると火傷をしますが、「あの子ちょっと心配だよね笑」くらいの気持ちで乗ると楽しく付き合えます。さっきから何の話ししてるんだろうね。
ボディーの強度は弱く、ハイスピードで一回ぶつけるだけでグシャッ。しかも走りにかなり影響が出るタイプで、当たりどころが悪いと本当に一回ぶつけただけでまっすぐ走らなくなります。レースで使うならこの脆さは致命的なので、アーマーを強化した方が無難です。
自分のタイムアタック記録
救急ドリフト 0:52.418
カスタマイズ
カスタムの内容はかなり物足りない感じ。アレも出来ない、コレも出来ない……。あらゆる部分に手が届かない!
フロント部分はバンパーの項目が無い代わりにスプリッターの項目があり。大人しいサイズのものから中々のサイズのものまで。グリルの項目では開口部に横線を入れたり格子を入れたり。リアにはディフューザーがあり、これまた派手なものばかり用意されています。
ボンネットはセンターにダクトが付くコルベットっぽいものや、サイドにダクトが付くNSXっぽいものなど、サブカラーとカーボンのカラー差分付き。ミラーは純正の形状のカラー差分のみ。
サイドスカートはそれなりに種類がありますがどれも板が付くタイプでサイズも控えめ、間違い探しのような感じ。マフラーはリアに2本出しか4本出しかでこちらも殆ど間違い探し。
スポイラーはダックテイル、GTウイング、それなりの大きさのスポイラーが色々用意されてるんですが、なんか形状に見覚えがあるというか、エレジー・レトロあたりでよく見たようなスポイラーばかり。流用はいいんですけどあんまりコルベットのイメージっぽくない、似合ってるかどうかなんとも言えない感じ。
テールランプが35GT-RっぽいのでそこからGT-R繋がりで流用されている気がしますが、テールランプ以外は別にGT-Rには見えないので、コルベット以外からイメージを持ってくるならせめてNSXの方からイメージしてそれっぽいスポイラーを持ってきてほしかったかな。
サスペンション変更による車高の下げ幅はそれなり。もうちょっと車高を下げたかったのもあるんですが、根本的な問題としてタイヤとタイヤハウスの間が空きすぎ。タイヤが小さいあるいは元々のタイヤハウスが大きめか、コンペまで下げてもタイヤと車体に隙間が出来て締まりが悪いんですよね。純正ホイールだとそこまで気にならないものの、他のホイールに変えるとそこが顕著に出てしまうので見栄えが悪いです。ガッツリカスタムするほど足元が決まらない。
サブカラーの適用範囲は純正だと無し。カラー差分パーツで色の違いを出しましょう。
ボディーペイントはコルベットっぽいストライプや2本線ストライプ、クロスっぽいリバリー、企業ペイント、色落ち迷彩など。悪くはないけどそれ以上でもない無難な内容でしょうか。
ここまででもかなり微妙な感じのカスタマイズ性。しかし一番致命的なのはルーフを弄れないこと。別にコンバーチブルになるわけでもない黒ルーフ固定が物凄くカスタムの邪魔をしています。
モデルの方は細く(あるいは黒塗りで)目立たなくされているAピラーが、D5は考えなしにニョキッと生えているのも酷く収まりが悪いです。サブカラーでボディ上部を黒統一したりしてこの違和感を消すことも出来ない。見れば見るほど、弄れば弄るほど、この車って変!
(ちなみにNSXもAピラーの形がこんなんだったと思いますが、ルーフとセットで黒くなっていたり、メインカラーの範囲を細くするなどして目立たなくされていました。)
感想
個人的にGTA特有のキメラ化が全然上手くいってない車両だと思います。合体事故。前作のデザインを意識したフロントマスク(というかボディーの前半分)はNSXの色が強すぎ、かといってカスタムでNSXに寄せられるわけでもない。エレレトみたいなスポイラーは浮き気味。コルベットらしき何か。
そしてルーフ周りにタイヤ周りのハマらなさ。どこから見てもモヤモヤする造形で、スッと違和感なく見られるのはリアくらい。弄るほど違和感は大きくなり、純正が一番マシか……と何も触れなくなる日々。
キメラ化が上手く行っている時の纏まりの良さや要素の良い活かし方などが感じられず、パーツも求められているものをハズしていたり不足していたり。ビジュアルについてはマジで文句しか出てきません笑。こんなに何もかも自分にハマらない車も珍しいです。イイトコ探ししようとしても何も浮かんでこない。この車の見た目が気に入ってる人はごめん。
走りに関しても危ないのであんまり好きじゃないです笑。速いし、落ち着いて乗れば問題ないんですけど、レースで相棒に出来るほど心許せる相手じゃない。かといってクルージングを楽しみたい車でもないので、スポーツ走行もドライブも気持ちよくなれないんじゃねぇ、という気持ち。ついでにオープンカーにして一人称で景色を楽しんだりもできない。コルベットという素材を使ってよくもまぁこんな不満だらけの仕上がりに……。自分で作り直せるのなら作り直したい!
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