こんばんは、麻乃ヨルダです。本日はYoutubeでフルで見られるサッカーの試合をお届けしていきます。
サッカーファンにとっての長年の悩みの一つ、それは過去の試合のアーカイブが気軽に見られないこと。有料チャンネルでは主にその年の試合と去年の試合をアーカイブで残しておいてくれたりしますが、それより前の試合のアーカイブは消されたりして、過去の試合ほど遡ることが難しくなります。再放送されるのは一握りの名勝負だけ。
ハイライト動画ならまだしもフルマッチの古い動画は胡散臭い違法アップロードくらいでしか見られず、公式でいつでもフルマッチの動画を見られるという環境がありませんでした。しかし、近年そんな状況を変化させる出来事がありました。コロナショックです。
コロナ禍で自宅生活の世の中になると、各業界が外出せずに動画や配信などでコンテンツを楽しめる施策を打つようになりました。サッカー界も例外ではなく、この時期からYoutubeで各サッカー協会やクラブが過去の試合のフルマッチ動画をアップするように。
サッカー日本代表の試合がアウェー戦のみ有料チャンネル限定に移行したり、欧州チャンピオンズリーグ決勝が地上波で放送されなくなったり、我が国ではむしろオープンにサッカーに触れられる機会が減ってしまっているこの頃。ちょっとでもサッカーの布教に貢献すべく(あと違法視聴を駆逐すべく)、「Youtubeでも試合見られるんだぜ!」という記事を書くことにしました。
今日お届けする試合はFIFA公式チャンネルがアップしている「2006 ドイツワールドカップ決勝 イタリア対フランス」です。
ジダン頭突き事件の衝撃
2006年に行われたドイツワールドカップ。日本にとっても非常に印象深い大会で、あのジーコジャパンが戦った大会でした。2002年の日韓ワールドカップで日本代表は初のグループステージ突破を果たし、そこから日本サッカーが成長して自国開催でないワールドカップでどこまでやれるかを期待されていました。
しかし、蓋を開けてみれば日本は1分2敗。初戦のオーストラリア戦で先制点を取りながら、84分から立て続けに3点を奪われて逆転負け。クロアチア戦でスコアレスドローになると、最後のブラジル戦でボコボコに。失意の中で中田英寿がピッチに倒れ込み涙を流したシーンがこの大会の厳しさを物語りました。
では、決勝戦を戦ったイタリアとフランスはどうだったかと言うと、こちらは期待されていない2チームでした。イタリアは直前にイタリアサッカー界全体で八百長疑惑が巻き起こる「カルチョ・スキャンダル」に揺れている真っ只中。選手たちも賭博への関与が疑われ、今後のキャリアがどうなるかも分からない状況でした。
対するフランスは、レイモン・ドメネク監督の就任以降チームが迷走。ワールドカップ出場すら危ぶまれた中で、ジダンなどの代表から離れていたベテランを復帰させてチームが復調。代表チームの平均年齢が30歳というベテラン頼りのチームでした。
そういった状況にありながら2チームは奮闘。カルチョ・スキャンダルで揺れるイタリアは逆にチームが結束し、開催国のドイツを撃破。フランスも今大会で選手生活を引退すると表明したジダンの花道を飾ろうとチームがまとまり、優勝候補と目されたブラジルを撃破。苦しい状況下で難敵を下しながら2チームは決勝にたどり着きました。
そんな意地と意地のぶつかり合いになった決勝戦で、世界を騒がせたあの事件が起こります。そう、ジダン頭突き事件です。イタリアのマテラッツィに挑発されたジダンはマテラッツィに頭突きを食らわせレッドカード。世界で最も上手いサッカー選手、宇宙人とまで呼ばれた男のプロサッカー選手最後の試合。それもワールドカップの決勝で一発退場。その信じられない結末に、世界中は頭突き事件のニュースで持ちきりになりました。
世界を驚かせた大事件が起きたこの試合はどんな試合だったのか、Youtubeで見てみましょう。
ネタバレあり!試合の感想
自分がサッカーファンになったのは南アフリカワールドカップ以降なので、ドイツワールドカップは当然未視聴。小中学生の頃ですかね。まだジダンのこともよく知らない頃に頭突きのニュースを見ていた気がします。どう思ったのかまでは覚えていませんが、テレビで何回も頭突きのシーンを見た印象はあります。
実際どんな試合だったのか見てみると、試合開始してすぐにアンリが痛み試合がストップ。試合が再開したと思ったら、7分にロングボールの競り合いから崩れたイタリアディフェンスラインにマルダが飛び込み、マテラッツィが止めに行くとPK。
キッカーのジダンがチップキックを放ち、バーに当たったボールはゴールに入っていたか?入っていた!とスタジアムが困惑しながらフランスが先制。いきなりバタバタの展開でした。決勝という緊張感のある舞台で浮ついた締まりきらない展開が発生して、異様な雰囲気になりつつありました。
そして19分、コーナーキックからマテラッツィが高い打点でヘディングを叩き込み同点弾。この試合で事件を巻き起こすジダンとマテラッツィがそれぞれ点を決めるという、結末を知っているとあまりに物語のある展開です。ここからあの頭突きになるのかよ……。
前半はこれ以外にあまり見所がなく終了。決勝ということもあってかお互いにリスクを避け、ロングボールで単発の攻めが多かったのでアクションが少なめでした。どちらかといえばフランスが攻めていましたが、イタリアはセットプレーの度にチャンスを作っていたので、イタリアとしても我慢していればワンチャンスを物にできるという計算があったかもしれません。
後半に入るといきなり試合はヒートアップ。素早い攻めで一気にゴール前に流れ込むシーンが両チームともに出てきて、点が決まりそうな気配に。しかし逆に後半は点が決まらず、お互いに攻めつつも決め手を欠く展開となりました。多分、後半の時間帯がこの試合で一番面白い時間帯です笑。
延長戦に入ると再び試合が膠着し、ジリジリとした展開に。これはPK戦だろうな〜という空気が流れていた延長後半、遂に事件が起こりました。カメラにも映っていないところで事件が起き、ジダンの複雑な表情と倒れるマテラッツィが映し出され、え?何かあった?と思ったらレッドカード。
これリアルタイムで見てた人はどんな感じだったんでしょうか。リアルタイムで見ていない、事件のことを知っていた自分すらも見ていて困惑しましたから、当時はとんでもない衝撃だったと思います。
そしてまだざわざわしている中で試合はPK戦に。最終的にフランスはトレゼゲが外してイタリアが勝つんですが、両チームとも全員PKが上手い。1994年のアメリカワールドカップ決勝ではバッジョが外して負けたイタリアが、全員PKを成功させて優勝。あまりに物語の多い決勝戦でした……。
試合内容そのものは特段何が面白いってことはないので、一回見たら次はハイライトで振り返ればいいや(この試合はハイライトに全てがある)という気もしますが、この歴史的な試合は一度は通しで見たかったのでYoutubeで見られてよかったです。当時の衝撃をほんの少しでも体験できましたね。
(調べてみたらマテラッツィの自伝が出てたんですね)
Youtubeでフルマッチを見よう!
自分のYoutubeチャンネルで、今回紹介したようなフルマッチ動画をまとめたプレイリストを作っています。とりあえず良さげな試合のフルマッチ動画はプレイリストに入れておいて、見終わったらリストに残すか残さないか決めて試合を厳選していこうと思っています(なのでリストの内容は日々変わります!)。
リストに残す(ブログで記事を書く)基準は、「結果が分かっていても楽しめるくらい面白い試合」か「サッカーを語る上で知っておかなきゃいけないくらいの歴史的な試合」という感じです。Youtubeでいつでも何度でも見られるからこそ、他の動画や配信アーカイブと比べても特別な視聴体験が出来る試合を集めたいなと。約2時間、映画1本分の時間を使うわけですから、他のコンテンツではなくサッカーじゃないといけない理由を見出だせるような試合を選んで紹介していきたいですね。
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