こんばんは、麻乃ヨルダです。本日はYoutubeでフルで見られるサッカーの試合をお届けしていきます。
サッカーファンにとっての長年の悩みの一つ、それは過去の試合のアーカイブが気軽に見られないこと。有料チャンネルでは主にその年の試合と去年の試合をアーカイブで残しておいてくれたりしますが、それより前の試合のアーカイブは消されたりして、過去の試合ほど遡ることが難しくなります。再放送されるのは一握りの名勝負だけ。
ハイライト動画ならまだしもフルマッチの古い動画は胡散臭い違法アップロードくらいでしか見られず、公式でいつでもフルマッチの動画を見られるという環境がありませんでした。しかし、近年そんな状況を変化させる出来事がありました。コロナショックです。
コロナ禍で自宅生活の世の中になると、各業界が外出せずに動画や配信などでコンテンツを楽しめる施策を打つようになりました。サッカー界も例外ではなく、この時期からYoutubeで各サッカー協会やクラブが過去の試合のフルマッチ動画をアップするように。
サッカー日本代表の試合がアウェー戦のみ有料チャンネル限定に移行したり、欧州チャンピオンズリーグ決勝が地上波で放送されなくなったり、我が国ではむしろオープンにサッカーに触れられる機会が減ってしまっているこの頃。ちょっとでもサッカーの布教に貢献すべく(あと違法視聴を駆逐すべく)、「Youtubeでも試合見られるんだぜ!」という記事を書くことにしました。
今日お届けする試合はFIFA公式チャンネルがアップしている「2018 ロシアワールドカップグループステージB ポルトガル対スペイン」です。
イベリア半島ダービー!
2018年に行われたロシアワールドカップ。今もなお議論の的となるテクノロジー、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が初めて導入されたワールドカップです。他にも、ホームであるロシア代表がドーピングを疑われるほどの走行距離を叩き出したり、日本代表がゴタゴタしていたり色々とトピックはありますが、その辺の試合も今後ピックアップするかもしれないのでそれらの話題は後に取っておきましょう。
今回紹介する試合はそのロシアワールドカップのグループBの強豪同士の一戦。イベリア半島にある二つの強豪国がいきなり初戦でぶつかる厳しいグループの中で、両チームは力通りの激闘を繰り広げました。
ポルトガル代表はフェルナンド・サントス監督に率いられ、EURO2016では代表チーム初のタイトルを獲得。2000年前後にフィーゴやルイ・コスタら黄金世代を擁しても国際タイトルが一つも獲れなかったポルトガルが初のビッグタイトルを手にし、この大会でも優勝候補に上げられる状態の良いチームでした。
対するスペイン代表は、EURO2016の後にフレン・ロペテギ監督が指揮を取り、世代交代を進めながら公式戦2年間無敗と絶対的なチームを作っていてこちらも優勝候補筆頭でしたが、なんとロシアワールドカップ開催直前にロペテギがレアル・マドリードの監督に就任すると発表。
これが代表とクラブの2重契約であると、ロペテギはワールドカップ開催前日に代表監督を解任され、スポーツディレクターだったフェルナンド・イエロが急遽代表監督を兼任する形で就任。順風満帆と思われていたチームが突然の大混乱に陥っていました。
両チームとも豪華なメンバーで、戦力が拮抗していて好ゲームになると予想されていたものの、スペイン代表のゴタゴタで雲行きが怪しく。しかし、実際に試合が始まってみるとそんな不安を吹き飛ばすような素晴らしい試合が展開されました。スペインの上手すぎるミッドフィルダーたち、そしてポルトガルの大エースロナウドの活躍に注目して試合をご覧ください。
ネタバレあり!試合の感想
初回でメッシが大活躍する試合を紹介したので、じゃあロナウドが活躍した試合が転がってないかなと探してみて、サムネでロナウドが映っていたのでこの試合を視聴してみることに。
代表チームの試合は基本的にあんまり追っていないので当時のポルトガルとスペインがどういう流れで大会に入ったのか記憶が曖昧で、この試合自体も当時見てたか定かではありません。Wiki見て「そうそう、ロペテギ解任されてたわw」と思い出した程度ですね。
試合の話に移りますと、試合の入りは完全にポルトガルペース。ポルトガルの方が圧力を掛ける流れで、開始2分であっさりロナウドがPKを貰い、当然のようにゴール。ポルトガルが先制し、ロペテギの件を知ってると「やっぱりスペインダメか」となりそうな展開に。
その後は早々に点を取れて落ち着いて引いて守るポルトガルと、打開を狙うスペインの構図。やはりボールを持つ展開になるとスペインのパスワークが光ります。ただ、ポルトガルも守備が堅いですし、何よりロナウドを軸とするカウンターの鋭さを持っているので、一歩間違うとポルトガルに追加点を掻っ攫われそうな雰囲気。
しかし、見てて思うのはロナウドの上手さですね。得点能力に注目されがちですが、やはり元々ドリブラーとして頭角を現しただけあってスキルは抜群。何より素晴らしいのは、速攻の局面でのスキルの使い方。
ポルトガルがボールを奪うと、まずターゲットはロナウド。前線のロナウドにボールが渡ると、ロナウドがワンタッチ・ツータッチで簡単にボールを叩くんですけど、この中継がべらぼうに上手くてですね、スピードを全く殺さず駆け上がる味方に繋いでカウンターを完結させてます。
技術はあるけど一切コネること無く、シンプルにチームを加速させるワンプレーで「おっ」と思わせてくれます。クロスやラストパスなどお膳立ても上手く、カウンター特化マシーンとしてのロナウドは自分でゴールを決めるだけじゃなく周りも動かせる脅威の存在です。よくメッシと比較されて「点を取るだけ」みたいなことも言われますけど、もっとこの辺の上手さは評価されていいですよね。
そして、どう転ぶか分からない展開の中で力を発揮したのはジエゴ・コスタ。クロスを弾いたこぼれ球をブスケツが拾い、前線で走るコスタを見てロングボールを供給。敵陣にはコスタ一人だけだったんですが、ペペを倒してマイボールにすると切り返しからの切り返しでフォンテらを圧倒してそのままシュート。ボールはゴールの左隅に吸い込まれます。
いやー、痺れました。流石元アトレティコの怪物ジエゴ・コスタ。ブスケツからのボールは殆どクリアみたいなもので、コスタ一人で行って来いのボールだったんですけど一人でなんとかしちゃいました。スペインの小柄な二列目の選手たちに対して異物感漂うコスタは、この試合でロナウドに引けを取らない存在感を放ちます。
勢いに乗るスペインは直後、左サイドの崩しからイスコが美しいボレーシュートを放つと、ボールはバーに弾かれ跳ねたボールがライン上をバウンド。大会直前に混乱があったとはいえもう既にチームは出来上がっていると言わんばかりにポルトガルへ反撃していきます。
このままスペインペースで前半が終わるかと思われましたが、ペペが蹴り出したボールをゲデスがコントロールし、セルヒオ・ラモスがそのボールを触ると、その先に居たのはロナウド。ロナウドのグラウンダーシュートは力で勝ったのかデ・ヘアの手を弾いてゴールに吸い込まれ、ポルトガルが再びリードを奪いました。どちらも一歩も引かない展開で前半が終了します。
後半に入っても流れは同じ。ボールを回すスペインと構えるポルトガルの構図。10分ほど攻防が続いた後、良い位置でイニエスタがファウルを貰いスペインのセットプレー。ワンテンポずらしてファーサイドに合わせられたボールをブスケツが折り返すと、中で待っていたコスタが流し込み同点。ロナウドとコスタがお互いに2ゴールずつ決める熱い展開になりました。
それから数分後、スペインが左サイドから攻撃しボールが右サイドに溢れると、ナチョがペナルティーエリア外からボレーシュートを放つとボールは美しい軌道でそのままゴールへ。とんでもないゴラッソです。
このシーンを見た時に「これ見たことあるぞ!?」と強烈な既視感に襲われました。この試合の他のゴールではそうは思わなかったので、当時このゴールだけハイライトかなんかで見たんでしょうか。っていうか、ナチョってクラブでもこんなとんでもボレー決めてませんでしたっけ?そっちと混同してる?ともかくすごいゴールでした。
逆転されてしまったのでポルトガルの方もある程度ボールを持って攻める展開に。しかし中々スペインを切り崩せず時間が過ぎていき、これはスペインが逆転勝利で終わりか……と思われた終盤、ポルトガルにフリーキックのチャンス。キッカーは当然ロナウド。
2010年前後、無回転シュートでフリーキックを叩き込んできた姿は今は昔、ロナウドのフリーキックは年々決定率が悪くなり、「壁ドン」をするのが当然の状態になっていました。それでもロナウドはフリーキックの蹴り方を変えず、クラブでも代表でも誰もロナウド以外に蹴らせることも出来ずで、ロナウドがFKを蹴ろうとすると相手側に「助かった〜」という雰囲気が流れるような、悲惨な状況でした。
なので、このシーンでもロナウドが決めると信じている人は殆ど居なかったでしょう。そんな諦めの空気を吹き飛ばすように、ロナウドは右足一閃。デ・ヘアが一歩も動けないシュートで、ポルトガルが土壇場で同点に追いつきます。痺れました。誰もが諦める場面でスーパープレーを見せるのが本物のスターだと言わんばかりのプレーでしたね。
ちなみに、この後も代表でのロナウドのフリーキック決定率は変わらず、確かEUROとワールドカップ通算でこの一本が唯一のゴールになったままだと思います。ここで覚醒してまたFK決められるようになった、みたいなアツイ展開は無かった。アル・ナスルに移籍した後はクラブで何本か決めてるのかな?ここ数年でようやく長いトンネルを抜け出せたようです。
試合はこのまま終了し、両者痛み分けの結果に。優勝候補同士で素晴らしい一戦を見せてくれました。ポルトガルとスペイン、ロナウドとジエゴ・コスタ、この両者の凄さを見られる試合が見たいなら、この試合を勧められるでしょう。
でも、ロナウドが活躍したのは良いけど勝ち試合じゃなかったのは、メッシが決めて勝ったクラシコを紹介した身としてはちょっとアンフェアかもとモヤってます笑。ロナウドの勝負強さが出るのは長いスパンでの戦いになるリーグ戦よりも負けたら終わりのカップ戦の方で、それこそUEFAチャンピオンズリーグとかになるんですけど、UEFAはYoutubeでフルマッチ上げてないのでこの企画だと試合を紹介しづらいんですよね。
UEFAが今後フルマッチ上げてくれればと思いますけど、銭ゲバのUEFAが試合を公開してくれるようになるイメージが湧かないな〜笑。EUROとCL見られるようになったら海外サッカーの世界に引きずり込めそうな試合いっぱい見つけられると思うんだけどな〜。
Youtubeでフルマッチを見よう!
自分のYoutubeチャンネルで、今回紹介したようなフルマッチ動画をまとめたプレイリストを作っています。とりあえず良さげな試合のフルマッチ動画はプレイリストに入れておいて、見終わったらリストに残すか残さないか決めて試合を厳選していこうと思っています(なのでリストの内容は日々変わります!)。
リストに残す(ブログで記事を書く)基準は、「結果が分かっていても楽しめるくらい面白い試合」か「サッカーを語る上で知っておかなきゃいけないくらいの歴史的な試合」という感じです。Youtubeでいつでも何度でも見られるからこそ、他の動画や配信アーカイブと比べても特別な視聴体験が出来る試合を集めたいなと。約2時間、映画1本分の時間を使うわけですから、他のコンテンツではなくサッカーじゃないといけない理由を見出だせるような試合を選んで紹介していきたいですね。
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