この世に出てきたゲームには開発途中で削られた様々な没ネタがあり、その内容がどんなものだったのかを知るためファンはデータ解析をしたり開発者のコメント探しをしたりして、ファン同士で噂を語りあうこともしばしば。
今回はGTA3で語られている様々な没ネタやそれにまつわる噂などを書いていこうと思います。信じるか信じないかはあなた次第……
失踪したドナルド
GTA3の本編で出てくる最大の謎といえば、ドナルド・ラブからの最後のミッション「Love’s Disappearance」です。いつものようにドナルドのビルに行きミッションを受けるとムービーが始まりますが、そこには誰もおらず空っぽになった箱が置かれているだけ……というものです。
このミッション、内容そのものも謎ですが何より存在意義が謎ですよね。ドナルドが街から逃げたのなら、何か書き置きを残してプレイヤーにドナルドが逃げたことを分かるようにするとか、逃げる過程そのものをミッションにするとか出来たはずです。ドナルドが始末されたのなら、死体となったドナルドを屋上に置いておけばいい話です。
そして、このミッションがストーリー上意味を持たないのが気になります。別にこのミッションが無くなっても一つ前のミッション「Decoy(東洋の老人を逃がすためにクロードが囮になるやつ)」でドナルドからの依頼は終わったんだな、となるだけで特に不都合はないんですよね。その後のコロンビアン・カルテルとの戦いとカタリーナへの復讐にもドナルドは関わってこないですし。
強いて言えば、このミッションがあることで「Decoy」で東洋の老人を逃がすために囮になったと思いきや、実はこの間にドナルドも逃げていたのかな〜とか想像する余地が生まれますが、結局ドナルドの末路がハッキリするわけでもないので謎です。
Dodoの謎
もう一つゲーム内で見られる大きな謎はDodoの存在です。翼が折れたセスナという不思議な乗り物で、データ上も飛行機というより車として設定されています。
ただ乗るだけでは飛べませんが頑張ってコツを掴むと飛ばせるように(飛行じゃなくて殆ど滑空だけど)なり、離陸してから着陸すると「〇〇秒間飛んだ!」とメッセージが出ます。もはや飛ぶこと自体がスーパープレイ扱い。
飛べない飛行機Dodoとしてプレイヤーから愛されているこの機体ですが、冷静に考えてみると謎すぎる存在です。まず翼が無い飛行機って何?しかもそれをゲームに登場させる意味って?
常識的に考えて、制作側も最初から「飛べない飛行機をゲームに出そう」とは考えないはずです。普通の飛行機として作ったけど諸事情で飛ばせなくなりました、の方が自然な流れだと思います。
また、ゲーム内では翼が付いているDodoがオブジェクトとして空を飛んでいるので、全ての飛行機が飛べなくなっているわけではありません。あくまでプレイヤーが自由に操作できる飛行機が飛べてしまうのがマズかった、ということではないでしょうか。
9.11の影響
なんで飛行機が飛べるとマズイのかを考えると、思いつくのがあのアメリカ同時多発テロ事件。ニューヨークのワールドトレードセンターにジェット機が突っ込む衝撃的な事件でしたが、ロックスターの本社はワールドトレードセンターから約3キロほどの場所にあり、正に目の前で歴史的事件を目撃することになりました。
9.11が起きたのは2001年の事でしたが、GTA3の発売予定日も2001年。それも10月2日であり、発売予定日の僅か1ヶ月前の出来事でした。
また、GTA3の舞台であるリバティーシティはニューヨークをモデルにした街。とあれば、このクライムアクションゲームが世間に受け入れられるよう、急ピッチで内容の見直しが行われるのは必然のことでした。実際にGTA3の発売は延期され10月22日発売になったため、何かしらの修正が行われたことは間違いありません。
そこから考えられるのは、「9.11に配慮してプレイヤーが飛行機を飛ばして遊べないようにした→その結果Dodoを使うミッションをカットしなければいけなくなった→そのミッションがドナルドの最終ミッションだった」という説です。Dodoを使ってドナルドを逃したりするはずが、その展開が使えなくなったので謎の失踪ということにしたのではないかと。ミッションそのものを完全にカットしなかったのは、何らかの事情があってやりたかったミッションが実装できなかったことをプレイヤーに伝えたかったのではないかと。
よくよく考えてみると、同じリバティーシティを舞台とするリバティーシティ・ストーリーズでもプレイヤーが自由に乗れる航空機って出てこないんですよね。裏技で回収できるヘリコプターを除けば普通にプレイしていて乗れるヘリはありませんし、飛行機はそもそも存在していません。そしてマップも航空機に乗れないことを前提として作られていて、上空から見ると屋根も作られていない空洞の建物が沢山見受けられます。
裏技で乗れるヘリがちゃんとした乗り物になっているように、技術的には航空機を登場させることに何の問題もないはずなのに、何故かLCSでは航空機が登場しない理由を考えると、やはり3と同様に街のモデルがニューヨークだから(9.11を連想させるから)じゃないのかなと。
また、世代が変わって新しいリバティーシティが舞台となったGTA4でもプレイヤーが自由に乗れる飛行機って出てこないですよね。ヘリは出てきているんですけど、飛行機は乗れないジャンボジェット機だけ。
このように、GTAシリーズでニューヨークをモデルとするリバティーシティが舞台の作品だけまともな飛行機が登場していないことを考えると、シリーズを通じて9.11の影響はあると思いますし、3のDodoがあのような形で登場したのも9.11の影響なんじゃないのかなと思うわけです。
消えたキャラクター「Darkel」
製品版で削除された要素の中にDarkelと呼ばれるキャラクターが居ます。このいかにも怪しげなキャラクターはホームレス集団を統べる「革命家」として作られたキャラクターで、リバティーシティで様々なテロ行為を行う人物だったと推測されています。
彼から受けるミッションの中にはスクールバスを使ってテロを行うミッションもあったのではないかという噂もあります。何にせよ、内容の過激さが目立つGTA3においてもDarkelのキャラクターは少し種類の違う過激さを持つため、9.11によって存在が許されなくなった可能性も否定できません。
Darkelの名残は様々なところで見られます。GTA3のプロモーションのため、ロックスターはネット上にGTA3のゲーム内で登場する新聞社「リバティーツリー」を模したウェブサイトを公開し、そこでGTA3の世界が垣間見えるような数々のニュース記事を投稿していました。その中にはリバティーシティのホームレス達の様子がおかしいという記事「Strange Tramps Seen All Over Liberty City」があります(リンク先は記事を保存してある海外wikiです)。
記事によると近頃「ブームシャイン」と呼ばれる危険な密造酒(バイスシティやったことがある人は覚えてるかな?)が出回っており、ブームシャインがホームレス達の手に渡るようになったことでそれまでは無害だったホームレス達が凶暴化してしまったようです。この設定はホームレスがギャング集団のようにプレイヤーに危害を加えうる存在として作られていた名残だと思われます。
ゲーム内では8ボールの店の近くにある鉄道トンネルで奇妙な4人組のホームレスを発見することができます。隠れて集まっている彼らはDarkel一派の残党なのかもしれませんね。
(動画の7:31〜を御覧ください)
Darkelが担当したと思われるミッションは現在2つ判明していて、「I Scream、You Scream」と「Love Hurts」となっています。
前者は製品版だとエル・ブッロが担当しているミッションで、内容はMr Whoopee(アイスクリームバン)に乗ってフォレッリファミリーを誘き寄せ、連中が集まってきたところでバンを爆発させて始末するというものです。本来はこれをDarkelが担当し、ターゲットもフォレッリファミリーではなく一般人だったようです。
後者は同じ名前のミッションが製品版に無いので全く情報なしですが、名前から察するにドナルドが関わるミッションなのは間違い無さそうです。もしや飛べないDodoとも関係が……?
4つ目の島?
リバティーシティはポートランド、ストートン島、ショアサイドベイルの3つの島から成る街ですが、ショアサイドベイルの更に西に謎のマップがあることはご存知でしょうか。道がないため普通は行けないエリアですが、Dodoを飛ばせば空からその場所を見に行くことができます。
(先ほどと同じ動画。17:00くらいから御覧ください)
ファンの間では「ゴーストタウン」と呼ばれるこの謎のマップ、実はゲーム冒頭のクロードとカタリーナが強盗するシーンで使われたものです。ゴーストタウンの中央にはリバティーシティ銀行があり、その前にはSecuricarが何台か止まっています。なぜこんなところにこのようなマップが置いてあるのでしょうか?
単純に考えればムービーシーン用に作ったオブジェクトをプレイヤーが本来来られない場所に置いただけじゃないか?と考えられます。オープンワールド系のゲームでは珍しくないことですし、サンアンドレアスでは普段入れない屋内エリアやミッションの時だけ行けるリバティーシティエリアなどを通常のプレーエリアの遥か上空に設置して処理していました。
ただ、ゲームの進行上ポートランド、ストートン島、ショアサイドベイルとどんどん西に向かっていく中で、ショアサイドベイルの西にこのゴーストタウンがあると「もしかして……」という気持ちが湧いてしまいます。
このゴーストタウンが意味深なものとなっているのは他にも理由があって、それはショアサイドベイルにある謎のトンネルの存在です。シダーグローブの北とコクランダムの東に二つの入口があるこのトンネルは工事中になっていて入ることができません。もしかするとこのトンネルから第4の島に入れるはずだったのかも……
答え合わせをしましょう
と、ここまで様々な噂話をしてきましたがここでネタバラシの時間です。2011年、発売から10周年を記念してGTA3に関して寄せられた噂や謎に制作側が応える企画が行われました。そこで上記の話について殆どのことが語られました(元記事→Part1、Part2)。
Q 9.11の影響で何かゲーム内容に変更はあったの?
A 9.11の影響で変更された点は以下の通りです。
・LCPDのパトカー色の変更(NYPDに近いデザインだったのを一般的に使われているデザインに近いものに変更)
・北米版ボックスアートの変更
・飛行機の経路を変更(高層ビルに近いところを飛ばないようにした)
・テロリストに言及するミッションの一つを削除
・2、3行の歩行者の会話とラジオのトークを削除
変更されたのは上記の点のみで、それ以外の内容は触れられていません。GTA3の本来の発売予定日が10月2日で、9.11の影響で延期されて実際の発売日が10月22日。内容の見直しについて様々な面白い噂が流れていましたが、9.11から40日程度の時間ではゲーム内容を大きく変更することはできません!
Q Dodoは元からあの形だったの?
A そうです。私達は車の運転と射撃をメインとしたゲームを作っていたので、自由に飛べる飛行機を出すつもりはありませんでした。
Q Darkelはなぜ削除されたの?スクールバスを使ったテロのミッションとかがあったから?
A 当初は5つのミッションをプレイヤーに与えるクレイジーな人物として創造されましたが、彼からのミッションがゲームのコンセプトと噛み合わなかったため1つずつカットされ、1つ2つのミッションだけを残しても仕方ないと判断されキャラクターごと完全にカットされました。この作業は9.11が起こる数ヶ月前に行われたので9.11の影響はありません。スクールバスを使ったミッションもありませんでしたよ!
Q あのゴーストタウンは何だったの?あれはリバティーシティなの?それとも別の街?
A あのマップもリバティーシティの一部です。最初のムービーシーン用に作ったマップを誰にも見つけられないような場所に置いておいたのですが、見つかってしまいました。
Q ショアサイドベイルのトンネルはなぜ工事中になっているの?トンネルの向こうにマップを作ろうとして、それがカットされたから?
A トンネルの向こう側に何かを作りたかったわけではなく、リバティーシティの世界がゲーム上の空間を超えて外の世界に繋がっているかのように見せるための演出でした。プレイヤーの体験する世界が、より大きな何かの一部であるように感じてほしかったのです。
というわけで、上で書いた殆どの噂はそれっぽい理屈を積み上げたガセネタでした!大体の話はネット上で出ていたものをまとめたものですが、僕自身が妄想して創作してみた部分もあります笑。こういう都市伝説を調べたりするのが好きなので楽しくなってしまいました。
しかし気になるのは「テロリストに言及するミッションの一つを削除」ですね。これに関しては未だにハッキリとした内容についての言及はなく謎のままです。Darkelとも関係無いだろうし。
ミッションを削除するからには整合性を保つために他の部分も弄らないといけなくなりそうですが、特にそういった調整も加えられていないことからストーリーに絡まないサブミッションが消されたんですかね。電話で受けるミッションとかラジコンミッションとか。
一番怪しいと思うのはメッタ殺しミッションで、「ホームレス(テロリスト)を〇〇人殺せ!」とかいかにもありそうじゃないですか?しかも、メッタ殺しミッションの数はポートランド6・ストートン島7・ショアサイドベイル7でポートランドだけ1個少ないんですよね(20個にまとめただけだろって気もしますが笑)。ポートランドと言えばDarkelの残党みたいなホームレスが居た島。あの辺りでホームレス狩りをさせるつもりだったのかも。妄想は止まらない……
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