対魔忍シリーズの新作ゲーム、「対魔忍GOGO!」が今年1月26日にサービスを終えました。奇しくも自分の誕生日と同日となり、なんとも不思議な対魔忍との縁を感じる出来事でありました。
対魔忍GOGO!は結局プレイする機会が無く、全容を知らないのでエアプのままこのゲームについてどうこう言えるほどの知識もないのですが、1つだけ言わせてほしいのは「全年齢はやっぱり無理だって……」ということ。
ここ数年、対魔忍というIPはGOGO!以外にも全年齢を意識した展開をしてきました。アクションゲームとしてキャラを動かすことができるもののエッッな要素は排除した「アクション対魔忍」、Youtubeで幅広い層への広報活動をする「対魔忍TV」、そして今回の対魔忍GOGO!と、様々な方向から対魔忍を一般向けとして売ろうとする動きがありました。現在の対魔忍で主力コンテンツとなっている「対魔忍RPG」も、全年齢向けの「RPG」とR-18の「RPGX」で棲み分けをしています。
エロゲ出身から一般向けで売れたコンテンツは、「fate」や「リリカルなのは」など色々あります。現在のエロゲ業界は衰退の一途をたどっていて、もはや良ゲーどころかクソゲーすら少数の小粒になっている有様で、未来が無いのは誰の目にも明らか。エロゲ出身コンテンツが今後の生き残りのために一般化していこうというのも自然な流れでしょう。
しかし、対魔忍がそれをやるのはどうしても無理があります。だって「エロありき」の作品なんですから。対魔忍を遊んでいる人は何目的で遊んでいるか?対魔忍は何で認知されているか?ほぼ全てR-18部分です。エッッ抜きで対魔忍を愛している人なんてごく少数派です。
近未来でサイバーパンクな忍者モノという明確な強みはあるんですが、それを一番伝えられるはずの対魔忍RPGはソシャゲの悪いところである「キャラ多すぎ」「ストーリー渋滞しすぎ」で、一応ストーリー全部読んでる自分でさえも、対魔忍を知らない人にどこから何を勧めたらいいのか分かりません。エッッ抜きで対魔忍をオススメしろって言われても多分無理です。
fateからエロを抜いてもわさび抜きの寿司くらいなもんですが、対魔忍からエロを抜いたらネタ抜きの寿司です。一番の売りを投げ捨てて勝負することになるんですから、そんな縛りプレイ状態でコンテンツ大氾濫時代の現代で生き残るなんて無茶です。尖りに尖ってるか、全教科90点みたいな作品じゃないと手に取ってもらえもしない時代です。
対魔忍は知名度こそ高いですが、あくまでネタとして面白がられているだけで実際にプレイはされていないエル・シャダイとかオプーナみたいな愛され方をしているので、それで一番のエサであるR-18要素を捨てたら苦戦して当たり前です。大抵の人からは「そんなんあるんだ笑」でスルーされて終わり。冷やかしで見に来た人たちを引き止める力も無かったのがGOGO!だったのではないでしょうか。
そんな無茶な戦い方をしていたので、アクション対魔忍は日本版が2021年にサービス終了しグローバル版と統合(グローバル版は海外で結構ウケてるらしい)、対魔忍TVは2023年を持って終了(その裏でアイドル対魔忍も解散してるぞ)、対魔忍GOGO!は1年持たずに終了と、一般向けの展開は尽く失敗して畳みにいっているのが現状です。結局、これらの展開も対魔忍を知っている人間向けの内輪受けを脱せず、「原作一切知らないけど全年齢の対魔忍が好き」という新規層を開拓できずに終わってしまいました。
では、対魔忍に未来はないのか?というとそんなことはありません。エロゲ業界は斜陽産業だと前述しましたが、これはあくまで商業作品の話で、DLsiteなどでの同人作品の展開は非常に盛況です。高額なパッケージ版のゲームが売れなくなっただけで、ソシャゲや同人などユーザーが触りやすい界隈に戦場を移してエロゲたちは日々鎬を削っています。エロの需要が無くなるなんてことはありませんからね。
なので、「エロい対魔忍は売れる」という基本に立ち返って、まずR-18界隈でテッペン獲ったるくらいの勢いで評価される作品を作って欲しいです。エロさで評価されるならそのまま突き抜けていってほしいし、カッコよくて泣けるストーリーか中毒性のあるゲームを作れるなら全年齢向けに出しても勝負できます。一番勝負しやすい対魔忍RPGでそういうのを出せないなら、別ジャンルでも一般向けに売り出せる対魔忍は作れないでしょう。
あと、ゲームを出すとしても基本無料のソシャゲに拘らないこと。とりあえずソシャゲ出しとけば売れる時代はとうの昔に終わって、大金かけてクオリティー勝負ができないとそう簡単に課金なんてしてもらえない時代。下手に基本プレイ無料で長時間の周回や課金を要求されるより、買い切りでもノーストレスに遊べる方が良いとゲーマーたちにはとっくにバレているので、一般向け無料ゲームで一発当てようなんてやり方は無謀です。「対魔忍になりたくない!」の一発ネタで継続的に売れてくれるほど甘くないです。
対魔忍RPGのキャラ展開を見ても、正直言って対魔忍は自分たちのどこが売れているか(評価されているか)をキャッチする or 反映させる力があんまり無さそうなのがとっても心配(このキャラならこういう回想シーンだろ!ってのを思いっきりハズすことが多い)ではありますが、対魔忍TVの終了に伴い対魔忍RPGの公式Youtubeで真面目な宣伝動画をちょこちょこ出すようになったり、数々の失敗から地に足のついた活動に切り替わってる感はあるので、色々仕切り直して再出発を図ってほしいところです。
容易にバズれるだけのコンテンツパワーはあるんだから、ネタではなく本気で愛されるような重い一発を繰り出せれば、無理に全年齢化を狙わなくても一般に売れると思うんですけどね。ただ、「時間かけて良い作品を作る」ってのと、「内容薄くてもいいから継続的に話題を作る」っていうソシャゲの性質が噛み合わないからね〜。RPGの色んな制約の中でちゃんとしたストーリーを作れる日は来るか……?
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