こんばんは、麻乃ヨルダです。本日は遊戯王TCGで新しく登場したフォーマット、「Genesys」に触れてみたいと思います。
新しい遊戯王の遊び方
Introducing Yu-Gi-Oh! TCG Genesys—a brand new way to play the Yu-Gi-Oh! TRADING CARD GAME.
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— Yu-Gi-Oh! TCG (@YuGiOh_TCG) September 22, 2025
「Genesys」は遊戯王TCG(遊戯王OCGの海外版)で開発が進められてきたフォーマットで、新しい遊戯王の遊び方を提案するものとなっています。
このフォーマットの大きな特徴は以下の通り。
・リンクモンスターとペンデュラムモンスターは使用不可
・エクストラモンスターゾーンとペンデュラムゾーンは使用不可
・リンクモンスターとペンデュラムモンスター以外の全てのカードが使用可能
・一部の強力カードにポイントが設定され、デッキ構築の際は決められた合計ポイントを超えないようにポイント付きカードを採用しなければならない
どれもびっくりの内容ですが、まず触れておきたいのは「リンクモンスターとペンデュラムモンスター以外の全てのカードが使用可能」という点。これは文字通り全てのカードで、強欲な壺などの禁止カードも全て解禁されています。
(公式で強欲な壺を使える!?)
もちろん、約1万種類の遊戯王カード全てが使い放題というわけではありません。一部のカード(現状は約500枚)にはポイントが設定されていて、強いカードほど高いポイントが設定されています。ポイントは1〜100で設定されていて、Genesysルールの標準設定ではデッキの最大ポイントが100ポイントとされています。
王宮の勅命やいたずら好きな双子悪魔など、スタンダードのルールでは絶対に許されないカードは大体100ポイントになっていますね。1枚で詰ませる系のカードは大体高ポイントになっていて、そうでないカードは強力カードでも案外安かったり。強欲な壺も30ポイントでした。
この、ポイントが溢れてしまわないようにカードを採用しましょうというシステムは、懐かしのゲームボーイの遊戯王DMシリーズにあったデッキキャパシティを彷彿とさせて面白いですね。デッキキャパシティ内でやりくりをするのは現代遊戯王にはなかった遊び方なので、今の時代にデッキキャパシティを意識するデッキ構築をするのは面白そうです。
一方で、単純にポイント計算をしながらデッキ構築は面倒そうではあるので、紙の方だと大変な気がします。ニューロンとGenesysを連動させれば多少は楽になるかもしれませんが、個人単位においてもスタンダードルールと比べてデッキ構築に煩雑な作業が必要になるでしょうし、大会運営とかも結構大変そうな気がしますね。100倍複雑になったリミットレギュレーションみたいなもんですから。
こういう面倒な部分はデジタルで管理すると一気に解決すると思うので、紙の方よりもDCGで適正がありそう。ということで、マスターデュエルに上陸させるのがGenesysの普及に役立ちそうです。デュエルトライアルでお試し、イベントでガッツリ、果ては常設でGenesysルールのランクマも作るとかで、しっかり推していったらこのフォーマットも世界中で普及していくかもしれません。
TCGの未来を変えられるか
遊戯王の紙の環境は、OCGとTCGで商品の展開スピードが異なり、使えるカードの種類が違うのにリミットレギュレーションが統一されていたことにデュエリストたちの不満が高まり、それならとOCGとTCGでルールを分けようとなってそれぞれが独自進化していきました。
しかし、独自進化が進みすぎてOCGとTCGは別物になっていき、にも関わらず世界大会はOCGとTCGがガッチャンコのルールで行われるという歪な状態となってしまいました。
世界大会はどちらかというとTCG寄りのレギュレーションになってしまうことで、OCGのプレイヤーが結果を残しにくくなっています。TCGはTCGで、増殖するGを禁止にして制圧系のモンスターも規制しまくって環境をデフレさせようとしているのに、日本発の増Gありきで刷られたカードパワーの新規が入ってくるので、「新規がとんでもなく暴れる→即規制→次の新規がとんでもなく暴れる」のループになっていて、連動して「新規のカード価格がとんでもなく高騰→即規制で値崩れ→次の新規がとんでもなく高騰」の地獄なループに。元々カードゲームはお金のかかる趣味ですが、TCGはOCGと比べて敷居が異常に高くなり続けている苦しい現状があります。
(元々、OCGで活躍したカードはTCGだと露骨に高レアに設定される商法が定番になっていて、OCGだとそこまで値上がりしなかった汎用必須カードなどがTCGではバカみたいな高額カードになってしまう問題もあります。増Gが無い世界でマルチャミーが高レアのみで収録されたらどうなるか、分かりますよね?)
こういった歪みをどこかで是正しないと未来が無いというTCG側の危機感があり、今回のGenesysフォーマット作成に至ったと思われます。非公式で有志がフォーマットを考えて、一味違う遊戯王を楽しもうとする試みは色々なところで行われていましたが、今回はTCG公式が新規フォーマットを打ち出して、Genesysフォーマットの公式大会も今後開かれていくという力の入りようで凄いですね。かなり真剣に新しい遊戯王の形を模索しています。
日本ではTCGほどユーザーに新しい遊戯王を提案する必要がない、というかラッシュデュエルがあるからそっちでいいだろとなってそうなので、Genesysフォーマットの普及に力を入れるということは無さそうです。なんなら、海外でも「ラッシュデュエル輸入しろ」という声は根強いそうですからね。
Genesysフォーマットが普及すると、スタンダードルールで一切使い物にならなかった禁止カードたちに使い道が生まれるので、一生禁止カードで尚且つコレクション価値もそんなに無いストレージ行きのカードたちに光が当たるのが面白そうですね。ユーザーとしても面白いですし、カードショップ的にも掘り出し物が出てきてありがたいのではないでしょうか。
これまで遊戯王は公式だとスタンダードルールの一本でやってきて、スタンダードルールで使えないカードには価値が付きにくい状態でした。その代わりに遊戯王にはスタン落ちが無いので、禁止されていない限りなんでも使える自由度はありましたが、自由な分「(コレクションを除けば)今スタンダードで強いカードだけに価値が付く」という状態だったので、フォーマットを分散させて色んなカードに活躍の機会を与えてほしいですね。個人個人で新しい楽しみを作るのもいいですが、やはり公式でこういうことをやってくれるのは拡散力が全く違います。
標準のポイント設定は上限100ですが、このデッキキャパシティを変更して倍の200にしてみたり、逆に0にしてみたりでまた構築も変わってきますし、そういう遊び方を公式も推奨しているので、拡張性もあるこのルール。自分はマスターデュエル民なので、マスターデュエルで遊べる日が来ないか楽しみにしています。
果たして流行るか!?
さて、Genesysルールでの大きなトピックはまだあります。「リンクモンスターとペンデュラムモンスターは使用不可」「エクストラモンスターゾーンとペンデュラムゾーンは使用不可」の2点です。
ペンデュラムでとんでも展開、リンクモンスターで安定性の上昇、エクストラモンスターゾーンの追加で展開の上限拡張と、ARC-V以降の遊戯王は凄まじい勢いでインフレしていきました。なら、いっそのことエクシーズまでのルールで現代遊戯王をやってみたらどうだろう、というのがGenesysの試みに見えます。
一見、エクシーズまでの時代を遊んでいた歴戦デュエリスト向けのフォーマットに見えますが、リンクに依存しないデッキが活躍するだけの現代遊戯王になってしまう可能性もあります。スタンダード以外のフォーマットは現代遊戯王に疲れた人の受け皿的な需要があるので、その需要をちゃんと満たせるか。現代遊戯王を楽しめているなら現代遊戯王を遊べばいいですからね。
日本に正式に上陸するかは分かりませんが、興味を持った日本のデュエリストたちが個人で研究をしていくと思うので、実際のプレイ感は段々と共有されていくでしょう。Genesysフォーマットが世界で普及すれば良いことが沢山あると思いますが、そもそも普及してくれるかどうか。
個人的には、ニューロンがGenesysに対応してからが本当のスタートラインに思えるので、現状はβテスト的な状態ですぐには流行しなさそうに思います。リンクとペンデュラムが禁止だったり、禁止カードが使えるというところだけに釣られて、現代カードも普通に使えることで「なんだよ、古い遊戯王が楽しめるわけじゃないのかよ」と勝手にガッカリみたいなみたいな反応も見受けられるので、プロモーション等も上手いことやってほしいですね。まずはTCGで、そしてOCGとMDでも盛り上がることができるか。
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