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オススメ動画紹介「大奥記徹底考察【ゆっくり解説】」

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自分が見た中で「これは面白い!」と感じた動画(YouTubeでもニコニコでも)を紹介するコーナーです。今回は「大奥記徹底考察【ゆっくり解説】
です。



大奥ブームに便乗だ!

こちらはRTA動画や解説動画を投稿しているエンペラさんの動画です。代名詞となっているのは有名なクソゲー「大奥記」のRTA動画で、大奥のクソゲーたる冗長な部分を視聴者にしっかり味あわせつつ、冗長さの裏に埋もれていたストーリー性を楽しませてくれる、クソゲーの正負の楽しみ方をフルで見せてくれるスタイルに定評があります。

今回の動画は「大奥記」の真の姿を解き明かそうというもので、現在では完全に「クソゲー」として定着してしまったこのゲームが、なぜクソゲーとして世に出ることになってしまったのか、本当はどんなゲームにしたかったのかが考察されています。大奥記が発売されたあの頃、クソゲー・オブ・ザ・イヤー(KOTY)を見てキャッキャしていたガキンチョだった自分としては、こういうクソゲーの裏話は大好物です。

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まず、大奥記は2008年6月発売のゲームですが、本来はもっと前に発売が予定されていました。本来の発売予定日は2006年の9月で、当時放送されていたテレビドラマ「大奥」がアツかった時期に発売が計画されていました。大奥という題材に日本の人々が興味を向けていたタイミングで出す、所謂「便乗ゲー」のポジションです。

この手の便乗ゲーは流行りが終わらない内に乗っかるためにハイスピード制作をして、作り込まれていないまま未完成品で出されて順当に厳しい評価を貰うことも多いですが、大奥記は本来の発売予定日から約2年も発売が延期されました。

完全に大奥ブームの流れに乗り損ねていますが、延期をした結果、大河ドラマ「篤姫」が始まって第2の大奥ブームが始まるという奇跡が起きます。発売を延期した怪我の功名、この奇跡を活かせるかと思われましたが、結果はあの出来。この約2年はなんだったのかという満場一致の最低評価で、延期中にもう一度大奥ブームの波が来た上で「未完成な便乗クソゲー」を出してしまう失態に終わりました。



どうしてこうなった

なぜこんな出来になってしまったのか、大奥記発売の約1年後に2ちゃんねるのやる夫スレで内情が語られる事件が起きました。そのスレッドの名前は「美少女クソゲーマスターやらない子」。クソゲーを取り上げてアスキーアート(AA)のキャラで語る、よくあるやる夫スレの1つでしたが、このスレが一線を画していたのはネットの伝聞で書かれたものではなく、大奥記のプロデューサー「Andy山本」氏に実際に取材をして書かれたものだったということ。

(スレは泳ぐやるおシアターさんのここここでまとめられています。当時の反応が残されていて貴重ですね)

更に、スレの後半ではAndy山本氏本人が降臨。本人のお墨付きを得たガチの内部告発ということで、クソゲー愛好家たちの間ではちょっとしたお祭りに。ゲーム大奥記でゲームシステムの根幹を担う「申し開き(証拠を集めて自分の嫌疑を晴らしていく、逆転裁判みたいなゲームだった)」がリアルで行われたと、話題になりました。

ただ、このやる夫スレは賛否両論でした。Andy山本氏の主張にはところどころ矛盾が見られ、推測が多く含まれる部分もあれば、明らかに事実無根だったり偏った思想が見られたりするところがあり、一部の人はスレの内容を訝しんでいました。とはいえ、ガチの関係者であることは間違いないのでスレの内容を信じる人の方が多く、このスレの内容が「大奥記制作の真実」として長年語り継がれることになりました。

それから10年の月日が経ち、大奥記に新しい動きがなんと、大奥記の制作会社であるダフトの元社長が、このスレの内容に反論する動画が公開されたのです。

このインタビューでは、本当の戦犯がAndy山本氏であったと語られています。大奥記の開発がスタートしたのはドラマ大奥が始まった2005年、最初のプロデューサー(プロデューサー1とします)が就任して大奥をテーマにしたゲームの開発計画が始まりますが、開発はいきなり頓挫します。

プロデューサー1はAndy山本氏の友人で、Andy山本氏の紹介で就任したもののなんとゲーム開発未経験者。未経験者が陣頭指揮を取る企画では当然何も進まず、結局プロデューサー1は成果なしのまま時間だけが過ぎていき、最後は解任されます。

そしてAndy山本氏がプロデューサーに就任し、少しずつ企画は動き出しますが、「シェンムー的なものを作りたい」と、開発体制に見合わない大作構想を打ち出し、いきなり開発費の使い込み。構想だけが巨大化し実情が伴わない開発状況で、肝心のゲーム開発は当然のように遅々として進まず。発売延期を繰り返します。

結局2008年になってAndy山本氏もプロデューサーから退き、3人目のプロデューサーが就任(プロデューサー3とします)。プロデューサー3と当時のダフト社長である吉田氏が2人でAndy山本氏の後始末を始め、半月で使えないゴミデータの掃除、半月でゲーム部分を作成し、一月程度でなんとか体裁だけ整えたものを2008年6月の発売に間に合わせたのでした(凄すぎる)。

つまり、お友達人事で未経験者を連れてきた上に、自分の就任期間も成果をほぼ出せなかったAndy山本氏が真犯人だったということになります。Andy山本氏と吉田氏の意見が対立しているため、どちらが本当のことを言っているのか外野の人間に確かな判断はつきませんが、少なくとも信憑性が高いのは吉田氏の方です。

(件のスレはクソゲーたちを語るというお題目だったのに大奥記の話をした後更新が途絶える、なぜスレ主はAndy山本氏に取材を行えたのか、スレでの主張がAndy山本氏の主張と全面的に寄っていると、このスレ自体が大奥記に対する世論を操作するためのAndy山本氏の自演だったのだろう、と推測できる材料が揃っています)

果たしてどちらが本当のことを言ってるのか、それについては上で貼ったVariety Games Battleさんの動画や、Andy山本氏のブログツイッターを見てそれぞれ判断してください。自分は吉田氏を信じます笑。しかしまぁ、吉田氏の主張が正しいとすると、やらかしておいて自分に都合の良い内部告発をかましたAndy山本氏の行動がヤバいですね……。



真の大奥記

では、Andy山本氏は一体どんな大奥ゲームを作ろうとしていたのか。そこが今回のエンペラさんの動画の本題です。エンペラさんが調べたところによると、ゲーム内に残されていたボイスは2000種類以上にも上りますが、実際にゲームで使用されたのはたったの3%。97%が没データという、普通は逆だろと言いたくなる比率です。

吉田氏の話によれば、Andy山本氏あるいはプロデューサー1がシナリオが固まる前からボイス収録を発注しまくっていたとのことで、ボイスだけが潤沢に揃っていたようです。エンペラさんは全2175種類のボイスを全て文字起こししてまとめ、本来はどういうゲームを目指していたのかを考察しています。

製品版の大奥記は、主人公である時子さんが毎月濡れ衣を着せられるので、大奥を追放されないように証拠を集めて申し開きを生き残っていくアドベンチャーゲームです。そのため、基本的にゲームの進行は一本道となります。

没ボイスから想像される理想の大奥は、「シェンムー的なもの」と言われていた通り、朝起きて朝会に出席し、その後は自由に大奥の中を動き回って一日を過ごし、メインストーリーとサブイベントをプレイヤーの裁量で進めて行くシミュレーションゲームだとされています。確かに実現できるのであればとても面白そうなゲームです。

2000を超える没ボイスを見ていくと、設定やサブストーリーなどはとても魅力的で、しっかり大奥の資料を読み込んで構想を練られていたのが伝わってきます問題は、メインストーリーやゲームシステムなど根本となる部分が固まらないまま枝葉だけが伸びていって、ゲームは一向に完成しないけど設定資料だけが厚くなっていく状態だったということですね。自分にとっても耳が痛い、よくある失敗エピソードという感じです。アイディアは良い、でもどうやってそれを実現するの?と。

動画で紹介されている、恐らくこういう話になったと思われる没シナリオの数々も面白いので、ぜひ皆さんもエンペラさんの考察動画を見てきてください。大奥記のことをよく知らない、覚えていないという人は、大奥記RTAを最初から見てきてください。僕ももう殆ど覚えてないから見直すか……。

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