遊戯王には数え切れないほどの多種多様なカードが存在しています。1つ1つのカードにはそれぞれ豊かな個性があり、別々の魅力を放っています。しかし対戦ゲームである以上、カードには個性という範疇を超えて「強いカード」と「弱いカード」が存在します。
なら、遊戯王における強いカードとは一体何なのか?それを理解することで、遊戯王初心者の方でも各カードの強さを自分で見極められるようになって欲しい、というのが今回の記事のテーマになります。
目次
汎用性が高い効果を持つ
「汎用性」とは、一つの用途だけでなく様々な用途に対応できる性質のことを指します。要するに「汎用性が高い=使い勝手が良い」ということです。具体的に説明するため、罠カードの「心太砲式」と「強制脱出装置」を比べてみます。
心太砲式
通常罠
(1):自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主のデッキに戻す。
「心太砲式」は自分または相手モンスターの攻撃宣言時、フィールドのモンスター1体を対象にしてデッキに戻すことができます。デッキに戻すという効果は非常に強力ですが、発動条件として自分か相手が攻撃宣言を行わないといけないので、発動する前に破壊されたりすることが多いでしょう。
強制脱出装置
通常罠
(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主の手札に戻す。
「強制脱出装置」は発動に条件がなく、フィールドのモンスター1体を対象にして手札に戻すことができます。デッキではなく手札なので再利用されてしまう可能性は高いですが、発動条件がなくいつでも使えるため「心太砲式」と比べて「使うこともできずに処理された!」という展開はかなり減らせるでしょう。
このように、効果の強弱よりもまずは使いやすい(発動しやすい)効果かどうかを見極めることが大事です。どれだけ強力な効果でも、そもそも使えなかったら意味がないですからね。
アドバンテージを得やすい
カードゲームにおける重要な考え方として「アドバンテージ」があります。フィールドを見る「ボードアドバンテージ」、手札を見る「ハンドアドバンテージ」、ライフを見る「ライフアドバンテージ」……この言葉は色々な使われ方をしますが、とにかく大事なのは「そのカードを使うことで有利(アドバンテージ)を取れるか or 取りやすいか」という考え方です。
アドバンテージの概念を簡単に理解するため、「1:1交換」という言葉がよく使われます。これは文字通り「1枚で1枚と交換する」という意味で、カードゲームにおいてはこの1枚と1枚の取引が基本となり、そこからカードの価値が分かりやすく見えてきます。
地砕き
通常魔法
(1):相手フィールドの守備力が一番高いモンスター1体を破壊する。
死者への手向け
通常魔法
(1):手札を1枚捨て、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
比較するのは「地砕き」と「死者への手向け」。前者は破壊する相手を選べず、後者は破壊する相手を選べるので効果そのものはちょっと違うのですが、「相手モンスターを1体を破壊する」という点は同じ。
この2枚の大きな違いは「発動にコストが掛かるか掛からないか」で、地砕きはノーコスト、死者への手向けは手札を1枚捨てないといけません。そのため、地砕きは地砕きのカードと相手のモンスターで
「1:1交換」を、死者への手向けは死者への手向け+手札のカードで相手のモンスターを「2:1交換」をすることになるのが分かります。大体の状況でどちらが得なカードなのかは誰の目にも明らかです。
もちろん「1:1交換」の概念は除去カードだけに限りません。1枚のカードを消費して1枚ドロー、1枚のカードを消費して1枚サーチなど、デュエル中のあらゆる局面で「○対○の取引」が行われています。
このように、カードを使う際は「少ないカード消費で同等かより大きな利益を得る」という考え方が重要で、そういった有利な取引を繰り返していくことが勝利のカギだと言えます。デュエルをしていていつの間にか「手札もフィールドのカードも尽きた!?」ということを繰り返している場合は、気づかぬ内に2:1だったり3:1だったりと不利な取引ばかりして損をしている可能性があります。相手にそういう取引をされないよう、自分自身でそういう取引をしてしまわないように心掛けましょう。
ドロー・サーチ効果を持つ
デッキからカードをドローしたり、欲しいカードをサーチする効果はとても重要です。何故ならタイムアドバンテージを一瞬で稼げるからです。
通常、プレイヤーは自分のターンにデッキからカードを1枚ドローすることしかできません。デッキに眠る欲しいカードを引くためには毎ターンのドローを待たなければいけませんが、カード効果でドローをすれば待つ時間が大幅に短縮できます。サーチならもっと強力で、ドローという不確定要素に頼ることなくその場で欲しいカードをピンポイントに持ってくることができます。
近年の遊戯王はこのドロー・サーチ手段が非常に発展していて、「最初のターンに必要なカードを集め終える」のが普通なくらいにどのデッキも初動で動けるようになっています。逆に言えば、高い確率で初ターンの内にある程度の準備を終えられるのが当たり前なので、何回やっても初手で手札事故(使えないカードばかり手札に来て動けなくなること)を起こしてしまうならドロー・サーチカードが足りていないということになります。
妨害効果を持つ
対戦ゲームである以上、「敵の計算を狂わせる」というのも重要な要素です。なので、効果を無効にしたりすることで敵の行動を妨害できるカードにも価値があります。
最もポピュラーな妨害カードは「灰流うらら」。サーチや墓地肥やしなど広い局面で反応し、敵の行動を阻害してくれます。現代の遊戯王はドローやサーチで意地でも初動を安定させようという動きが主流なので、そこをストップさせることで相手の計算を大きく狂わせることができます。
他にも、「モンスター効果を無効にする」とか、「攻撃できない」とか、相手にとってソレが出来ること前提で動いているような局面でピンポイントに妨害を食らわせれば、相手が困ること間違いなし。逆に、自分は「このカードが妨害されてもこっちのカードがあれば動ける」という複数の選択肢を持ち続けることで、相手の妨害を掻い潜れるように動けると良いですね(環境デッキとして扱われる強力なデッキは、大抵1回2回妨害されたくらいじゃ止まらない個々のカードパワーがありますね)。
耐性・蘇生効果を持つ
普通のカードは除去カードの効果を食らえばあっさりとフィールドから居なくなってしまいますが、耐性持ちのカードはそういった効果を跳ね除けフィールドに居座ることができます。
近年多いのは「破壊できない」効果で、これがあるだけでも場持ちがかなり良くなります。戦闘で破壊されないだけだとちょっと頼りないですが、効果で破壊されないカードを処理するのは中々難しいですね。
他にも、「対象にならない」という効果で相手に自分を選ばせないことで耐えるカードもあります。そして最強の耐性は「効果を受けない」という耐性。カード効果そのものを跳ね除けられると相当に除去手段が限られますね。
耐性を持っていなくても蘇生効果を持っているカードは擬似的な耐性を持っていると言えます。一度処理されてもまたフィールド等に帰ってくるカードは相手のリソースを消費させることが出来るため、これもまた強力な効果ですね。
破壊以外の除去方法
近年はどんどん破壊に耐性を持つカードが増えてきて、破壊以外の除去手段を持っておくことが重要性を増してきています。様々な除去手段を用意しておいて、どんな耐性をも突破できるようにしておきましょう。
ポピュラーなものから上げていくと、まずは「バウンス」。手札に戻す、デッキに戻すなど、フィールド以外の元いた場所へ戻す効果をバウンスと呼びます。戻す効果なので再利用を許してしまうのがデメリットですが、墓地で効果を発動するタイプのカードにとってはむしろバウンスの方が効きます。また、エクストラデッキのモンスターなど再利用が難しいカードを戻すと、リソースを無駄遣いさせたことになるのでとても効果的です。
次は「墓地送り」で、破壊を伴わない墓地送りをすれば破壊耐性をすり抜けることができます。バウンスと比較すると手札・デッキに戻して再利用をさせない代わりに、墓地で効果を発動するタイプのカードには効果の使用を許してしまうのが難しいところでしょうか。
次は「除外」で、墓地でもない除外ゾーンに送ることで手札・デッキに戻すよりも更に再利用が困難な除去を行うことができます一番最強なのは「裏側除外」で、カードの内容が公開されない裏側除外をすればまず再利用は不可能です。表側の除外だとテーマによっては再利用ができてしまったりもするので、基本的には再利用されないものの再利用する手段もあると頭に入れておきましょう。
最後は「リリース・融合素材」で、相手の場のカードを生贄したり融合素材にすることで除去をすることもできます。この除去方法を凌ぐのは非常に困難なので、こういった除去手段をデッキに忍ばせておくと困った時役に立つかもしれません。
対象に取らない除去
破壊耐性と共に近年増えているのが対象にならない耐性で、対象を選んで除去するカード群に対して無類の強さを誇ります。除去カードの殆どは効果の対象を選んでから発動するもので、そうでないものは大抵「全て破壊する」など複数のカードを巻き込んだ除去カードになりますが、もし相手が対象に選べず破壊も出来ない相手ならほぼ全ての除去カードを跳ね除けることができます。こうなると本当に厄介です。
しかし、そんな対象に取れない耐性をすり抜けてしまうのが「選ぶ」効果。対象に取る効果は「〜を対象として発動できる」と書いてあるのに対し、選ぶ効果は「〜発動できる。〜を選んで〜する」と書いてあり、効果を発動した後に効果を与えるカードを選ぶようになっています。対象にならないカードはあくまで「効果の発動時に選べない」だけであって、「効果の発動後に選ばれる」ことには耐性を持たないということですね。
……言いたいことは分かります。でも屁理屈じゃなくて実際そういうルールになっているんです。ツイッターで「対象を取る=頼むメニューを決めてから店員を呼ぶ」「対象を取らない=店員を呼んでから選ぶメニューを決める」なんて例え話が流れてきましたが、対象にならない効果は前者だけを禁止しているということです。店員を呼んでからメニューを決めるような迷惑な客には勝てないんですね。
まとめ
上で挙げたこれらの要素を持つカードを揃えることができれば強いデッキが構築できます。そして、環境デッキになるような強いテーマデッキというのは、こういった要素を自然に詰め込めるデッキということになります。普通のテーマでは汎用カードを用いないと入れられないこれらの要素をテーマ内でサポートされた状態で使えると、デッキを上手く回転させながら場をどんどん有利な状況にしていけるので当然強いわけです。
また、「単体で強いカードをかき集めたら強いんじゃね?」なんて思考で作られるのが「メタビート」というタイプのデッキになります。これもまた上の要素を突き詰めた末に作られるデッキなので、デッキの回転力は低いものの単体のカードパワーとプレイングで安定した強さを発揮するデッキになります。その分、遊戯王というゲームを深く理解し環境の流れを読めていないと作れないので、デッキ構築の難易度は半端じゃないですけどね。
もし、自分のデッキがイマイチ勝てなかったりした時は上の要素を見直して、ちゃんとこれらの要素を抑えられているかを確認しましょう。完成度の低いデッキは大抵上の要素に対する認識が甘かったりしますし、テーマそのものがこれらの要素を抑えられていなくても「このテーマはコレが苦手だから他のカードで補おう」と、上の要素を踏まえて改良すればちゃんと戦えるデッキになったりします。強いカードの条件を理解して、デッキ構築のレベルを上げていきましょう!
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