ウマ娘 雑記

ウマ娘アニメ3期、つまんなくね?

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ウマ娘のアニメ3期、終わりましたね。いや本当は2024年になる前に終わってたんですけど、自分はリアタイしていなかったので今見終えました。

最初はリアタイしていたんですけど、そういえばジャングルポケット斎藤さんの同時視聴があるからその時に一緒に見ればいいなと思って約1週間ずらしで見ていました。しかし、アニメが進んでいくと段々斎藤さんの同時視聴を見るのも億劫になってきて、そのままズルズルとアニメを見るタイミングが遅れていきました。

正直な話、3期についてあんまりノれなかったというか、話が進むほどに惰性で見ていたというか、最後の方はスマホとかゲームをしながら横目で見るような状態になっていたというか……ハッキリ言って面白くはなかったです。

とはいえ、最終話まで見ておいてざっくりと低評価するだけなのもなんだから、自分がつまらないと感じた理由を言語化しておこうということで感想記事を書いていきます。皆さんは3期どうだったでしょうか?



繋がりのないストーリー

3期はキタサンブラックを主人公に、同世代の仲間たちとの群像劇が描かれていましたが、シーズン通してイマイチ盛り上がりどころに欠けるというか、「何を見せたいのか」が定まっていなかったような印象があります。

キタサンブラックは非常に強くて安定感のある馬で、G1も7勝と、戦績で考えればシンボリルドルフらのように「挑戦される強者」に位置するキャラクターです。しかし、今回のアニメでは「頑張り屋のキタちゃん」という感じで、常に挑戦者の側に立っていました。ウマ娘のキタサンブラックとしては自然なポジションだとは思いますが、これが作劇を物凄く難しくしていた気がします。

キタサンブラックのレースの多くは先行してそのまま力で押し切る横綱相撲で、これはメジロマックイーンのような“つまらない”勝ち方です。この勝ち方をする子をメインにそのままレースを描いても「順当に勝ちましたね」で終わってしまうので、レース内外でドラマを加えないといけません。

同期とのライバル関係は良かったと思います。自分はテイオーに憧れているのにテイオーに似ているのはドゥラメンテの方だったとか、サトノダイヤモンドと友達を超えたライバルになるとか、苦杯をなめ続けたシュヴァルグランが終わり際にキタサンを超えるとか。同期の子たちも全体通して見ると扱いがダメダメだったんですが、単発のストーリーとしては輝きを見せていました(実際、彼女たちとの直接対決の部分は面白かったです)。

しかし、ライバル関係以外の部分では全然ドラマが描けていませんでした。まず、「キタちゃんの走る理由」が弱かったです。お父さんやテイオーさんのように観客を魅了し愛される存在になりたい、ということで、キタちゃんにとって身近な観客である商店街の人々がよく登場していましたが、キタちゃんと商店街を繋ぐエピソードが「困ってるおやっさんの荷物を運んであげた」とかその程度で、商店街の人々が登場する度にそんな話を繰り返すだけ。

キタちゃんにとっての商店街、商店街にとってのキタちゃんが特別であるという説得力が乏しかったので、両者の話に全然入り込めなかったです。そんくらいの繋がりだったら別にキタちゃんだけ応援するって感じにならなくないか?(他のウマ娘は商店街と全く関わりないんか?)とか、キタちゃんはこの人たちのために走ろうって思えるほど関係深くないんじゃないか?とか、余計なことを考えてしまう程度に見えているエピソードが薄いです。

もっと家族のように深い関わりであることを示すようなエピソードを盛るとか、同じ観客でも2期から見守り続けてくれたみなみとますおによりフォーカスを当てるとか、元々ふんわりしているキタちゃんの目標をもっと具体的にイメージさせる描写が無いと、キタちゃんがどこに向かって何を頑張っているかに入り込みづらいです。

キタちゃんのチームメイトであるスピカのメンバーも殆ど良いところ無しで、目立っていたのは世代が近いゴールドシップくらい。トウカイテイオーは「憧れの人」で美味しいポジションなはずが、助言役をナイスネイチャに持っていかれ出番は少なめ。チームで頑張っている感が薄く、キタちゃんがスピカで苦楽を共有しているシーンが見えませんでした。

むしろ、キタちゃんがネイチャに相談を持ちかけるきっかけとなった、「負け続けて勝負が怖くなったキタちゃん」と「何度負けようが勝つまで挑み続けるのが当たり前だと思っているスピカメンバー」のシーンが前半にあるので、一般人のメンタルと生まれながらに強者のメンタルというチーム内の壁が壊れきらないままネイチャとの距離だけが近くなっていって、「キタちゃんがスピカに入った意味」が見られないまま終わってしまった気がします(もっと言うと、スピカ以外のチームも存在意義無かったけどね)。

ピークアウト

レース外でのドラマが無いにしても、レースそのものにドラマがあれば……と言いたいところですが、キタサンブラックはその点面白いレースをして勝つ馬ではないので、ここも厳しかったですね。

レースでのドラマを作るために「ピークアウト」の設定が出てきましたが、この調理が難しい題材を調理しきれずに終わっていました。ピークを終えたゴルシからバトンを渡されるところまでは良かったんですが、終盤のキタちゃんは「ピークを過ぎた」と言われ続けながらも結局は勝っていますし、描写的にも「めっちゃ疲れてる」くらいしかピークを過ぎたっぽい演出が無いので、言うほどピークアウトの深刻さが感じられないというか。

というか、ピークアウトが話の面白さに繋がってないんですよね。ピークを過ぎたキタちゃんは「んんー!」と歯を食いしばって必死に走り続けていますが、最初からハナを切りながらずっと唸り声をあげ続けていると、頑張ってるのは伝わるけどメリハリが無くて単調だし。終盤のレースずっとこればっかりでしたからね。なんだったら練習もずっとこれ。

史実的にも、調べる限りキタサンブラックが宝塚で敗北した後も陣営は馬が衰えたとは思っていなかったようですし、全然そんなイメージがないキタサンブラックにピークアウトの苦しみを与えても、無闇に話が暗くなるだけで誰も得をしていなかった気がします。キタちゃんに勝っても衰えた相手に勝ったことになるし、史実のイメージと合わないストーリーにしてまで入れるべき設定だったのかな?と思ってしまいますね。

キタサンブラックに苦戦をさせないといけないとしても、ピークアウト以外でも話は作れたはずです。キタちゃん自身が「不器用」と言っていて、覚醒したきっかけがミホノブルボン式脳筋ハード調教だったように、サクラバクシンオーよろしく「めちゃくちゃ身体強いけど駆け引きが未熟」で隙を作られるとか、キタサンが完成した終盤は思い切って挑む側の目線に移って、どうやってキタサンを倒すかで試行錯誤させるとか。少なくても、今回のアニメのようにキタちゃんがひたすら叫んで逃げてを繰り返すよりかは見所のあるレースになると思います。

結局、キタサンブラックでピークアウトの曇らせ展開をやることに無理があったのでしょう。日本ダービーと宝塚記念以外は全部3着以内を獲ってて、引退レースも勝ってる子が「私はダメダメの凡人で……」と言い出しても、ダメな無双なろう作品くらい共感できません。「お祭り娘」と呼ばれる快活さはどこに行ったんでしょうか。



尺が足りない?

皆さんの感想を見ていて、ちょくちょく目に入るのが「尺が足りない」という意見です。キタサンブラックの馬生を描きつつ同期の活躍を見せるには1クールじゃとても足りないと。

確かに全部を見せるには1クールじゃ全く足りないと思いますが、それは全部を見せるならという話で、上手く取捨選択をしてやりきった2期やRTTTの存在がある以上は、「1クールだからダメだった」とは言えないです。自分としては、3期を見ていた中で尺足らずを感じさせる巻き巻き展開は感じず、むしろあまり必要とは思えない描写で尺を潰していたような印象すらあります。

キタサンブラックの全レースを描きたい、同期たちも描きたい、スピカ(ゴルシ)の話も描きたい、アプリ未実装の子も描きたい……やはりキタサンブラックを主役にする時点で難しさがあり、それでいて面白いストーリーを作るなら色んなものを諦めて見せるべきポイントに的を絞ることが必要だったと思いますが、取捨選択ができていなかったですね。

2期ではダービーに勝利して故障発生を1話に設定し、有馬記念での最終話を迎えるためにジャパンカップをカットするなどの上手さがありましたが、3期はそういった構成の上手さが感じられず、与えられた材料を全部盛ったような作品でした。盛っただけなので整理もされておらず、それぞれの要素が単独で立っているだけで相互作用が全然ありません。ダイヤちゃんなんて「凱旋門の惨敗」といういくらでもキタちゃんと絡めて膨らませられそうな話が、新聞1枚で見せられて終わりでしたからね。

2期ではちゃんとやれていた以上、3期でできなくなったのは恐らく制作現場で色んな人の声が大きくなったからではないかと邪推しています。2期は「死産」とまで思われていたアプリ配信開始と合わせた放送で、ぶっちゃけ殆どの人が期待していない、ある意味好きなように作品を作れる環境だったのではないでしょうか。

しかし、あれからウマ娘は巨大コンテンツになりました。アニメからソシャゲアプリの成功により、ウマ娘というIPは日本代表する1大コンテンツに急成長し、新規実装ウマ娘が発表される度にニュースになるような現状です。

そんな中でアニメ3期をやるとなったら、仕事を振る人・金を出す人から「“2期みたいな”成功を頼むよ!」と言われるのは想像に難くありません。それでいて、マルチメディアでの展開を意識してあのキャラも出せこのキャラも出せと要望があり……ウマ娘に限らずよくある話ですよね。売れた作品の続編が、なんだか物凄くとっちらかった凡作になるって。

制作が楽しんで作った、ファンを楽しませるために作ったような「作品」が、スポンサーや偉い人の要望に応えるためだけに作られた「商品」に変わったりすることがあります。これらは何の根拠もない自分の妄想なので真に受けないでほしいですが、個人的にウマ娘3期はこのあるあるな失敗パターンに重なって見えてしまいます。大人の事情というか、しがらみが増えた創作ってこうなりがちだよねという、色んな作品で見たことあるやつです。

メタ部分でばかり盛り上がる作品に

そんな3期でしたが、色々なところで盛り上がる作品ではありました。ゴルシの口からオルフェーヴルとジェンティルドンナの名前が出てきたり、シュヴァルグラン繋がりでヴィルシーナとヴィブロスが出てきたり、カノープスにサウンズオブアースとロイスアンドロイスが加入したり……そもそもドゥラメンテも最初は隠されてましたしね。

ですが、こういう盛り上がりポイントって全部アニメ本編での盛り上がりではなく、ウマ娘特有の「あの馬も許可取れたんだ!?」の盛り上がり方で、すごくメタ的な楽しみなんですよね。極論、アニメの出来とか関係ない部分での喜びです。

他にも、今浪さんとか斎藤さんとか、競馬関係のネタも前作から引き続きてんこ盛りでしたが、内容が伴わない状態でネタだけ入れていってもアニメが元ネタ探しゲームになってしまうというか。元ネタ探しは面白いんですけど、クイズやるためにアニメを見ているわけではないので。

話が飛びますが、ガキ使の笑ってはいけないシリーズ末期のように、有名人がいっぱい出てくるけど有名人に変なことさせてるのが面白いのであって、有名人の出演自体が面白いわけではないみたいな、回を重ねるに連れて有名人を出すこと自体が目的になってないか的な本末転倒感はあります。ネタを知らなきゃ楽しめない内輪ノリというか、競馬知らない人に「ゴルシがオルフェの名前出したよ!」って言っても何が面白いのか分からないでしょうし、そういう見所が作品外に向いている作りは不健全だなぁと思います。



キタサンブラック

勢いでここまで書いてきてしまいましたが、改めて振り返るとこんなに気になるポイントあったんだなってびっくりしますね。そんなに不満あったんだ自分。不満すら募らないレベルで真剣に見れてないと思ってたのに笑。

最終的な評価としては、率直に「駄作」だと思います。「2期で期待上がっちゃってたからね〜」とかいう問題ではなく、単品で見たってダメな部分が非常に多い作品でした。評価ポイントも散発的だしメタありきだし、このアニメ単体で見れば見るほど評価が落ちるというか、「〇〇“は”良かった」とか挙げていくほどそれアニメじゃないといけない理由あるかなって感じです。アニメ作品として評価できるポイントが全然無い。

ストーリーはペラペラ、キャラも人数居るだけで扱いきれず描写不足、レースは叫んでるだけ。何を楽しみに見るんだという感じで、ウマ娘のメインの1つであるライブも最終話だけでした。特にキタサンなんてライブ部分を魅せるのに絶好の主人公なのに、「まつり」も抜きで終わってしまいましたね。

ケチをつけ始めると止まらない今作ですが、一番残念なのはキタサンブラックが主人公である意味を見出だせなかったことでしょうか。どれだけ勝ってもジメジメしていて、モブのライバルを「誰ー!?」呼ばわり。シリアスにやりたいんだかギャグでやりたいんだか分からないテンションで、キタちゃんの良さとは何なのかが見られないまま終わりました。繰り返された「お祭り娘」というワードも空虚です。

折角「お祭り娘」を主人公にするんだから、1期のようにスポコンテイストでテンションの高い熱血物語にした方が良かったでしょうし、成績が安定しすぎてる問題は勝利後のライブと絡めればドラマが作れます。「父さんのようにライブでみんなを笑顔にしたい」「父さんの弟子やファンと家族ぐるみの付き合い」「ライブに意識を取られすぎてレースが疎かになって不覚を取る」とか、見せ方はいくらでもあったはずです。いくらキタサンが強くて見せ場を作りづらいレースをするからといって、ここまでキャラの要素を活かせないならキタサン以外が主人公でも上手くいかなかったと思います。

アニメ3期がコケようとウマ娘というコンテンツは続いていきますし、いずれ新アニメもまた展開されるでしょうが、この3期を明確に「失敗した」と認識した上で次回作に取り組んでほしいですね。こんな「新キャラお披露目が無いと見所作れません」みたいな詰め込みすぎの作品はもう見たくありません。というか、最終話まで完走するのも無理です笑。

他のソシャゲよりもキャラ1人1人の扱いが重いとはいえ、それでもソシャゲ特有のキャラ飽和状態が起こりつつあるウマ娘。「1クールアニメ」という尺が有るようで無い媒体で取捨選択をしなかった結果、こんな作品が生まれてしまいました。

好きなだけ尺を取れる連載漫画のシンデレラグレイ、ほぼ映画サイズの4話にまとめたロード・トゥ・ザ・トップはしっかり成功を収めているので、今度のジャングルポケット世代の映画化も多分大丈夫だと思います。が、長期アニメに関しては3期で不安しか残らない結果になったので、ちゃんと見所を絞れるようになってから次の長期アニメを作ってほしいですね。切に。



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