見るものをじらすかのようなこの高い剛性の小型車は80年代の終わりに登場しました。普通の通勤車とドリフトモンスターの境目に存在していながら、結局はどちらの側にも傾きませんでした。今日もいつもの通勤ですか?それとも本日4錠目のクスリを8杯目の単一産地コーヒーで飲み下しながらお昼のバインウッド大通りを疾走しますか?どちらにせよ、アニスの象徴的な4シーターのハンドルを握れば、大興奮間違いなしです。
– ミサイルのロックオン・ジャマー可能(Southern San Andreas Super Autosでの解説)
「マネーフロント」アップデートで追加されたハーディ。マブいスケはこれくらいハイソな車でないとデートに誘えません。日本が世界で一番元気だった時代の日本車を見ていきましょう。
車両データ
メーカー:アニス(Annis)
名称:ハーディ(Hardy)
分類:セダン
駆動方式:FR
乗車定員:4人
購入価格:$1,380,000
モデル車の考察
モデルは日産 ローレル(C33型)ですかね。テールライトは先代のC32型、フロントマスクはトヨタの初代ソアラあたりが要素として入っているかもしれません。
1980年代の日本はバブル時代。人々は高級感のある国産車を求め、豪華な装備や洗練されたデザインを持つ「ハイソカー(ハイソサエティーカーの略)」が一大ブームとなりました。
日産の高級乗用車であったローレルもその流れに乗り、売上は好調。そして1988年に満を持して登場したC33型は、歴代モデルで最大のヒット作となりました。
高級車としてその時代の最先端の装備を採用したり、細部への拘りを見せたり、バブル期ならではの力が入った作りとなっているこの時代のローレルは、センターピラーが無い4ドアセンターピラーレスハードトップが特徴。ハーディもしっかりとこれが再現されています。
なお、センターピラーを無くすことでウインドウを開けた時に絶大な開放感を得られる代わりに、ボディー剛性はどうしても落ちます。解説文では「高い剛性」と書かれていますが笑。
1980〜90年代に人気となったハイソカーたちは、バブルが弾けると一転して不人気な車となり、売上が落ちていきました。しかし、捨てる神あれば拾う神あり。中古でお安くなったハイソカーはコストが掛かったしっかりとした作り、FRでハイパワーというレイアウトがチューニングベースに最適で、特にドリ車として人気になりました。解説文でもこの車のドリフト人気に触れられていますね。
C32型までのローレルは海外へ輸出されていましたが、C33型からは国内専売となりました。ハーディも恐らく25年ルールを守って、最近サンアンドレアスに入ってきたのでしょう。
車名がHardyとされているのは、1920年代から活躍していたアメリカのお笑いコンビ「Laurel and Hardy」から取られていると思われます。当時の日本でも「極楽コンビ」と呼ばれて愛されていたようです。
ボディーペイントの元ネタ
「タクシー・インポート」は東京都の個人タクシーが元ネタだと思われます。このペイントを装備するとルーフに行灯も付きます。
非常に似合っていますがこの型のローレルがタクシーになっていたイメージは無く、もう少し古い型がタクシーに使われていた気がします。C31型なんかは公式で教習車、タクシー用のグレードが用意されていました。
タクシーのイメージがより強いのは同じ日産のセダンで車格も似ているセドリックですね。なのでその辺もまとめて元ネタになっていそうです。
走行性能
かなり癖の強い走りをする車で、セッティングと走らせ方で適応しないと乗りこなすのは大変です。ポテンシャルはあるので、乗りこなせばセダンカテゴリーでも上位の速さ。
加速性能はそこそこ。最初の加速はやや重たさがあり、速度が乗ってくるとそのまま最高速までスムーズに伸びる印象。トラクション性能は絶望的で、いつでもどこでもズルズル。まぁ、この世界の他の車たちがトラクション良すぎるだけで、1980年代の後輪駆動車ならこんなもんが普通だと思います笑。最高速は非常に高くセダンカテゴリーでトップと、意外なことに最高速マシン。
ハンドリング面がとにかく曲者で、車体そのものがかなり重たい動きをする上に、フロントに荷重が乗ると途端にリアがズルーっと滑り出します。ドリフトチューニングしていないのにドリ車のような挙動をし、ブレーキングしながらコーナーに入るとそれだけでブレーキングドリフトが始まるような状態です。低速域ならそれでもコントロールできますが、高速域でリアが滑り出すと制御不能です。おまけにブレーキの効きも悪い笑。
この悪癖をコントロールするには、走らせ方とセッティングの両方が必要になります。まず走らせ方で言うと、フロントに荷重を乗せながらハンドルを切ったらそれだけでリアがブレイクしてしまうので、コーナーに対して真っ直ぐに突っ込みながらブレーキングをして、十分に速度が落ちてからハンドルを切り始めるのがいいです。速度を落とすのと車体の向きを変えるのは別々にやった方が安全です。
サスペンションを変更して車高を落とすとロールが減り、動きが硬くなって荷重移動が抑えられるので、コーナーの突っ込みでリアが滑り出す現象はかなり抑えられます。とはいえ荷重移動をしたら滑ってしまうことに変わりはないので、滑り出しにくくなるだけで一度滑ったら同じです。
スポイラーを付けてダウンフォースを与えると高速域で安定感が増し、全く違うスピードレンジで曲がれるようになります。サスペンションの変更とスポイラーの変更をどっちもやると劇的に安定するので、速く走らせたいなら2つのチューニングは必須です。
ボディーの強度はちょい硬いくらいで普通。エンジンの耐久性はそこまでなのか、それともこの車のスピードレンジが以外にも高いからなのか、何度かクラッシュしたくらいで煙を吹き出しました。高級車とはいえ古い車ですからこんなもんです。
ボディーペイントの「タクシー・インポート」でタクシーペイントをすると、タクシーミッションが行えるようになります。タクシーとしての使いやすさについては、もう言わなくても分かると思いますがタクシーには向きません笑。
ガッツリカスタムしていればだいぶ乗りやすくなりますけど、それでも重量級でちょっとでも油断するとズルっと滑るので、安全運転を心がけていてもおっかない動きをします。高性能なユードラみたいな感じですね。ポテンシャルは高いので、乗りこなせば最速のタクシーだと思います。
自分のタイムアタック記録
救急ドリフト 0:59.560
カスタマイズ
凄まじいカスタムの充実度で、純正オプション的なチョイ足し、VIP系、ドリ車、族車、タクシーと、「ローレルでこういうカスタムしたいなぁ」を全てカバーする勢いなのが凄いです。そもそものローレルという車種選択もそうですが、カスタムの拘りようはユーザーが好き勝手に作ったMOD車両の如し。
フロントバンパーはリップスポイラーが半分くらい、あとはドリ車っぽいダクトが大口のものと、族車らしいデッカイ出っ歯。リアバンパーはマッドガード、良い塩梅のエアロ、競技車両っぽく切り落としたものと、リアバンパーの適当さに定評があるロックスターとは思えないまともさ。
グリルは取り外したり模様を変えたり出来ますが、ここを弄るだけで80年代辺りの様々な日本車に化けられるので、地味ながら超優秀なパーツ。ボンネットは多彩なダクト入りのエアロ、サブカラーとカーボンの差分と使いやすいものから、ターボ突き出し、ボンネットレスでバグキャッチャー剥き出しの派手なものも。族車っぽく三角形に張り出したものもあるんですが、これが大小2つ用意されているのが嬉しい。小さい張り出しによって目つきを悪くさせてギャランみたいな顔つきにできるんですよね。
フェンダーはサブカラー、族車っぽい羽つき、ダクトありと数は少ないながら良いものが揃っています。贅沢を言えば、オーバーフェンダーも欲しかったかな。スカートはフロントマッドガードとエアロがいくつか。エアロスカートもしっかりしてて最高なんですけど、マッドガードの地味なオプションがすごくこの時代の車っぽくて良いんですよねぇ……。
マフラーはレミュスを思わせる内容で、スポーティーなシングル、ツインがあると思ったら、下に行くにつれてとんでもないタケヤリマフラーが。ミラーは空力が良さそうな小型のものがいくつか。プレートマウントでフロントのナンバープレートを左右に移せるのも良い感じ。
スポイラーは小型のスポイラー、リップスポイラーにダックテイル、ドラッグマシンのような大型の羽根、GTウイング、族車っぽいバカでかい板と色々。出来ればシルエットフォーミュラっぽいウイングも欲しかったですが、十分すぎるラインナップですね。
サスペンション変更による車高の下げ幅は中々で、良い具合にローダウンできます。もう一段落とせれば最高なんですが、実はこの車、スタンスが設定されているのに有効化出来ないんですよね。もしスタンス状態にできるんであれば文句なしなんですけどね。
シャーシの項目ではトリムとロールケージを弄れます。トリムカラーをメイン・サブ・クロームに変えることでかなり印象が変わります。ロールケージはシートと一体になっているタイプで、スポーツ系のカスタムをするなら取り付けましょう。
ペイントではサブカラーとトリムカラーが変更可能。サブカラーは車体の下部分に適用され、ツートンで古き良きシブさを演出できます。トリムカラーは全体に適用されるのではなくドアの内張りにだけ適用されるので、丁度いい適用範囲です。
ボディーペイントはオプションのようなサイドストライプ、東京の個人タクシー、競技仕様、族車、痛車と、この車のカスタム幅をそのまま表しているような多彩さ。気合が入ったものが多くて素晴らしいです。
厳密に言うとまだ欲しいものがいくつかと感じるラインナップですが、加点方式だと2億点みたいな良さがいっぱいのラインナップですね。やりたいことがほぼ出来て、この車でしか出来ないカスタムもあって、これはちゃんとモデル車に理解がある人でないと作れない内容になっています。
感想
まだアップデートが来て初週ですが、今回のアップデート最大のサプライズと言ってもいいでしょう。「ローレルがGTAに追加」ってだけでもだいぶおかしいですが、そのカスタムの仕上がりがここまでハイレベルだなんて、良い意味でどうかしてます。こんな車オタクの夢みたいな追加車両が許されるのか……。
今後のアップデートでドリフトチューニングが解禁されるのではないかという噂もあり、まだ伸びしろを持つこの車。こんな車を出せる製作者が居るなら、GTA6の出来も安泰や!
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