こんばんは、麻乃ヨルダです。本日は、昔遊戯王をやっていたけど今はやっていない人に向けて、昔懐かしのカードとそれをリメイクしたカード(OCGでもラッシュデュエルでも)を紹介していこうと思います。「うわ懐かしい!」「こんなカードあるんだ!」と思い出を振り返っていただき、紙やマスターデュエルに復帰するきっかけになれば幸いです。
今回紹介するカードは「ハングリーバーガー」。
ハンバーガー作りは大変です
まわりに おいしそうなにおいをまいて ちかづくものを ぎゃくにたべてしまう(GB版DMシリーズ)
Pharaoh’s Servant-ファラオのしもべ-で登場したハングリーバーガー。牙のついたハンバーガーで、上に立てられた旗が目のように見えるB級ホラーな怖さと可愛さを持つモンスターです。
ゲームボーイの遊戯王DM2で初登場し、後にOCG化された儀式モンスターの1体。この時代の儀式モンスターは基本的に効果が無く、ステータスも普通の上級モンスター程度で「儀式してまで出すほどじゃない」のが当たり前という悲しいモンスター群で、ハングリーバーガーもそんな1枚。
昔はサーチカードなんて便利なもんは殆ど無く、「儀式モンスター」「儀式魔法」「生贄モンスター」の3枚を手札と場に揃えて、ようやく出せるのが効果なしの攻撃力2000ですから、真面目に使おうとするデュエリストなんて居ません。B級映画にありそうなビジュアル、「ハングリー(Hungry:空腹)」と「ハンバーガー(Hamburger)」を合わせた名前もあり、実用性の無いネタカードとして扱われていました。
(遊戯王DMシリーズでのドット絵。なんかちゃちくて紙よりも弱そうに見える笑→【攻略】GB版遊戯王DM 全カード一覧 その15(701~750))
このカードのネタ扱いを加速させているのが種族設定。なんとこの見た目で戦士族となっていて、草原でパワーアップしたり戦士族サポートを受けられます。イメージと合致した種族が無くて適当な種族に割り振られることがあるのは遊戯王あるあるですが、ハングリーバーガーの場合は見た目もキャラも「悪魔族でいいじゃん」と思える設定なので、なぜ戦士族にされたのか今もなお疑問視されています。
初登場となった遊戯王DM2では儀式モンスターの生贄が非常に厳しく、特定の3枚のモンスターを生贄に捧げないといけませんでした。ハングリーバーガーの場合は「牛魔人」「B・プラント」「グリグル」の3体で、この3体を材料にハングリーバーガーが作れると設定されているのは面白いですね。
(牛魔人で作ったパティなのか……)
そして実用性はOCG以上に無く、サーチカード抜きに生贄3種類を集めて、しかも生贄は場に居ないといけないので3体生き残らせないといけない。そして儀式魔法を手札に加えて儀式をしないといけない(儀式モンスターは虚空から現れるのでデッキに入れる必要は無い)ので、ある意味エクゾディアより難しい条件でした(遊戯王DM2はラッシュデュエルのように毎ターン手札が5枚になるようドローするので回転率は良いんですが、それでも狙ったカードを揃えるのは超大変)。
流石に難しすぎると反省されDM3以降は必須の生贄がB・プラントだけになりましたが、それでもB・プラントと生贄2体と儀式魔法を揃えて儀式するだけの価値はありません笑。召喚魔族(じゃんけん)の相性が無い神魔族なのは強いんですが、ステータス2000が単純に強くない。DM3以降はドローも毎ターン1枚なので、ハングリーバーガーを出す前に勝負がついてます笑。
シェフを呼んでくれ!
完全に観賞用のカードであったハングリーバーガー。しかし、そんなハングリーバーガーに23年の時を経てテコ入れが来ます。それがデッキビルドパック ワイルド・サバイバーズ。このパックで料理をコンセプトにする「ヌーベルズ」というテーマが登場しました。
「ヌーベルズ」は儀式テーマで、儀式モンスターを召喚し、その儀式モンスターの効果で自身と他のモンスターを生贄に更に上級の儀式モンスターを召喚、を繰り返してどんどん強い儀式モンスターに進化していくギミックを持っています。どんどん新しい料理(儀式モンスター)が出てくる様は、さながらコース料理のよう。
そして現状ヌーベルズモンスターの頂点に居るのがこの「バグリエル・ド・ヌーベルズ」ですが、このバグリエルの効果で最終的に出てくるのがハングリーバーガー。なんと、この店のコース料理のメインディッシュにハングリーバーガーが採用されているのです。
ヌーベルズの情報が最初に公開された時、「料理で相手をもてなす儀式召喚テーマ」というフレーズにハングリーバーガーを連想したデュエリストは多かったですが、まさかの正式採用。そしてサポートカードに「Recette de Specialite~料理長自慢のレシピ~」も登場し、おふざけではなく真面目にハングリーバーガーがこの店のイチオシであることが判明しました笑。独創的なお店です。
ちなみに、ヌーベルズモンスターは基本的に戦士族・獣戦士族で統一されています。ザ・ヴァリュアブル・ブックEX4によると「悪魔的な美味しさを追求した結果、本当に料理に悪魔が宿ってしまった」「味は評判だが、マナーの悪い客は逆に悪魔に食べられてしまう」とのことで、ソロモン72柱の悪魔がモチーフとなっているデザインも含めてどう見ても悪魔なのに戦士扱いなのはハングリーバーガーのリスペクトでしょう笑。
2023年はOCGの25周年記念でもあり色んなイベントが行われ、ファミリーレストランチェーンのCOCO’Sとコラボも行われました。そこでコラボメニューとしてハングリーバーガーセットも販売。
他のコラボメニューがあくまでモチーフとなったモンスターの色合いを再現しただけなのに対し、ハングリーバーガーはほぼ完全再現という気合の入れよう。「大人気モンスター『ハングリーバーガー』を再現した一品」という大きく出た紹介文に負けず、品切れ続出の大人気商品になったそうです。
(余談ですが、アニメ「遊戯王ZEXAL II」第92話において、ハートランド学園の学園祭の模擬店で小鳥がメニューとしてハングリーバーガーを提示していて、長い時を経てそれが現実となった形)
ヌーベルズデッキにおいてハングリーバーガーはダメ押しのカードとして入れても入れなくてもいいくらいの立場ですが、それでも現代で真面目に実用性が生まれ、単にネタだけでなくちゃんと使えるカードとして大躍進したのは嬉しいですね。古いカードのリメイクも嬉しいですが、昔のカードをそのままに上手く使えるようになるテコ入れってのは特別嬉しいです。
美味しくなって新登場
さて、これだけでも十分嬉しい扱いとなったハングリーバーガーですが、その2年後には更にリメイクカードまで登場しました。それがこちら。
「アングリーバーガー」。DUELIST ADVANCEでハングリーバーガーが美味しくなって新登場しました。
具材には玉ねぎ、ピーマン、ピクルスが追加され、チーズもトロリ。見た目も美味しそうになりましたが、進化したのは見た目だけではありません。ステータスや効果などを見てみましょう。
儀式・効果モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2800/守1850
「レシピ」カードにより降臨
このカード名はルール上「ハングリーバーガー」として扱う。
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札のこのカードを相手に見せて発動できる。
デッキから「ヌーベルズ」モンスター1体を手札に加え、このカードをデッキに戻す。
(2):攻撃可能な相手モンスターはこのカードを攻撃しなければならない。
(3):自分・相手ターンに発動できる。
自分・相手フィールドの攻撃表示モンスター1体をリリースし、
手札・デッキから攻撃力2000の「ハングリーバーガー」1体を特殊召喚する。
1つ目の効果でヌーベルズのサーチが行なえます。儀式モンスターは儀式召喚が大変すぎる代わりにサーチ手段が豊富なので、このカードをサーチしてそこからヌーベルズをサーチしてと繋げることもできます。ヌーベルズの効果による特殊召喚は基本的にデッキから行けるので、自身がデッキに戻ってしまっても殆どデメリットになりません。
2つ目の効果は攻撃誘導。匂いに誘われた相手を逆に食べてしまう、ハングリーバーガーの設定を活かした効果になっていますね。ヌーベルズたちのモンスターをリリースして次の料理を出す効果は攻撃対象になった時に発動するものもあるので、攻撃誘導は地味に効く場面も。攻撃力2800とパワーアップしているので、ただ立っているだけでも結構強いです。
3つ目の効果は攻撃表示モンスターをハングリーバーガーの素材にしてしまう効果。このカードはルール上ハングリーバーガーとして扱う効果を持ちますが、この効果で出せるのは本物のハングリーバーガーのみ。対象を取らないリリースという最強クラスの除去で、フリーチェーンなのでいつでも使えて妨害も追撃も行ける強力な効果なので、元祖と一緒にデッキに採用したいですね。
元々のカードを活かしながらの理想的なリメイク。懐かしのハングリーバーガーを使ってガチでデュエルしたい!と思ったデュエリストは、是非ともヌーベルズと一緒にチェックしてみてください。
誰か忘れてない?
ところで、ヌーベルズカードの登場でハングリーバーガーを作っていた人たちの存在が明らかになって、今度は“あの人”の存在も気になってきませんか?
そうです、元祖「ハンバーガーのレシピ」の人です。「悪魔の調理師」に似てるけどちょっと違うこの人物。ヌーベルズたちが現れ、初期設定に居た謎の人扱いになったかと思いきや、ちゃんとこの人も救済されました。
ザ・ヴァリュアブルブックEX4によると、このカードのイラストのシェフはA Tableの「初代料理長」とのこと。この人がハングリーバーガーを生み出し、それが代々受け継がれてきたようです。まさかこの人のストーリー性まで明らかになるなんて、20年前のデュエリストたちに言っても信じて貰えないでしょう笑。
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