古いレザージャケットのほこりを払い、ビンテージのランチパンツのしわを伸ばし、Los Santos Rock Radioのボリュームを最大まで上げましょう。いわゆる”中年の危機”の最後のボスになるときが来ました。あなたはタンパGTが発売されたときにはまだ生まれてもいなかったため、退職金の残りを全部使い果たして購入しても「懐かしくて」という理由は通用しません。それでもベトナム戦争期のロック音楽を大音量でかけていれば、助手席に座る退屈そうな19歳がさげすみの目を向けてきても、まったく気になりません。
– ミサイルのロックオン・ジャマー利用可能(Southern San Andreas Super Autosでの解説)
「マネーフロント」アップデートで追加されたタンパGT。「紳士のマッスルカー」と呼ばれたこの車に一度乗れば、女性蔑視、人種差別、同性愛者の迫害に勤しんでいた正しき紳士の姿を取り戻せるはずです。上品で男らしい1台を見ていきましょう。
車両データ
メーカー:デクラス(Declasse)
名称:タンパGT(Tampa GT)
分類:マッスルカー
駆動方式:FR
乗車定員:2人
購入価格:$1,311,000
モデル車の考察
モデルは1967年式のプリムス ベルベディア GTXですかね。フロントバンパーやテールパネルなど各所には1965年式のシボレー シェベル マリブの要素も見られ、この時代の箱っぽい腰高のマッスルカーが組み合わされているようです。
ベルベディア GTXはベルベディアの高性能バージョンとして作られた車で、ミドルサイズで高性能のマッスルカーとして位置づけられていました。プリムスが初めてマッスルカー市場に進出したこの車は高級感のある仕様ながら手頃な価格を実現し、「ジェントルマンズ・ホットロッド」と呼ばれ、マッスルカー時代を象徴する1台となりました。
今作で既に登場しているタンパとこの車の関係性を考えると、モデルの年式的に恐らくタンパGTが先代でタンパが後継機。まぁ、タンパの方はモデルがかなりバラけているので正確な年式とかはよく分かんないんですけど、ボディー形状や雰囲気を見ればなんとなくこっちが古そうな気はします。
走行性能
典型的なマッスルカーの走りです。重たい、曲がらない、ストレートだけは速い。でもそれがイイ。
加速性能はそこまで。発進から低速域までゆっくりと加速し、長いストレートでようやく速度が乗っていきます。トラクション性能も当然ダメダメ。それでいて最高速はマッスルカーカテゴリーでトップクラス。
ハンドリング面は昨今珍しい旧車マッスルカー丸出しの動き。まるで車輪の付いたボートを運転しているかのような感覚で、重たい上に重心が高くフワフワ。何より純正のブレーキは故障を疑うレベルで効かないので、とりあえずブレーキのチューニングをするのがオススメ(今回のチューニングで一番タイムが縮まったのが、サスペンションでもスポイラーでもなくブレーキでした笑)。
サスペンションを変えて車高を下げてもフワフワ感は大して変わりません。高速域ではゆったりと車体の向きが変わってアンダーステア、低速域ではズル〜ッとオーバーステア。スポイラーは結構効果があり、ダウンフォースを付けると高速コーナーでは安定するので速く走りたいならスポイラーを付けるべきです。
オフロードではこの車の悪いところが全て3割増しで現れます。全てのコーナーでドリフト状態、高速コーナーではグリップ感が無くちょっとラインをミスるとアンダーステアで吹っ飛ぶ……チューニングによってオンロードでは大人しくなっていたように見えていたのが、オフロードでは首輪を外した犬のようにしつけを忘れて暴れだします。
ボディーの強度は硬めで、ガツガツぶつけても箱型のボディーは殆ど変形せず、走りへの影響もなし(元が走りづらいから影響があっても気づいていないだけかもしれない)。耐久力も高く、かなりぶつけないとエンジンから煙も吹かないので、雑に扱ってもついてきてくれます。
自分のタイムアタック記録
救急ドリフト 0:59.760、DiRT走行会コース 2:24.816
カスタマイズ
カスタムパーツは多くないんですが、特色の強いパーツが色々あって個性の出し方に困らない車です。
フロントバンパーはチンスポイラーとグリルガードが用意されています。悪くないですがバンパーそのものを変えることが出来ず、何をしてもクロームバンパーはそのままなのがちょっと残念。リアバンパーはバンパー形状を変えたり黒プラスチックにしたりできます。
グリルは内側にスラットを入れたり、黒くしたり、縦に太い線を入れたり、ここを変えるだけで別の車になったように印象を変えられるのが素晴らしいですね。
ボンネットはドラッグマシンのようなエンジンとバグキャッチャーがドカンと突き出たものが用意されています。それ以外のものは全部ダクト付きで、1つくらいはスムーズなものがあっても良かったかも。サブカラーとカーボンの差分がそれぞれ用意されていて、ここで色分けができるのが地味にカスタマイズの幅を広げます。
ミラーは純正と同じような小さいサイズで四角形やロケット状など使いやすいものが揃っています。特に文句なし。マフラーは純正の後方左右2本出しの他、サイド出しでリア寄りにしたりフロント寄りにしたりどれもマッスルカーらしさと個性の強さがあります。
ルーフはルーフラックが各種用意されていて、荷物を置いたりサーフボードを置いたり出来ます。どれも生活感があって良いですが、ルーフの色や質感を変えられるとより良かったかも。
スポイラーは全てダックテイルで、カラー差分と共に大小のものが用意されています。潔し。
サスペンション変更による車高の下げ幅はほんの少し。もっとガッツリ下げられたら良かったんですが、この腰高感がタンパGTの味ということで。
ペイントはメインカラー・サブカラー・トリムカラーと用意されています。サブカラーは純正だと適用範囲が全く無いのでカラー差分パーツを使っていきましょう。トリムカラーは文字通り内装の「全て」を塗り替えるので、良くも悪くもインパクトあり。
ボディーペイントは白黒の太めストライプ、ストックカー風と本当にストックカーなペイント、ローライダー系のカスタムペイントと用意されています。
感想
レビューを見返すとこの車の性能を全く評価していないように見えてしまいますが、実は全くの逆で、僕はこの車の走りが大好きです。というのも、この走りが非常に車のキャラクターとマッチしているから。
昨今の追加車両の旧車マッスルカーは旧車の癖にやけに安定していて、それでいて直線番長みたいな尖りもない、優等生な性能の車が多かったです。乗ってて全然マッスルカーを感じないものばかりでしたが、この車は乗ってすぐに作りの古さが伝わってくる走りで、その不自由さが旧車の味を感じさせてくれます。やっぱりね、性能の良し悪し以前にモデルと性能のイメージがマッチしてるかどうかなんですよ。
なので、性能のチェックが終わった後は車高を戻してスポイラーも外して、敢えて乗りにくい仕様にして乗っています。ブレーキも純正に戻しましたから、これはもう危険です笑。でもその危険が楽しい。マッスルカーがちゃんとマッスルカーしているのが良いんです。走りの楽しさっていうのは速いとか乗りやすいとかだけじゃないんです。
カスタム面に関しても、いくつかのパーツを変えるだけでキャラクターを変えられる、まるで役者のように様々な顔を持つ車なので仕様を考えるのが楽しいです。ゴリゴリのマッスルカーやそうとは見えないスリーパーなど、大して造りに違いが無いのによく見たらキャラクターが全然違う、十人十色のタンパGTを作ってしまうような懐の深さがあります。こういう味の出し方が理想なんですよ。
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