自分が見た中で「これは面白い!」と感じた動画(YouTubeでもニコニコでも)を紹介するコーナーです。今回はVadim M様制作の「GTA SA – Removed mission “Impounded” and features around it ✂️ – Feat. BadgerGoodger」です。
復元されるシーザーのミッション
前回の記事で紹介した動画と同様、こちらも製品版で削除されたミッションを復元してみようという内容になります。諸々の説明は前回の記事で済ませているので早速本題に入ると、今回復元されたミッションは「Cesar2」と呼ばれていたミッションで、実装されていれば「Impounded」と名付けられていたようです。
ロスサントスにおけるシーザー関連のミッションは2つあり、1つ目はスウィートから受注する「Cesar Vialpando」。このミッションでCJはローライダーミーティングに参加し、妹ケンドルの恋人であるシーザーがどういう人間か見極め、一旦は妹の恋を見守ることにします。そして2つ目はシーザーから受注できるミッション「High Stakes, Low-Rider」で、ローライダー限定の賭けレースを行いCJが勝利することになります。
内部データでは「High Stakes, Low-Rider」が「Cesar1」と呼ばれていて、つまり今回復元されたミッションは実装されていれば「High Stakes, Low-Rider」の次に行うシーザーミッションということになります。今にして思えば、ロスサントス編第1部でシーザーから受注できるミッションが1つだけというのは寂しいので、本当は他にもミッションをやってシーザーとの親交を深める予定だったのでしょう。
「Impounded」
では、そのカットされたミッション「Impounded」はどんな内容だったのでしょうか。まず、ミッションの前にシーザーから電話を受けます。シーザーは「俺のガレージ見に来るか?お前の車を弄ってやるから良い車に乗ってこいよ」と言ってくるので、CJは車に乗ってミッションマーカーに入ります。
そこからカットシーンが始まり、CJとシーザーとケンドルは話を始めます。ここのカットシーンの動画は作られていなかったようですが、なんと音声データの方は丸々残っていたというのが驚きです。
カットシーンではシーザーが自宅ガレージで愛車を弄っていて、CJはシーザーに促されて愛車を敷地内に入れようとしますが、気づけば愛車がレッカー移動されていました。怒れるCJに対し、シーザーは警察署にある地下駐車場が押収車保管庫になっていると言い、レッカー移動されたならそこにあるはずだと教えてくれます。そしてCJは押収車保管庫に行って愛車を取り戻しに行くところでカットシーンは終了し、愛車を取り戻して塗装屋で手配度を消せばミッション完了になるようです。
実装されなかった押収車システム
このミッションで分かることは、制作段階では「自分の乗り物が押収されるシステム」があったということです。GTAでは自分が乗っていた乗り物から距離を取って、乗り物が視野外に出たりすると、乗り物がどこかに消えます。それをレッカー移動に結びつけ、消えた乗り物を回収できるようにしようとしたのですね。
その名残として、各都市の警察署には駐車場が併設されていて、その一部分には消えた乗り物がスポーンするポイントが用意されています。警察の駐車場に行ってみたことがある人は知っていると思いますが、ここの警察の挙動は街で出会う警察と少し違っていて、なぜそうなっているのか昔から疑問だったのですが、こういったボツ要素があったと知ると納得ですね。
少し毛色は違いますがGTA5(及びオンライン)では愛車をガレージで永続的に保管したり、警察に車を押収されたりのシステムがあります。3Dユニバース時代の乗り物は使い捨てが基本でしたが、当時から「愛車」という概念を作ろうと努力していたわけですね。
シーザーのカスタムショップ
そしてもう一つのボツ要素として見えてくるのが、「シーザーの家がカスタムショップになる」というものです。ミッション前の電話でも話が出ていましたが、シーザーはCJの車をカスタムしようとしていて、これは単に雰囲気を出す会話としてこういう台詞が使われているというわけではなく、実際にシーザーがカスタムショップを開くアイディアがあったようです。
その証拠に、内部データだとシーザーの家は「KB Garage Los Angeles South(KBはミッション「Impounded」を担当したKevin Bolt氏のイニシャル)」と呼ばれていて、敷地内のガレージは「Mod Garage Los Angeles South」と呼ばれていました。ガレージは製品版だと開かないようになっていますが、MODの力を借りるとガレージが開閉するようになっているそうです。
そして、シーザーの家をよく見ると、ローライダー専門のカスタムショップ「ロコ・ロウ・コーポレーション」とそっくりなのです。内部データでもロコ・ロウ・コーポレーションのガレージは「Mod Garage Los Angeles South2」と呼ばれていて、むしろロコ・ロウ・コーポレーションがシーザーの家とそっくり、と言った方が良さそうです。
開発版のゲームを元に制作されている攻略本でも、シーザーの家がカスタムショップとして機能しているかのような記述が残っています。自分が持っている日本語版のストラテジーガイドではいくつかその手の記述が修正されているようですが、上の画像のように「シーザーのローライダー改造ガレージに行き」「ウィロウフィールド地区(シーザーの地元)」など、製品版のことを考えるとおかしな記述が残ったままです(シーザーの地元はエル・コローナで、ロコ・ロウ・コーポレーションのあるウィロウフィールドとは関わりがないはず)。他にもありそうなので気になる人は探してみてください。
レースゲームとしても遊べるゲームに
車が中心のクライムアクションゲームとして成功を収めてきたGTAシリーズ。その中でもサンアンドレアスは「何でも出来る」と言えるほど幅広い遊び方を楽しめるゲームでしたが、それでも当時は容量の限界を前に泣く泣く消されたボツ要素が沢山あるんだなと、今回の動画で強く感じさせられましたね。
特に押収車等のシステムは当時遊んでいた自分も欲しいなぁと思っていたもので、どれだけカスタムした車を作ってもガレージの保存が上手くいかず消えたり、破壊されたら為す術なく消えたり、サンアンドレアスで車関係の要素が追加されても結局車は使い捨てにしがちでした。車の保管や復元をしやすくして愛車を手元に残せるようにしたい!というのは制作側も強く感じていたんでしょうね。
現在のGTA5はこの辺のシステムが強化されて、純粋なレースゲームではないのにレースゲームとしても遊べるほど乗り物要素が充実しました。その背景には、当時の技術力では実現できなかったアイディアの数々が有るんですね。
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