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GTA5/GTAオンライン車図鑑「カリン ボーア(Karin Boor)」

投稿日:2023年4月19日 更新日:

コンパクトカーとトラック、あるいはクーペか業務用車?それともピックアップか乗用車か?そんな悩みを抱えているなら、その6種全ての血を引くような、捻くれた1台を選ぶのはいかがでしょう?カルト的な人気を誇るクラシックなカリン ボーアは、「なんだこりゃ」という言葉すら生ぬるい、定義できない人のための多用途オフロード車です。発売当初から狂気の沙汰だと思われていましたが、その後もボーアは何一つ変わることなく伝説であり続けています。

(Southern Sanandreas Super Autosでの解説)

「ロスサントス・ドラッグウォーズ」アップデートで追加されたボーア。見た目が男でも心が女なら女性であるように、ピックアップトラックに見えるこの車も実は普通乗用車なのです。複雑なカテゴリーの1台を見ていきましょう。



車両データ

メーカー:カリン(Karin)
名称:ボーア(Boor)=野蛮人(英語)
分類:オフロード
駆動方式:AWD
乗車定員:2人
購入価格:$1,280,000

モデル車の考察

モデルはスバル ブラット(第2世代)ですかね。フロントマスクはトヨタ クレスタ(初代)の要素も見られ、1980年代の日本車のカクカクとしたデザインが特徴的です。

小さな日本製トラックという出で立ちがよく再現されていますが、モデルのブラットは荷台の上に座席が付いていて「これはピックアップトラックではなく、外に座席が付いた4人乗り乗用車です!」と言い張っていた(輸入トラックは高い関税がかけられるから)のが最大の特徴の車なので、ボーアはその最大の特徴が抜けてしまって普通のトラックになっていますね。

通販サイトの解説文もブラットをイメージさせるものとなっていますが、最大の特徴を失ったボーアだとどの辺が伝説になっているんでしょうか。まぁ、小さい日本製トラックというだけでも個性は強めですが。

ちなみに、ブラットの正式名称は「Bi-drive Recreational All-terrain Transporter」です。この頭文字を取ったBRATは「悪ガキ」を意味するスラングでもあり、Boorは「不作法者、野蛮人」などを意味する単語なので、そういった繋がりで名付けられているものと思われます。

ボディーペイントの元ネタ

「Karin」ボーア(黒)、「Karin」ボーア(赤)、ボーアレトロ、クラシック「Karin」はブラットのメーカーオプションカラーが元ネタだと思われます。「Karin」ボーア(黒)と「Karin」ボーア(赤)これボーアレトロこれクラシック「Karin」これが元ネタですかね。

80s「Karin」はブラットのボディストライプキットが元ネタだと思われます(画像)。

スタースバングル「Patriot」はアメリカのテレビドラマ「マイネーム・イズ・アール」に登場したブラットが元ネタだと思われます(画像)。ペイント自体は他の車からの流用ですが、ボーアにこのペイントを持ってきたのは間違いなくマイネーム・イズ・アールが元ネタでしょうね。



走行性能

キャラの濃い車だけに走りも中々の癖強になっています。慣れれば味わい深い癖が楽しめるでしょう。

加速性能は低め。一応4駆ですがトラクション性能は低く、ゆったりと速度が乗っていきます。この手の車だと大抵は加速重視で最高速が伸びなかったりするものですが、ボーアは逆に加速がイマイチな代わりに最高速がそこそこ伸びます。ストレートで頑張ってください。

余談ですが、エンジン音はサルタンRSなどと同じ低音でドロドロとしたボクサーエンジンっぽい音が聞こえます。しかし、ボンネットを開けてみるとデカい直列6気筒っぽいエンジンが載っています(モデルのブラットは水平対向4気筒)。エンジンの見た目と音が一致しないのはいいとして、この小さいボディに直6をブチ込んだのはなんか元ネタでもあるんでしょうか。

コーナリング性能は低めで、どのコーナーでもズルズルと4輪を滑らせます。ブレーキ性能も低く、速く走ろうと思うと非常に厳しい挙動を示しますが、振り回して遊ぼうと思うと中々楽しいです。スライドの仕方が穏やかなので、慣れると4WDドリフトを決めながらコーナーを駆け抜けられます。

カスタマイズ

特徴的なパーツが揃っていて、色々な方向性にカスタマイズできます。しかし、どの方向性にカスタムしようとしてもあと一歩何かが足りない、帯に短し襷に長しな車です。これなら何か一つの方向性に特化した方がよかったのではないかと思います。

バンパー類はグリルガードが大量に用意されています。フォグランプが付いているものやウィンチが付いているものなど、いかにもオフロードを走っていそうなものが揃っていますね。インタークーラー剥き出しのパーツも有り。

ボンネットではダクトが付いているものから、ターボがボンネットから飛び出しているもの、バグキャッチャーが飛び出しているものなど派手なパーツも有り。これだけでもかなり個性が出ますね。

この車の一番の特徴であるトラック荷台は、定番のロールケージに始まり、荷台にカバー(レザーカバーも有り)を付けたり、キャノピーを付けてワゴン化したりと多彩なパーツが用意されています。ただ、モデルのブラットのように座席を置けないのは大きなマイナスです。

ルーフはガラスルーフをちょっとだけ開くことができます。中々珍しいカスタムではありますが、普通にリモートで開け閉め出来ればよかったんじゃないかとか、ルーフを閉じるオプションもあったらよかったなとか思ったり。

マフラーはリアのサイド2本出しとサイド2本出しに加えて、荷台から上に垂直に飛び出している特徴的なパーツも有り。また、左フロントフェンダーにシュノーケルをつけることもできます。

サスペンションの変更による車高の下げ幅はそこそこで、レース・サスペンションまで下げるとフロントはサスペンションが見えなくなるくらいまで下がります。しかし、元からリアの車高が高めなのでリアはサスペンションが見える状態に(リアの車高が高めなのはモデル準拠です)。その辺の見栄えの調整は少々難しいですね。

ペイントはサブカラーの適用範囲が少々独特で、トリムの下がサブカラー部分になるんですがフロントのみサブカラーが適用されないので上手く合わせるのが難しいですね。また、荷台のロールケージもサブカラーの適用範囲となります。

ボディーペイントは上で紹介したようなブラットを意識したものに始まり、なぜかローライダーっぽいカスタムペイント、迷彩、アメリカ国旗カラー、錆ペイントなどが用意されています。とてもバリエーション豊かですが、ラリーカーっぽくできる企業ペイントが無いのはかなり不満です。スバルっぽいカリン・パフォーマンスのペイントとかあったら一気にラリー車になるのに。

特に拘りを感じるのが錆ペイントで、これらのペイントを適用すると内装までボロボロになります。この手のラット系カスタムをする時は外装だけボロボロで中は綺麗なままになりがちなのが困りものだったので、内装もボロボロにしてくれるのはありがたいですね(ついでにホイールも錆びさせてくれ)。

このように、とても多彩で個性的なパーツが揃っている一方、どの方向性にカスタムしても半端になりがちなのが悲しいです。ブラットのように座席をつけることはできないし、企業ペイントでラリーカーっぽくもならないし、タイヤが小さめでリアの車高だけ高めなのもあってオフローダーにはならないし、変態ドラッグレーサーにしてもフロントだけしか派手派手にならないし、なぜかペイントだけローライダーなものがあるし……色々出来るように見えて、カスタム後に「あれ?こんなもん?」と物足りなさを感じるような、そんなラインナップです。

感想

面白い車なんですが、イマイチ正統派にもネタにも振り切れていない中途半端さが気になってしまいますね。モデルの再現にしても一番肝心なところがスルーされていますし、もっとハジケられただろうと思ってしまいます。それっぽく仕上げられているのにツボを尽くハズしているのがダメな時のロックスターという感じです笑。

カスタムでモヤ〜っとするところが大いに気になりますが、特徴的な走りなど面白さはある車なので、この小さな日本製トラックに興味が湧いた人は買ってみてもいいと思います。めちゃくちゃに何かが不満という車でもありませんので。減点が積もりに積もってはいるけど。



モデル車について

スバル ブラット

アメリカではパーソナルカー(2台目以降の自家用車)としてピックアップトラックの需要があり、1970年代に入って日本車の輸入が本格化してくると、各日本メーカーのミニピックアップトラックが好調な販売を記録していった。

それを受けてスバル・オブ・アメリカは、富士重工業にトラックの製造を要請した。しかし、スバルはフルモノコックボディの普通車しか生産していなかったことがトラック製造における大きなネックであった。

アメリカでは1964年より輸入ライトトラックに25%もの高い関税(チキンタックス)を課していた。他の日本製トラックはフレーム構造のボディで、荷台は現地で組み付ける部品(キャブシャシー)扱いという手法で関税を回避していたが、フレーム構造を持たないモノコックボディではそうした加工ができず、既存のスバル車をそのままピックアップトラック化しても重税に苦しめられるのは明白だった。

そこで製造されたのが、A3型レオーネ2ドアセダンをベースとしたブラットだ。一見するとレオーネベースのピックアップトラックとしか思えないが、大きな特徴は荷台の上に2つの座席が付いていること。これにより、「ピックアップ(荷台を有する)トラック」ではなく、「外に座席が付いた4人乗りの乗用車」として輸入が認められ、関税を回避することに成功した。

ブラットはアメリカだけでなく世界に幅広く輸出され、1981年にAB型レオーネペースにモデルチェンジして以降も90年代まで輸出され続けた。輸出専用車だったため日本では販売されなかったが、1983年に田宮模型(現在のタミヤ)から第2世代のブラットをモデルにしたラジコンカーが販売されるなど、日本でも一部でその存在を知られていた。

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