ヨーロッパのトラックなんてどうせゴミだって?それはどうでしょう。90年代にはミニチュアピットブルのごとき勢いでグロッティの最新スーパースターにも匹敵し得たマシンです。少しばかりの塗装と愛を施されたウォルトンL35が今、油断しきったスポーツカーたちに再び食らいつきます。
(Southern San Andreas Super Autosでの解説)
「サンアンドレアスの傭兵」アップデートで追加されたウォルトンL35。日本車のノウハウを受け継いだミニトラックです。オフローダーに改造された1台を見ていきましょう。
車両データ
メーカー:デクラス(Declasse)
名称:ウォルトンL35(Walton L35)
分類:オフロード
駆動方式:AWD
乗車定員:2人
購入価格:$1,670,000
モデル車の考察
モデルはシボレー S-10ですかね。シボレー LUVの後継機となる小型ピックアップトラックです。リア周りには第4世代のトヨタ ハイラックスらしさもあるでしょうか。
S-10について説明するにはまずLUVのことを説明しないといけません。当時のアメリカではミニトラック市場はトヨタ ハイラックスやダットサン トラック、マツダ Bシリーズなど、日本製のピックアップトラックによって独占されていました。この状況に対応するため、GMは日本のいすゞと業務提携を行います。
これによりいすゞのピックアップトラックであるファスターを、シボレーブランドでリバッジしアメリカでシボレー LUV(Light Utility Vehicle)として販売。ヨーロッパではGMの欧州商用車部門であるベッドフォードからベッドフォード KBの名で販売していくことになります(オーストラリアではいすゞ KBとも)。
この頃のアメリカといえば輸入ピックアップトラックに対して25%もの関税(チキンタックス)を取られる状況でしたが、LUVは荷台を取り外したキャブシャーシ状態で輸入(これなら関税は4%で済む)し、現地で荷台を取り付ける手法で重税を回避しました(この辺のチキンタックス関連の話はブラットも面白いですよ)。
そうしてアメリカで売られ始めたLUVは目論見通りミニトラック市場でシェアを集めていき、特に1979年には4輪駆動の追加により「初の4輪駆動ミニトラック」として新たなトレンドを生み出し、モータートレンド紙が選ぶトラック・オブ・ザ・イヤーを受賞するほどの人気となりました。そして1980年には第2世代に進化していきます。
その一方で、この時期になると世界ではオイルショックが起きていて、大排気量で燃費の悪い国産車は敬遠されていくという事態もありました。OEMだけでなく国産のミニトラックを製造する必要があると考えたGMは、LUVの後継機として1982年からS-10を販売。米国内でのLUVの販売を停止し、自社開発のS-10を売り出していくのでした。
ウォルトンの話に戻って、L35というサブネームは1992年以降のS-10などに載せられていたL35エンジンが由来だと思われます。この車にも同じようなV6エンジンが積まれているのでしょうか。
通販サイトの解説文ですが、GMCサイクロン(サイクロンはGMC ソノマの高性能バージョンで、ソノマはS-10のGMC版)が加速テストでフェラーリ348tに勝ったという、Car and Driverの記事が元ネタになっているそうです。
ただ、英語力の無い自分は元記事を読んでも「ヨーロッパのトラック〜」という文脈がよく分かりませんでした笑。この書き方だとウォルトンはヨーロッパ製のトラックらしいんですが、モデルがS-10だとしたらヨーロッパ要素がどこにあるのか分かりませんし、ウォルトン自体もデクラス製ですし。ネタが分かる人が居たら解説してほしい〜。
足回りと大径化されたタイヤを見てもらうと分かりますが、この車は純正でリフトアップカスタムがされています。なので、ノーマルのウォルトンではなくウォルトンのカスタム仕様なんでしょうね。この年代のミニトラックって案外このゲームに無いので、ノーマルも欲しかったですね。
過去作バイスシティとサンアンドレアスで1955年式のシボレー タスクフォースがモデルだと思われる車がWaltonの名で登場していました。性能は低いですが牧歌的な雰囲気がサンアンドレアスの田舎とよく合っていて、ロールプレイが楽しい車でしたね。っていうか、GTA5でこのくらいの古〜い農業感のあるトラック無いんだから、ウォルトンの名前で出すならこっちのモデルで出してほしかったな!な!
ボディーペイントの元ネタ
ウォルトンL35はS-10のBaja Editionが元ネタだと思われます(画像)。
レトロバイブスはダットサン 4WDが元ネタだと思われます(画像)。
クローマハンマーはS-10をカスタムした「Bravaja」が元ネタだと思われます(画像)。
「Xero」レーシングはBF Goodrich S-10が元ネタだと思われます(画像)。
「LTD」レーシングはS-10“Little Mac”が元ネタだと思われます(画像)。
走行性能
性能は良くも悪くも大体見た目通りな感じ。オフロード系のピックアップトラックって感じですね。
加速性能はまずまず。最高速はオフロードカテゴリーで中間くらいで、つまり全体では遅い方。トラクション性能は当然高く、悪路も坂道も問題なし。
ハンドリング面は見た目より軽やかで、ステアリングを切れば向きが変わっていきます。グリップ感はそこそこで、アクセルオフで若干オーバーステアが出るものの、アクセルオンでそれを打ち消せるので問題なし。ブレーキの効きは悪く、早め早めのブレーキをしていかないとどこかへ突っ込みます。
ボディーの強度は高い方で、ガンガンぶつけても走りに影響のある壊れ方はしません。ただ、パーツはフェンダーなど色んなものがポロポロ取れるのでぶつけ続けるとボディーがスカスカに。また、ボディーの耐久力そのものはそれほど高くないので、ボディーは凹んでいなくても煙を吐き出したりします。無理はさせすぎないように。
オフロードの走行感覚は中々に良好で、重心が高くてしょっちゅう横転しそうになること意外は楽しく走れます。というか、オンロードでもそうなんですけど扱いやすくて走り自体は楽しい車なんですよ。でも、気持ちよく走って「良いタイム出たろ!」と思ってタイム見ると遅いんですよね笑。多分、勇ましいエンジン音と軽やかな動きで騙されているだけで、実際は体感以上に全然速度が出ていないんだと思います笑。上手く走れてる感を満喫するには良い車です。
自分のタイムアタック記録
救急ドリフト 1:01.097、DiRT走行会コース 2:10.296
カスタマイズ
ピックアップトラックに欲しいパーツは大体揃っています。模範的な旧車トラックと言えるでしょう。
フロントバンパーには様々なグリルガードが用意されていて、ちゃんと機能するフォグランプも用意されていてイイ感じなんですが、やたらデカいグリルガードしかなくて適度なサイズ感のものが無いのが残念。リアバンパーは外したりバンパーガードに変更したり。
グリルは格子状の枠にできるものとそれぞれのカラー差分。ボンネットにはシャベルと斧のサバイバル装備を置いたり、シュノーケルを付けたり。当然、シュノーケルは機能しません泣。
フェンダーはトリムを削除したり、フェンダーアーチを拡張したり。フェンダーアーチを拡張することで一気に競技車両っぽくできますね。スカートの項目ではマッドガードを装備したりサイドステップを付けたり。
マフラーは純正だとリアの左右2本出しですが、これをハの字にしてサイド出しにしたり、あるいはスカートの下にサイド出しにしたり。ボンネットのところから排気するとかトンチキなパーツがあっても良かったかもしれませんが、それは贅沢というものでしょう。
ルーフには丸目のライトバーを付けたり、ルーフラックを付けたり。トラックの荷台は非常にラインナップが豊富で、荷台カバー、ロールケージ、スペアタイヤ載せ、ドラム缶や木の板などの荷物セットなどが用意されていて、様々な方向性に対応できます。ここを変えるだけでもかなり印象を変えることができますね。
テイルゲートは、そこに付いている「DECLASSE」の文字を一部消すオプションが用意されています。これで別の単語を浮かび上がらせる……んですが、だからどうした感はあります笑。サビペイントとかがあったりすれば、経年劣化で文字が剥がれちゃいました〜的な演出にもなったかもしれませんが。
サスペンションの変更による車高の下がり幅は結構大きく、最大まで下げると多分ノーマルのウォルトンもこれくらいの車高だったんだろうな、というくらいまで下がります。この手のリフトアップ系トラックならこれで十分でしょう。
内装はロールケージとシートをセットで買えるものが用意されています。競技車両系でもいけますね。ダッシュボードとかは変わらないので半端ですが笑。
サブカラーの適用範囲は基本的には無く、サブカラー適用のパーツを付けることで色の変化をつけることができます。
ボディーペイントは2本線ストライプ、上で紹介したような年代感のあるサイドペイント、競技車両系の企業ペイント、星条旗カラーなど。どれもこの車のキャラクターに合っていて使いやすいですね。
感想
速くはないけどイメージ通りの走りはしてくれるし、改造パーツも欲しいものは大体揃っている。そんな真っ当なオフロード系ピックアップトラックなのに、どこか物足りなさを感じるのはなぜか。もう既にレベルとかヨセミテ・ランチャーとかの似たような車があるからですね。
その一方で、リフトアップされていないこの年代のピックアップトラックはまだ実装されておらず、「フツーのトラック出してくれよ!」と切に感じます笑。ウォルトンが悪いわけじゃないんですけど、何か大きく既存のピックアップトラックと差別化できているわけでもないので、それだったら古くてこぢんまりした旧車トラックをな〜と思ってしまうのが正直なところです。っていうか3Dユニバース時代のWalton出して!
ウォルトンL35自体には特に文句はありません。強いて言えば値段がたけーよって感じですが、インフレもあるのでこんなもんかなと。「50万ドル安いヨセミテ・ランチャーでよくね?」と言われたらそれはそうなんですけど笑。変わり種のカスタムパーツはウォルトンの方が多いのでお好みで。
フォトギャラリー
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