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GTA5/GTAオンライン車図鑑「ファゾム FR36(Fathom FR36)」

投稿日:2023年12月21日 更新日:

30歳の引きこもりがプリンセス・ロボット・バブルガムの等身大抱き枕を愛撫するように、4360ポンドで山頂のヘアピンカーブを華麗に抜けることは可能でしょうか?ドリフト性能抜群のクーペ、ファゾム FR36と共に、日本から熱い「イエス!」の声が届いています。この乗り物はLSカーミーティングのチューニング・ショップでドリフトチューニングを施すことが可能です。

(Southern Sanandreas Super Autosでの解説)

「チョップ・ショップ」アップデートで追加されたFR36。日本でブーイングを受けたこの車は、海外で花を咲かせました。逆風に負けず伝統を打ち破った1台を見ていきましょう。



車両データ

メーカー:ファゾム(Fathom)
名称:FR36
分類:クーペ
駆動方式:FR
乗車定員:2人
購入価格:$1,610,000

モデル車の考察

モデルはインフィニティ G35クーペでしょうか。後継機であるV37クーペ・セダンの要素も含まれているようですね。

インフィニティ G35は日本における日産 スカイライン V35で、R34型から大胆なモデルチェンジを遂げたV35型は日本国内だとかなりの不評でした。見た目が大きく変わったのもそうですし、型式が「R」からVQエンジン搭載を表す「V」に変更、そして何よりスカイラインとGT-Rの名がこのモデルで切り離されたことで、セットでイメージを作っていた「スカイライン GT-R」のブランドが消え、旧来のファンからは「こんなのスカイラインじゃない!」と拒否反応が出たわけですね(2007年に次期GT-Rが出るまで、GT-R不在の空白の期間があったのも大きいか)。

しかし、それまでのスカイラインはR32型の成功以降、R32型の偉大さ故に大幅な改革ができないまま月日が経ってしまっており、売上が右肩下がりであったスカイラインの現状打破のため新たな一手が求められていました。ファンは継続路線を求めていたものの、メーカーとしては実際の売上が落ちる一方でありマニア向けと化していた「GT-Rではないスカイライン」のブランドを再構築する必要があったんですね。

そこで目を付けられたのがコンセプトカーの「XVL」で、この車は本来インフィニティブランドで出す完全新規の高級FRセダンとして位置づけられていましたが、スカイラインのコンセプトに通ずるものがあるXVLはスカイラインとして出すべきだという方向性になり、東京モーターショーでXVLが好評だったことやスカイラインの後継機開発が凍結されていたこともあって、XVLを次期スカイラインとして出すことが決定しました。

そうして登場したV35は前述の通り国内では評価が低かったものの、インフィニティブランドで売られた北米では2003年度モータートレンドカーオブザイヤーを受賞するなど高い評価を得ることができ、新時代のスカイラインへの切り替えに成功しました。今では国内でも再評価の声が上がっていますし、ファンの声を振り切ってでも改革に踏み切ったこの試みは成功と言っていいでしょう。

なお、この車の名前がFR36なのはFRであることやモデルであるV35の捩り、先代のR34型スカイラインにER34という型式があったのでそれも含めてのネーミングだと思われますが、こうして「R」の呪縛を解いたV35をモデルにした車に「R」が刻まれているのはなんとも皮肉です笑。

今作におけるスカイライン系列と言えば、何故かボルカーに入れられているウォーレナーに、R32・33・34がごちゃまぜのエレジー・レトロがありますが、ウォーレナーはともかくエレジーレトロはFR36の先代に近い存在と見ていいですかね。とはいえ最近のGTAの傾向だと直接的な先代となるR34型のスカイラインクーペ・セダンとかも今後出てくる可能性はありそうかなと、ほぼほぼ願望寄りの予想をしておきます笑。

この型のスカイラインは同時期に登場したZ33型フェアレディZとデザインが似ていますが、それもそのはず、この2台は日産の大型FR用プラットフォームである「FR-Lプラットフォーム」を使用しています。なので、アニスのZR380ユーロスもFR36と共通のプラットフォームで作られた車かもしれませんね。FR36のヘッドライトもよく見るとフェイスリフト後のZ33っぽく見えます。

GTA5でFQ 2が登場して以降10年間ほったらかしであったファゾムにとって、初めての追加車両となります。同じ日本メーカーの海外ブランド扱いであるエンペラーよりも空気な存在だったので、何ならこの車もアニスで出てもおかしくないくらいでしたが、ようやく日の目を見ることが出来ましたね。こっからまた10年くらい放置されてもおかしくないけどな。

ボディーペイントの元ネタ

「Exceisior」レースのモデルはHKS GENKI ハイパーシルビア RS-2だと思われます。シルビアとスカイラインで全然モデルが違いますが、同じ日産車だしドリ車だしで採用したんですかね。S15モデルの車もほしいぜ!

「Atomic」レーシングはD1やFormula Driftに出場していたFalkenのインフィニティ G35(2005年バージョン?)ですかね。ドライバーはカルビン・ワン。翌年以降はボンネットのカラーが車体のライトグリーンに合わせられたようです。



走行性能

扱いやすいクーペで、殆どスポーツカー感覚で乗れる車ですね。速さも伴っており、クーペカテゴリーで最速を争う車です。

発進が重たいのとエンジン音が静かめなのであまりそうは感じませんが加速性能は高く、一回スピードが乗ってくるとグイグイ速度が伸びていきます。最高速もクーペカテゴリーで2番目の速さ。トラクション性能も良く、悪路や坂道でもパワフルに駆け上がります。

ハンドリング面も癖はあるものの良好。やや重たさがあり、車高を下げてもそれなりにロールがあるので軽快さは無いんですが、オーバーステア傾向でハンドルを切ると強烈に内側に切れ込んでいくので、特に低中速コーナーだと思った以上の旋回半径で急激に向きを変えることもできます。オーバーステア傾向であってもグリップはしっかりしているので、上手く扱えればオーバーステアの良いところだけを享受することもできるでしょう。

速度域が上がってくるとオーバーステアの困ったところが出てきます。スポイラーを付けてダウンフォースを向上させるとこの辺は劇的に改善されるので、グリップでちゃんと走りたいならスポイラーは必須。ブレーキの効きは良いんですが、踏み始めの効きが若干緩く感じるので、限界領域で走らせるとなると早めのブレーキングを意識した方が良いでしょう。

ボディーの強度はかなり高く、ガツンガツンぶつけても全然ボディーが凹まないですね。ドリ車はぶつけてナンボみたいなところがありますが、FR36はぶつけてても「ぶつけてませんよ?」みたいな顔で走ることもできます。ただしバンパーやフェンダーはすぐ外れるのでそこはご愛嬌。

この車はLSカーミーティングドリフトチューニングを適用させることができます。ドリフトチューニングを適用させるとデータ上は別の車両となり、4輪駆動でタイヤのグリップが下がった、誰でも簡単にドリフトできる仕様になります。

また、ドリフトチューニング後はエンジン等の性能チューニングが行えなくなりますが、ドリフトチューニング適用前の性能チューニングは引き継がれるので、ノーマル状態でドリフトチューニングを適用してしまうと低性能のままドリフト仕様になってしまいます。性能チューニングするしないで相当な性能差となってしまうので、ドリフトチューニングの前に必ず性能チューニングを入れるようにしてください。

FR36のドリフト仕様についてですが、加速性能はドリフトカテゴリーで中間くらい。動きはやはり重ためで、もったりもったり動いて切り返しも大振りですが、良く言えば安定感があって突然予想外の動きをすることもないのでコントロールはしやすいです。

ただ、重さ故か車体が流される傾向が強いので、しっかりアクセルを入れて前方向にトラクションを掛け続けないとアウト側の壁に吸い寄せられがちです。適切なライン取りとアングル調整が出来てないと安心してアクセルは踏み込めないので、やはり安定感はあっても上級者向けのドリ車になるでしょうね。

自分のタイムアタック記録
救急ドリフト 0:57.358

カスタマイズ

豊富なカスタムパーツが用意されており、その多くが正統派というか真っ当にチューニング車として見栄えが良いパーツなので、ライトチューンでもカスタムカーでもこの車に合ったカスタムがしやすくなってますね。変に奇を衒ったりしない、GTAにしては珍しく王道のカスタマイズ性。いつもそうしてくれ。

フロントバンパーはシンプルながら要所を抑えた良いデザインのものが揃っていて、それぞれに差分としてカナード・スプリッター付きの物も用意されていて大満足。リアバンパーも同じような感じで、ドリ車にしてはデカすぎるディフューザー付きの差分がそこまでハマってないですが、タイムアタック仕様などを考えるならこういうのもアリですね。

ボンネットやサイドスカート等もリアルにありそう(というか絶対元ネタある)なデザインで絶妙なところが抑えられていて素晴らしいです。他にも穴開きグリルやスクープ付きのフェンダー、ルーフやミラーなど細かいところにもしっかりと手が届きます。

スポイラーは小さめのダックテイルに小さめのスポイラー、GTウイングなどがありますが、丁度いい大きさのスポイラーなりGTウイングが見当たらないのがこの車唯一と言っていい不満でしょうか。どれも低すぎるか高すぎるかみたいな感じで、丁度いい塩梅の高さとデザインが無いのがむず痒いラインナップです。

サスペンションの変更による車高の下げ幅は結構広く、純正はかなり腰高感があるんですが、下まで下げるとしっかりシャコタンになります。それも走らないシャコタンじゃなくて、ちょっとタイヤにキャンバーが付いて程よいシャコタン具合で、あの頃のドリ車のようなドレスアップと走りを両立させた低さでとても良いですね。

内装はロールケージとバケットシートのセットが装備できます。ドリ車にするなら安全装備はちゃんと付けましょう。

ペイントはサブカラーが基本的に差分パーツのみが適用範囲、トリムカラーがドア部分やシート部分などに適用されます。

ボディーペイントはストライプやファイヤーパターンに加えて、10種類ほどの企業ペイントが用意されています。その企業ペイントたちが使いまわしでもなく新規デザインで力が入ったもので、中には元ネタの項目でも紹介したような最盛期のD1車両をイメージしたペイントもあって激アツ。「ドリフトで遊ぶんならこういうペイント欲しかっただろ?」と言わんばかりのラインナップで最高です。

感想

今回のアップデートの一番のサプライズであり、日本人プレイヤーが最も湧いた1台ではないでしょうか。チョイスそのものが渋いし、ドリフトチューニングも出来て、クオリティーも高い。アプデの目玉であったドリフトレースと共に車好きを湧かせてくれた車ですね。

車の出来については何も言うことがありません。マジで強いて言えばスポイラーのラインナップくらいで、ケチを付けられるのはそれだけ。160万ドルという価格に見合うだけの価値があると言い切れる車です。このブログを見てくれている方なら分かると思いますが、自分がこんだけ手放しでべた褒めするのも珍しいです笑。ガレージに空きさえあれば何台でも買いたい……!



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