あり得ないと思われていました。カリンのエンジニア部門がエヴァロンの最新モデルをリリースしたとき、自動車工学のルールと市民としての責任をすべて覆すほどのアグレッシブなトラックが生み出され、彼らはやり過ぎたと思われました。しかし、今回はさらに上をいっています。RSは前モデルにあった「ナニは小さく、エゴは大きく」という空気感を、ガレージの扉の小さな段差を乗り越えるためにシリコン潤滑剤がいるくらい地表ギリギリまで落とし、「クソ食らえ」と表現したスタイリングを、ベスプッチ・ビーチでカントリーミュージックをうっとうしいほどの音量で流している失礼な奴くらいに増幅しました。
– ミサイルのロックオン・ジャマー利用可能(Legendary Motorsportでの解説)
「マネーフロント」アップデートで追加されたエヴァロンRS。より大きく、より高いトラックが大手を振るう現代では、地を這うトラックは生きられないのでしょうか。トラックがストリートの主であった時代を思い出させる1台を見ていきましょう。
車両データ
メーカー:カリン(Karin)
名称:エヴァロンRS(Everon RS)
分類:SUV
駆動方式:AWD
乗車定員:2人
購入価格:$1,665,000
モデル車の考察
モデルはトヨタ タコマ(第4世代)、より詳しく言うとタコマをカスタムしたタコマ Xランナー コンセプトが元ネタだと思われます。
2023年に登場した4代目タコマは、よりサイズが大きい同社のタンドラと同じTNGA-Fプラットフォームで制作され、「高いリフト、大きなタイヤ、スリムなボディ、そして力強いアスレチックなスタンス」を含む「タコマらしさ」を先代以上に強調するデザインとなりました。
このアグレッシブな造形はトヨタが参戦して走らせていたバハ・ トロフィー・レーシングトラックもモチーフになっているそうで、近年のモータースポーツに積極的でそこから得られたノウハウやアイディアをガンガン市販車に盛り込んでいくトヨタらしい車になっています。
そして、そんなタコマをSEMAショー用にカスタムしたのがXランナー コンセプト。アメリカでは2000年代初頭にピックアップトラックをカスタムする「ストリートトラック」が流行っていました。後輪駆動のトラックをチューニングして性能を上げ、車高を下げてドレスアップするスタイルです。
今ではすっかり廃れてしまったストリートトラック文化が今も市場として存在するのか、そしてTNGA-Fプラットフォームの拡張性を確かめるため、Xランナー コンセプトが制作されました。カラーは2004年のシカゴオートショーで発表された初代X-Runner(タコマの限定生産スポーツグレード)をオマージュしたスピードウェイブルーに。
元々のコンセプトからして攻めているので、エアサスで車高を下げ、カーボンホイールを履き、エンジンもパワーアップさせと、ストリートカスタムされたスポーツトラックの雰囲気を内側からも外側からも出す迫力のあるコンセプトカーになっています。これを公式でやってるんですから良いですね。
今作での「エヴァロン」はハイラックスの寒冷地仕様がモデルのエヴァロンから始まり、NASCARトラックシリーズのタンドラをモデルにしたホットリングエヴァロン、そして今回のエヴァロンRSとなっています。
タコマはハイラックスの北米向け仕様として作られた車で、耐久性や積載量よりも乗り心地、ハンドリング、快適性、安全性を重視した街乗り意識のトラックになっています。タンドラはタコマよりデカいフルサイズピックアップトラックで、トヨタのピックアップトラックで一番デカいのがタンドラになります。この辺のトヨタのピックアップトラックはGTAだと「エヴァロン」の名称でまとめられていくんでしょうね。
しかしまぁ、3台もあって普通の仕様が1つも無いのは凄いラインナップですね笑。ストックカーのホットリングエヴァロンはともかく、後の2台も寒冷地仕様でリフトアップとスタンス仕様でローダウンですから、真逆の方向性で振り切ってます。
走行性能
とにかく死ぬほど曲がらない車です。性能自体は高く、SUVカテゴリーでもトップクラスの速さなんですが、まずは困惑を覚えるレベルの曲がりにくさに慣れる必要があります。
加速性能は高く、力強いエンジン音と共にグイグイ車速が乗っていく感覚が気持ちいいです。SUVカテゴリーでもトップクラスの最高速まで突き抜けるように加速していきます。トラクション性能はとんでもない高さで、急坂だろうと悪路だろうとカタパルトから発進するように飛んでいきます。
ハンドリング面は想像を二段階は超えたアンダーステアで、まず最初に「うわ!全然曲がんねぇ!」と思って事故り、もう一度走り直して「曲がらないから気をつけないとな」と身構えてコーナーに入るとそれでも事故ります。「大袈裟だろw」と思った人は、全員そこのガードレールのシミになりました。
ステアリングを全開に切り込んでもフロントが重たく全く切れ込もうとしない上に、ブレーキを掛けるとよりフロントが逃げるので向きが変わらなくなります。ブレーキの効き自体はこの重量級の割にはかなり効くんですけどね。
サスペンションを変えて車高を下げると、気持ち動きがソリッドになって反応が良くなるかな?といった感じ。曲がりづらさ自体は変わっていないんですが、反応が多少良くなって操作感が改善されるとコーナーの恐怖感が減ります。怖くなくなるだけでアンダーステアに襲われることは変わっていません。
スポイラーを装備してダウンフォースを入れると、高速コーナーではだいぶ想像に近いコーナリングができるようになります。ステアリングを完全に切り倒して、アンダーステアと格闘しながら曲がれます。純正ではわけも分からず事故っていたことを考えると、これはとんでもない進歩です。しっかり手をかけてようやく「曲がらない車」レベルに落ち着くのがこの車なのです。
ボディーの強度は普通で、ぶつけるほど相応に凹んでいきます。車のスピードレンジが高いので事故った時のダメージも大きく、ガンガンぶつけると順当なタイミングで煙を吹き出します。カリン製のトラックだからって痛めつけちゃダメです。
自分のタイムアタック記録
救急ドリフト 0:55.889
カスタマイズ
特筆して何か、は別にないカスタム内容ですかね。大体予想通りのパーツで、変わったタイプのパーツも物凄く印象が変わったりはしないので、大人しくまとまっている感じ。物足りなさはありますね。
バンパーはフロントにプッシュバーを付けられるものが2種類だけ。片方は歯のような板が付きます。グリルはカリンのネームを外して穴を開け、インタークーラーを見せて鼻のように見せるものがいくつか。
ボンネットはスムーズなものと溝のようなダクトを開けたものと、ターボチャージャーが剥き出しのものと。アーチカバーの項目ではアーチカバーを黒プラスチックに変えることが出来ます。マフラーは純正のサイド出しは変わらず、質感を変えることが出来ます。
フレームの項目では荷台にケージを取り付け、更にカバー付きのルーフライトを付けるか選べます。スポイラーの項目は荷台とセットのような感じで、荷台カバーやウイングが用意されています。トロフィートラックのようなスペアタイヤを付けることも。
サスペンション変更による車高の下げ幅は中々。元ネタで意識されたストリートトラックっぽい低さにできるので満足。
ペイントはメインカラーとサブカラーがあり、サブカラーの適用範囲が結構広めでいいですね。フロントとリアの「KARIN」、純正ボンネットのストライプ、サイドストライプ、リアバンパーなどに色がつけられます。サブカラーの色を弄るだけでボディーペイントを付けたような雰囲気になりますね。
ボディーペイントは白色でストライプなり模様を入れるのが大半で、どれもパターン自体は悪くはないんですが白限定で色の組み合わせが決められてしまい使いづらさが目立ちますし、模様だけのシンプルなデザインなのでこれが大半というのは寂しいラインナップ。
残る2つでサブカラーの適用範囲などにホットピンクの迷彩、レーシングカー風のペイントがありますが、この2つもシンプル寄りのペイントで物足りなさはあります。競技車両っぽいペイントならホットリングエヴァロンのようなガッツリのものが欲しかったです。
何より残念なのは元ネタの車が「カスタムトラックを現代で作ろう」という趣旨の車だったのに、カスタムトラックっぽいペイントが皆無なことでしょう。ファイヤーパターンやトライバル、ツートンといったシンプルであってもアメリカンな選択肢があればかなり変わったと思います。
感想
元ネタのことを知らないと単なる新しめのピックアップトラックですが、元ネタを知るとマッチョな風貌や低い姿勢がクールに見えてくる1台ですね。初見だと死ぬほど曲がらない特性もセッティングと慣れでかなり克服できますし、加速のパワフルさが最高。他のピックアップトラックには無い魅力を確かに持った車です。
それだけに、カスタムのしょっぱさが非常に勿体ない車ですね。カスタムパーツで明確に「こういう弄り方をする車ですよ」と主張できていたら、元ネタが好きで買った人からも元ネタを知らずに買った人からも評価は全く違ったはずです。
現状は「あー、新しめでよく分かんない、大して弄れもしないいつもの新車ね」と微妙な扱いをされているのが悲しいです。まるでダメプロデューサーのせいで売れてないアイドル。エヴァロンRSちゃんはねぇ、もっと売れっ子になれるはずだったんだよ……!
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