D1GPこと全日本プロドリフト選手権。車にハマっていた小中学生の頃にD1と出会い魅了されて、その後長い時間を空けて去年あたりから久しぶりにD1をまた見るようになってちょくちょく観戦しているわけなんですが、Rd.3の筑波が中々残念な大会だったのでここで愚痴らせてください。
なお、愚痴の半分くらいはRd.3だけでなくこれまでの観戦を通して出てきたものなので、「Rd.3の」というより「今のD1GPの」愚痴になります。
ライブ配信の質
僕はいつもyoutubeのライブ配信でD1を観戦してるんですが、このライブ配信の質がいつもあんまり良くありません。特に映像の質が良くないです。
通信がイマイチなのかちょくちょくモザイク画質になったり、スイッチャーが下手なのか変なタイミングでカメラが切り替わって走りが一部見られなかったり、そもそもの「走りを見る」ところがしっかり出来ないことがあります。
まぁ無料で見せてもらっている立場ですし映像の質に関しては「こんなもんだろう」という感じなんですが、ドリフトは走りを“見る”スポーツなので普通のレースと違って「走りを全部見られないと分からない」ところはあるので、走りをちゃんと見られなかった時のストレスが大きいですね。
特に、通常のカメラワークではなくドローンにカメラを切り替えて走りが上手く見れなかった時など、人為的なミスで映像が乱れた時はガッカリ感が強いです。MCや解説の人達も配信と同じ映像を見ながら喋っているのですし、配信の映像は全部固定のカメラワークでいいと思うんですけどね。
盛り上がらない演出
走りの合間合間に映像で編集が入ったり、MCが観客を煽ったりして色々と演出が入るんですが、なんだか安っぽかったり寒かったりして微妙な空気になるばかりで全然盛り上がらないので見てて痛々しい気分になることがあります。
特に今回のRd.3はコロナ対策で声を出して応援が出来ないからか、各車が走る前にその車の履いているタイヤメーカーの応援スタンドを煽って手拍子なりを促す演出が入りましたが、客席はヒエヒエ。現地で大型液晶が無いのでみんなスマホで配信視聴中、暑さで厳しい環境、グダグダの運営、カメラワークが悪いなど色々要因はあるのでしょうが、まるで放送事故のような光景が繰り返されて見ていてしんどかったです。追走の時は太鼓の音が実況解説の声を遮って邪魔だし。
観客席のリアクションというのは観客が自発的に起こすものだと思うので「こう応援してくれ!」と運営側が指定するのもなんだかなぁと思うところ。大会を盛り上げたいのは分かりますが、小手先の演出をするくらいなら何もしない方がいいんじゃないかとか思っちゃいます。競技としてストイックな方向に行きたいのか、昔ながらのお祭り的な方向に行きたいのか、D1をどうブランディングしていくのか方向性がまとまっていないようにも感じてしまいます。
DOSSトラブル
そして今大会で大きな問題となったのがDOSSトラブル。単走のAグループでDOSSエラーが頻発し、このままでは大会が続けられないということで一度流れを止めてどうするかの協議が行われました。ここでのトラブル処理と協議に時間が掛かったことでどんどんスケジュールが遅れていき、後述の悲しい事態に繋がってしまいました。
そして、最終的に走り終わっているAグループはそのままで、走りきっていないBグループからは機械審査ではなく人間審査で判定が行われることに決定。その後の審査は凡そ良い調子で進んでいき、むしろ機械審査の時よりも良いテンポ、納得感のある判定でスムーズに大会が進行していきました。
しかしまぁ、DOSSに判定を任せていることのリスクがモロに出てしまった大会でしたね。DOSS関連の話はまた別でしようと思いますが、やっぱり自分は今のDOSSありきな判定システムはあまり好きになれないなぁと感じました。ここに至るまで色々な経緯があるんでしょうけど、DOSSが主体となる判定システムは無理があるんじゃないのと思ってしまいます。人間判定の補助でDOSSを使うなら不満もそこまで出ないだろうし、トラブル時のリスクも低いだろうに。
人間審査でミスジャッジ
なんとか単走が終わりいよいよ追走。ここでも継続して人間審査のまま大会が進行していき、特に問題もなく対戦が消化されていきます。所々で「ん?」と思うところはあっても、そういった場面ではすぐに神本審査員長の解説が入り、審査基準もブレないままジャッジが行われるのでいつもの機械判定より納得感のある状態で観戦ができました。
良い感じだなと思って見ていたんですが、ベスト8の末永 直登 vs 松井 有紀夫で事件が発生してしまいます。サドンデスに持ち込まれた勝負で、末永選手先行の1本目は末永選手のS15が圧倒的なスピードで松井選手のFDをぶっちぎる快走で7.0:6.0の判定。
そして2本目、松井選手先行の勝負は末永選手がちょっとミスをしながらも走りきり、そのミスがどこまで点数に響くかと思われる中で6.0:6.5の点数と発表。結果は12.5:12で末永選手の勝利と発表されました。
が、このジャッジについてまなPが神本氏に解説を求めようとしたところ、この点数が間違いではないかという話になり実況席がざわつき始めます。そこから「点数の入力間違い?」「入力を間違えたとして1本目を間違えたのか2本目を間違えたのか?」「それとも計算間違え?」と実況席が大混乱。
そして約5分も時間を掛けた結果、最終的に2本目の点数は5.5:7.0となり、合計が12.5:13.0となって松井選手の勝利に。審査員のミスで選手も観客も待たせた挙げ句に1度発表した結果が変わってしまうという事態に現地も配信もざわざわ。
神本氏は「(2本目の走行について)末永選手のアンダーを取って-1.0、全体の走りで松井選手の方が走りが良かったので0.5、合計で1.5ランクの差がついた」と説明をしました。僕自身はそう言われればそうだなと判定には納得できたものの、じゃあなんでこの明確な審査基準によるジャッジで最初に6.0:6.5と全然違う数字が出てきたのか、その後の確認であんなに時間が掛かったのかと?マークが浮かびました。なんにしろ素人大会で起きるようなお粗末な事件でした。
17時終了で決勝無し
DOSSトラブルがあり大会の進行が遅れ、人間審査に切り替えて進行と大きなイレギュラーがあった今大会。いつもなら1時くらいに始まる追走トーナメントが、3時頃のスタートとなり大幅に時間が押している中でベスト4までが終わり、決勝は内海 彰乃 vs 松井 有紀夫のカードに。
さぁいよいよ決勝を残すのみというところで、なんとまなPから「ここで今大会を終了します」という宣言がされました。実は、筑波サーキットは茨城県の地域条例により「騒音対策で17時以降のスポーツ走行禁止」というルールがあり、準決勝の時点で既に17時を回っていたため決勝はやらずに終了に。厳密には準決勝もやっちゃいけないところでしたが、準決勝を終わらせて決勝進出者2名を決めないとルール上の優勝者を決められないので走らせてもらった、という事情があったのでした(D1では「諸事情で決勝が行えなかった場合、単走での順位が高かった方を優勝者とする」というルールがあったそうです。後日に繰り越したりはナシ)。
トラブルに次ぐトラブルで大混乱に陥った今大会は決勝を走らず終了という結末。悪い意味で今大会を締め括る一幕となりました。
17時で厳密にレースを終わらせなければならないのは仕方のないことですしそこに不満はありません。後付けならまだしも最初から決められていたルールで、開催地側が「こうしてくれ」と言っていたのなら運営側はそれを守るだけでしょう。
しかし、運営側は17時で終了というルールを知っておきながらそれを客に周知しておかなかったこと(実況席に居たのむけんと辻くんすら知らなかったってどういうことよ)と、17時にレースが終了できるよう押していたスケジュールを詰めていかなかった想定の甘さは気になります。
いくらルールで「やむを得ない事情で決勝レースが行えなかった時のルール」がしっかり制定されていたとしても、観客は基本的には決勝まで見たいし選手だって走りたいに決まってます。時間が押している時点で「これ終わんないかも」と思える状態だったのに、その事情を知らせずにいつも通りのタイムスケジュールをズラしただけで済ませていたのは怠慢じゃないでしょうか。小橋選手のTwitterでのつぶやきを見るに選手サイドも17時終了を知らなかったように思えますし、「運営側は17時終了に関して誰も何も言わなかったの?」と思ってしまいますね。
そんなこんなで2021 D1GP第3戦 筑波サーキットは終了。これまで自分が見たD1では最も質の低い大会となってしまいました。
何年運営やってんのヨ
上記の諸々の問題、大会を発足してまだ数年の段階なら「色々慣れてないところもあるよな」で多少は流せるのかもしれないですけど、D1はもう20年やってます。20年分のノウハウがあってこうなってしまうのかという気持ちがありますね。一応日本のドリフト競技のトップディヴィジョンにある大会なんだからしっかりしてくれって感じ。
昨今のD1は「DOSSがねー」と言われることが多い(っていうかDOSS導入されてからずっとなのかな笑)ですが、今大会のグダグダぶりを見るとDOSSやめたらいい大会になるわけでもないなという感想です。DOSS抜きにしても大会の進行、大会の魅せ方、配信の質などツッコミどころはいっぱいです。競技としてもエンタメとしてもそこら辺しっかりしてくれないと「D1だから見てる」という層以外は残らないだろうという気がします。日本生まれのドリフト競技として生き残っていくためにも頑張って欲しいですね。
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