
こんばんは、麻乃ヨルダです。気づけば今は2026年、気づけば6月ということで、4年に1度のサッカーワールドカップの時期がやってまいりました。折角のお祭りなので出来る限り多くの試合を見たいと、どの時間帯の試合も頑張ってリアタイ。今日はイングランド対アルゼンチンの試合を見たので感想を書いていきます。
怯えた者が負ける
ノルウェーとの力勝負に勝ったイングランドと、スイスを相手に劇的な勝利を収めたアルゼンチンの戦い。試合のテンションは立ち上がりから非常に高く、お互いに相手がボールを持つと激しいプレッシャーの掛け合い。開始3分でもう乱闘寸前になるピリピリしたムードで、異様なスタジアムの雰囲気で試合が進んでいきます。
アルゼンチンはフリアン・アルバレスを左ウイングに置いた4−3−3。メッシのゼロトップでジュリアーノ・シメオネを右ウイングに置き中盤を3センターにして、今大会で基本フォーメーションとしてきた4−4−2から変えてきました。
アルゼンチンの守備はメッシが前に居る以上、基本的にミドルゾーンからのブロック守備。高い位置だとアルバレスが前に出てメッシと2トップ気味になり、低い位置だとアルバレスが左サイドに落ちて中盤に吸収されます。アルゼンチンがそこまで前から来ない以上、序盤はイングランドの方がボールを保持する時間が長めでしたが、すぐにイーブンな状況になっていきます。
ハイドレーションブレイクまでの時間はお互いにシュートまで持っていけず、中盤でのやり合いに終始。お互いに局面でのボール回しの上手さや球際の激しさなどが目立ち、局地戦で主導権を奪い合います。イングランドの守備はケインがアンカーのパレデスを見て、ベリンガムとロジャーズが外切りしながら2CBをチェックする4−3−1−2で、アルゼンチンの中盤を抑えてお得意の中央突破をケアしているので、お互いにスムーズな前進が出来ずロングボールも増えていきます。
後半に入ると前半にあったあからさまな殺気の出し合いは落ち着き、プレスに行くところとブロックを敷くところがハッキリして、オンオフが切り替わる静かな睨み合いに。そして10分、中盤に降りてきたケインのロングボールからセカンドボールを拾って、右サイドのロジャースがクロスに持ち込むと、そのクロスに見事に合わせたのがゴードン!ロングボールの処理から一瞬アルゼンチンのDFラインの対応が乱れたスクランブル状態を見逃さずにゴールを奪ってみせました。
点が動いたことでアルゼンチンは一気に攻勢を強めます。完全にアルゼンチンがボールを保持してイングランドを押し込む展開となり、フィールドプレイヤー10人で凄まじくコンパクトなブロックを組むイングランドと、そのブロックをこじ開けようとするアルゼンチンの戦いに変化していきます。
ハイドレーションブレイクで一気に3枚替えをして変化をつけるアルゼンチンと、ゴードンを下げてコンサを入れることで守備時5−3−2にして後ろと中央に厚みをつけるイングランド。しかし、イングランドは構造上3センターの脇が空いてくるため、アルゼンチンはすかさずそのエリアを使ってクロス爆撃に入り、イングランドの変化が裏目に出ます。
アルゼンチンは最後のカードでラウタロ・マルティネスを投入。イングランドはリース・ジェームズの負傷もあり、オライリーとダン・バーンを入れて5−4−1に変えてすぐさま穴を塞ぎます。追いつきたい側と逃げ切りたい側の構図が完全に分かれる40分、エンソ・フェルナンデスのミドルシュートをピックフォードが弾いてコーナーキックになると、ショートコーナーの流れから中央でフリーになったエンソ・フェルナンデスがミドルシュートを放ち、このボールがゴールに吸い込まれる!先程のミドルシュートとは球種を変化させ、変幻自在の高精度ミドルを繰り返したエンソが待望のゴールを取り切りました。
イングランドは逃げ切りに失敗し、そのイングランドを間髪入れずに攻め立てるアルゼンチン。するとロスタイム、マクアリステルのミドルシュートがポストに弾かれると、ボールを拾ったあとに右サイドを縦突破するメッシが右足でクロス、中で完璧なポジショニングをして待っていたのはラウタロ・マルティネス!得点を期待して投入されたセリエA得点王のヘディングシュートで、アルゼンチンがまたも逆転弾を決めてしまいました。
逆転を許してしまったイングランドは必死の攻勢に出るものの、一度守備固めをした布陣からアルゼンチンの勢いを上回るほどの出力は出ず、アルゼンチンがイングランドの反撃をいなして試合終了。今大会何度見たか分からないアルゼンチンの粘り強さで勝敗が決しました。
理を越えたアルゼンチン
イングランドは後半入って早めの先制点でリードし、そこから撤退に入るのが早すぎました。死ぬ気で攻めてくるアルゼンチンを相手に40分以上無失点で耐え凌ぐのは、イングランドの屈強な選手たちでも簡単ではありませんでした。ただ、早すぎる守備固めは大体失敗するというセオリーがあっても、気持ちが守りに入ってしまうほどアルゼンチンの圧が強かったということでもあるでしょう。テレビ越しでも分かるほど、アルゼンチンの何が何でもこじ開けようとしてくる攻撃は恐ろしかったですからね。
なので、守備固めそのものが良くなかったというより、勝つための守備固めが準備できていなかったことが良くないように思います。5バック化したものの前線と中盤で人が足りなくなって空いたスペースを活用され、ディフェンダーを増やしてもクロス対応やセカンドボールの対応で後手を踏んでシュートを許しと、あまり練度の高くない5バックでした。カウンターの驚異を見せられず押し込まれっぱなしになったのも良くなかったですし、5バックをプランに入れているなら5バック用の仕込みをしておくべきだったかもしれませんね。
ただ、付け焼き刃ではあってもロスタイム間際にエンソの凄いミドルを決められるまでは耐えることが出来ていたのも事実で、撤退守備をする相手をこじ開けるのはそう簡単でないことを考えると、イングランドは良くなかったけどアルゼンチンが凄かったのもある、といったところでしょうか。
アルゼンチンは最早逆境を楽しんでいるのかというくらい死闘・死闘・死闘の決勝トーナメントを勝ち上がりました。潜り抜けてきた修羅場が多すぎて、今日の試合も失点してからの猛攻撃を見てなんとなく追いつきそうな気配を感じました。
攻めも結構論理的で、5バックで埋められないスペースの活用、対角線クロスで揺さぶり、マークが付けられない二列目からの飛び出し、セカンドボール回収からのミドルなど、闇雲に攻めるのではなくイングランドが嫌がっていた攻撃を着実に実行していて、だからこそ「やり続けていれば点が取れる」という自信を持っていたのかなと思います。
そして、現実に実行できてしまうメッシの2アシスト。1点目はショートコーナーで全員の目線がメッシに集まってエンソへの対応が遅れ、2点目はウインガー時代を思い出すような縦突破クロスでお膳立て。良いところで待っていればメッシさんがボールを届けてくれる。それを信じ続けて、本当に結果を残してきたチームの神通力。心の底から信じきっているからこそ神も期待に応える、恐るべきチームになっていますね。
カタール大会のアルゼンチンも、初戦でサウジアラビアにやられて「メッシの最後のワールドカップもこれで終わりか……」と思われてからの優勝。そして今大会は次代の神の子と呼ばれるラミン・ヤマルとの対決になるスペインとの決勝。台本でも有るんですか?と言いたくなるくらいこのチームにはドラマがありますね。今大会の最終章はどうなるのか、究極の理詰めスペインと神の加護を受けるアルゼンチンの対決、本当に楽しみです。
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