雑記

【Twitter】「ネットデマ速報」は信頼できるファクトチェックアカウントなのか?〜AI絵師を巡る騒動まとめ

投稿日:2023年5月3日 更新日:

先日、ツイッターでこんな騒動がありました。

騒動の発端は、イラストレーターの荻pote先生が自身の絵柄を学習したAIモデルに対して「営業妨害だから止めてくれ」と発言したところ、AI絵師(AIを使用してイラスト生成を行う者)と見られるアカウントが、被害者の荻pote先生を煽るリプライを投げつけた件です。

(AIイラスト生成者をAI絵師と呼ぶべきなのかは諸説あると思いますが、本筋から外れますし騒動中の呼称としても「AI絵師」で統一した方が話がしやすいので今回はAI絵師と呼ばせていただきます)

それを見たバナナ生産農家氏がそのリプをスクショしてツイートしたところこれがバズり、AI絵師の非道な行いが知られるところになりました。しかし、騒動はこれだけでは終わりませんでした。

ネットデマ速報(中の人)氏が、「バナナ生産農家氏のツイートはAI絵師の評価を落とすための自作自演ではないか?」というツイートを行ったのです。これにより、AI絵師に対する議論はヒートアップ。バナナ生産農家氏に疑いの目を向ける人たちも現れ、状況は混沌としました。

自分もこの騒動をウォッチしていたのですが、その中で疑問に思うことが色々と出てきました。そんな疑問と騒動の流れをツイッター外部でまとめておくため、この記事を執筆しています。



AI絵師へのヘイト

まず、この騒動を見る上での前提として、ツイッター上で「AI絵師」という存在がどういう目で見られがちかということを話しておきます。

昨年からAIによる画像生成技術が表に出てきたことで、その画像生成をどう扱っていくかで様々な人が日夜議論を交わしています。正直言って自分は技術的なことに詳しいわけではないのでこの辺突っ込んだことは言えないのですが、この騒動に繋がる問題として「AI使用者のモラル」が取り沙汰されてきました。

問題となっている部分は、「権利者への許諾なく絵柄を学習したモデルを作られてしまう」ことと、「そのモデルを利用して権利者に一切還元されない収益源に使われてしまう」ことだと、素人の自分は認識しています(全然ちゃうわ!となったらすみません)。知らないところで自分が描いたものにそっくりな絵が作られて、しかも商売に使われたりする。そうした被害が各地で見られているため、絵師の方やそのファンの方たちは「AI絵師」という存在を忌避していることが多いです。

更に、「AI絵師」の中でも特にモラルが無い一部の層は、上の騒動と同じように「学習元の権利者に、自分がイラスト生成で金を稼いだことを直接報告してくる」という嫌がらせ行為をしています。つまり、バナナ生産農家氏がスクショを撮って上げる前からこうしたAI絵師の行動が見られていて、そういった現状から「こんなやつばっか」というツイートに繋がったと思われます。

バナナ生産農家氏の自演

それに対して、ネットデマ速報(中の人)氏は、これがバナナ生産農家氏の自演ではないかという説を打ち出しました。ネットデマ速報(中の人)氏の主張は、バナナ生産農家氏のスクショで映っているjcom氏は実在しているのか=バナナ生産農家氏がAI絵師叩きをするために自演したアカウントではないか、というものです。

jcom氏は荻pote先生に向かって月に約17万円の金額を稼げたことをツイートしていましたが、それだけの稼ぎであればPixivFANBOX内でも目立つアカウントなはずであり、そんなアカウントがFANBOX上で確認できないならjcom氏というAI絵師の実在性が疑わしくなります。つまり、バナナ生産農家氏がAI絵師憎しでjcom氏というアカウントをでっちあげたのではないかということです。

バナナ生産農家氏のツイートがバズった後にjcom氏はツイートだけでなくアカウントも消したとのことで、騒動を後から確認した人々はjcom氏やそれ以外のAI絵師と見られる人物による荻pote先生へのリプライを確認できなかったことも、バナナ生産農家氏の自演説を後押ししました。これにより、ネットデマ速報(中の人)氏のツイートを信じた人はバナナ生産農家氏への攻撃を始める事態になってしまいました。

そもそも何を議論しているのか?

しかし、ネットデマ速報(中の人)氏の主張はおかしなところがあります。まず、デマ疑惑の根本である「jcom氏の実在性=バナナ生産農家氏の自演」が全く結びつかないことです。

ネットデマ速報(中の人)氏はjcom氏が存在しないAI絵師であればバナナ生産農家氏の自演である可能性があると主張していますが、jcom氏が実在しないAI絵師であったとしても、だからといってバナナ生産農家氏の自演であるとは言えません。jcom氏がクリエイターとして存在しないとしても、「荻pote先生に個人的な感情がある人間が、嫌がらせのためにjcomという捨て垢を作って攻撃した」という説を覆せないからです。

jcom氏が本アカではなく誰かの捨て垢となれば、jcom氏の実在性を調べたところで意味はありません。jcom氏本人とバナナ生産農家氏の個人情報を直接確認できない限り、外野の人間はこの二人が同一人物であるとも他人であるとも証明できませんし、これはバナナ生産農家氏だけでなく全ての人間がそうです。

言ってしまえば、「jcom氏はネットデマ速報氏の自演なんじゃないの?他人だって証拠出せる?」と言われたら、ネットデマ速報氏は自分の個人情報を全て開示した上で、jcom氏の個人情報を開示しなくてはこの説を否定できません。自分のスマホやパソコンの中身を公開して「自演じゃありません他人です」と主張しても、「他にも端末持ってるんだろう」と言えたりしてしまいますし、個人情報を丸ごと開示しない限りいくらでも言いがかりがつけられます。こういった内容をネットデマ速報(中の人)氏はバナナ生産農家氏に突きつけています

同一人物“である”証拠を見つけるのであれば少ない情報で判断可能かもしれませんが、同一人物“でない”証拠を出すのはそれだけ難しく、実質不可能な要求を行っていることになります。これが主張として通ってしまえば、どの人間も「お前jcomじゃね?」とレッテル貼りされた場合に逃れる術がない、魔女狩りのような状況に陥ってしまいます。

ネットデマ速報(中の人)氏は「わざわざ絵師に「自白」しにいく理由が無い」のを自演の根拠としていますが、過去に絵師に自ら犯行を自白するAI絵師が存在した以上これは根拠にはなり得ません。傍から見れば一切得のない行動だとしても、「絵師に嫌がらせができる」などの理由で犯行に及ぶAI絵師が居た中で、jcom氏はそうではないと言い切れる理由が無いはずです。

jcom氏というアカウントそのものについては、目撃情報が多数上げられているため、少なくともバナナ生産農家氏によるフェイクではありません。

FONBOXの売上金額に関しては捏造ではないか?という説がありますが、jcom氏のツイートが嫌がらせを目的としているなら大きい数字で「これだけお前の絵で稼げたぞ!」とアピールできた方がダメージを与えられるので、数字を盛った可能性もあります。

いずれにせよ、「jcomというアカウントが実在し、荻pote先生へ煽りツイートを送った」ことと、「バナナ生産農家氏がjcom氏であると示す証拠は無い」のが現状です。

付け加えると、jcom氏がバナナ生産農家氏の自演ではないかという可能性を主張するのであれば、ネットデマ速報(中の人)氏にはその主張の立証責任があります。もしバナナ生産農家氏がjcom氏と全く無関係だったのであれば自分がjcom氏と無関係だという証拠を用意しようがないですし、そんな証明しようがない部分で疑いを掛けるのは悪魔の証明です。疑いを掛ける以上、「jcom氏の実在性=バナナ生産農家氏の自演」の「=」の部分を自分で証明してもらわなければ、これは言いがかりにしかならないのです。

そして、今のところネットデマ速報(中の人)氏の検証は「jcom氏が偽の収益画面を見せていたのではないか(jcomというクリエイターは実在するのか)」の領域に留まっており、jcom氏とバナナ生産農家氏の繋がりを示す証拠の提出と検証には至っていません。jcom氏とバナナ生産農家氏の繋がりを示せない限り、ネットデマ速報(中の人)氏の主張そのものがデマの可能性が高いと言わざるを得ません。

ネットデマ速報の立ち位置

そして、バナナ生産農家氏にデマ疑惑を掛けたネットデマ速報(中の人)がどういった人物についてですが、こちらはAI絵師として活動しているようです。

AI絵師として商材を売っている賢木イオ氏のツイートを頻繁にRTして、ツイートを見ている限りネットデマ速報(中の人)氏はかなりAI絵師寄りのポジションであることが分かります。その中で、ネットデマ速報(中の人)氏がバナナ生産農家氏のツイートのファクトチェックを行うと言っても、中立の立場から騒動を俯瞰していると見るのは難しいです。

ネットデマ騒動(中の人)氏が「バナナ生産農家氏はアンチAI絵師側だから、対立工作のために自作自演をしたのではないか」と主張するのであれば、「ネットデマ速報氏はAI絵師側だから、バナナ生産農家氏のツイートを自作自演扱いしているのではないか」という主張も成り立ってしまいます。こうなってくると、ネットデマ速報(中の人)氏の一連のツイートはかなり信憑性が低くなってしまいます。

また、ネットデマ速報(中の人)と自称しているように、本体のアカウントとしてネットデマ速報があり、その中の人がデマ騒動関係なく個人として活動しているとのことです。ネットデマ速報自体は2017年で活動が止まっており、中の人の方もネットニュース関連の話をツイートしたのは半年ぶりのこと。では、その半年の間にどんなツイートをしていたかというのが、AI絵師としての活動らしきものになるわけです。

これまでネットデマ関連の話題に触れなくなっていた人が、AI絵師の評判が悪くなりそうな話題で、「この件はデマではないか」と活動を再開した。こう見るとポジショントークにしか見えない一連のツイートですが、「ネットデマ速報」という中立性を持っているような第一印象を与えるアカウント名であるがゆえに、ネットデマ速報(中の人)氏のツイートを鵜呑みにしてしまう人たちの姿も散見されます。

これは個人的にかなり悪質に見え、例えば「読売ジャイアンツニュース」というアカウントがあって、そのアカウントが公式っぽくジャイアンツのニュースをツイートしていたら、アカウントの内容まで精査しない人たちは「これはジャイアンツの公式ニュースだ」と思ってツイートを見てしまうでしょう。たとえそれが読売ジャイアンツと関わりのない個人のアカウントで、ニュースの内容がフェイクであったとしても、一見もっともらしい情報が拡散されることは避けられません。

今回の場合はあくまで「デマの可能性」とネットデマ速報(中の人)氏がツイートしていますが、このアカウント名で当該のツイートを行ったことで、少なくない人がバナナ生産農家氏を「AI絵師憎しで自作自演した人かも」と認識してしまう事態になりました。

勿論、それが真実である可能性はあります。しかし、それが全くの事実無根である可能性もあり、「外野からは何が事実か分からないし確認しようがない」状態です。その状態で、こうした一見それらしいアカウントで個人アカウントに疑いをかけ、一部の人間による個人アカウントへの攻撃が誘発されている状況というのは非常に恐ろしい状況だと言えます。

今回の一件が起きたということは、今後もネットデマ速報(中の人)氏が「これはデマではないか」と言い出せば、信憑性がどうかによらずターゲットになった人はデマの発生源という汚名を着せられる可能性があるからです。ネットデマ速報(中の人)氏以外でも、それらしいアカウントが同様の行動を起こす可能性もあります。

「ネットデマ速報はデマの可能性があるとツイートしただけ」という意見も散見されますが、こうしたニュースアカウント(あるいは関係者)を自称する者がこの件を「デマの可能性がある」としただけでこうした騒動になってしまうこと自体が、風評被害を容易に発生させる危険性があると証明しています。

AI絵師による被害はデマではない

最後に書き残しておきたいのは、今回の件がデマ(バナナ生産農家氏の自演)であるかどうかに関係なく、「荻pote先生への嫌がらせは実際あった」ということです。荻pote先生以外にも絵柄のモデルを勝手に作られ迷惑している絵師、AI絵師から直接心無い言葉を掛けられる絵師という被害は実在しているものであり、今回の自演説はその外側にある問題なのです。

自演だとか対立工作だとか、そういった話は画像生成AIの悪用という根源の問題から発生している枝葉の話です。既にモラルの無いAI使用者による被害が多数存在している中で起きた騒動であることは忘れないようにしたいですね。

追記:バナナ生産農家氏からこの件に関する説明がありました。



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